あらすじ
「最新かつ最良のプーチン伝」池田嘉郎氏推薦!
本書は、「世界が対峙している男」、ロシア大統領ウラジーミル・プーチンの生誕から、ウクライナ戦争に至る現在までの70年を網羅した、圧巻の伝記だ。
プーチンの幼少年・青年期以来の個人的な資質、その後の経歴から得た歴史観、社会観、手法、西側との関係性を丹念に追いかけ、詳述する。彼自身の言動や各種情報源を無批判に羅列するのではなく、同じ内容に関する彼の発言の変化をとらえた上で比較考察し、さらにその変化そのものから背後にある真相を把握するという、きわめて周到な分析を試みている。これが、本書の記述の信頼性を増し、本格的な伝記たる所以だ。
BBC特派員(モスクワ、ワシントン)を経て、伝記作家として活躍する著者は、ロシアのウクライナ侵攻後に本書に加筆しているが、この暴挙も、以前に執筆した内容に見事に当てはまり、違和感がない。それまでの検証の正しさが、図らずも証明された形となっている。
8年がかりの調査取材によって執筆された本書は、読みやすさと充実のボリューム、高い精度の分析を兼ね備え、類書の追随を許さない。まさに「プーチンの真実」に迫る必読の書。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
20世紀から続くプーチンのロシア。ウクライナへの侵攻はロシアとプーチンを決定的に理解不能なものにした。気軽に読むには少し分量が多いけど西側ジャーナリストである著者の視点に基づいて大量の資料から編まれた伝記は一体プーチンとはなんなのかについて、理解しようとする試みには多少役立つと思われる。
個々のエピソードはイメージ通りのロシア的な冷徹さや闇の部分はもちろん、意外と人間関係を大切にするところだったり、少なくとも過去のソ連やロシアの指導者(ロシアの例はエリツィンしかいないけど)にはない清濁合わせ飲んで議論ができるキャラクターだったりと意外と魅力的なところもあったりする。大統領就任ごの初期の時期に限定されるかもしれないが。
上巻までしか読んでいないけど、昔ながらのヨーロッパのようでヨーロッパではないロシア的な精神と70年超の共産主義時代で育まれてしまった西側諸国との断絶はあまりにも深い。
翻訳は読みやすいけど雑なところもあるな。