小田哲のレビュー一覧

  • 宗教の起源 私たちにはなぜ〈神〉が必要だったのか

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    社会学、哲学、人類学、宗教学などの様々な立場からの宗教研究について、具体的な世界各地の宗教や信仰を例示しながら解説している。索引も細やかで再読しやすい。

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    2025年07月11日
  • 宗教の起源 私たちにはなぜ〈神〉が必要だったのか

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    キリスト教の本質を読んだあとにきになっていた本。紹介文でアニミズムやシャーマン文化について触れていたのが手に取るきっかけだったのだけれど、宗教が脳の発達や増えすぎた人間の適応の結果であることや、人間の社会的集団の人数の限界についての考察が面白い。宗教がある一定の信者数を超えると分裂することがわかり、それを超えないようにしている宗教があることなどタイトルからは思いもよらなかった内容に驚いた。
    集団人数についてパーティーに置きかえると、予々思っていた大規模になりすぎると野暮な客や調和しない客が混ざって雰囲気が損なわれることが多々あり、適切な規模のやや閉ざされたパーティーが良いのではないか?と考えて

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    2025年06月01日
  • 宗教の起源 私たちにはなぜ〈神〉が必要だったのか

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    私が改めて述べるまでもないような名著。人間の脳のサイズから、集団が安定的な社会関係を維持できるとされる人数の認知的な上限(約150人)を示したロビン・ダンバー。彼の名を取ったダンバー数という言葉もよく聞くが、本書ではそうした考察を基礎とし、宗教について考える。

    宗教といっても大きく「シャーマニズム宗教」と「教義宗教」ということで本書では区別して定義され、前者は道徳的な戒律が必ずしもあるわけではなくロールプレイを基礎とした儀式が主となるが、後者は、道徳的な戒律、聖書や仏典のような書物、教会のような空間、ロールプレイを規定した儀式がパッケージ化されたものだ。この教義宗教において、独自の「解釈」が

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    2025年03月07日
  • 宗教の起源 私たちにはなぜ〈神〉が必要だったのか

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    宗教がなぜ生まれてきたのか、脳内でのエンドルフィンの分泌作用、人口増加による集団の防衛、集団の統率など、様々な実用的な目的で発達してきたという仮説。

    神秘的な観点ではなく、必要があったから生まれてきたという客観的な根拠にも依拠する説明は目から鱗が落ちる読書体験でした。

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    2024年03月22日
  • 宗教の起源 私たちにはなぜ〈神〉が必要だったのか

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    かなり読みやすく、それでいて深い知見を得られる素晴らしい一冊。宗教そのものというより、私は、同じ志によって行動する組織──つまり、会社のような組織に応用できる考察はないかと思って読んでいたが、その期待を裏切らなかった。
    ダンバー数が圧倒的に正しいと信仰するかどうかは別にしても、一定の尤もらしさや、組織マネジメント論に比して検証なされている人類学の共同体に関する研究について、人々と関わり、字義通り目に見える実利以外の効果を期待する場合、宗教の起源について学ぶことの意義は小さくない。

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    2024年03月17日
  • 宗教の起源 私たちにはなぜ〈神〉が必要だったのか

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    宗教について、人間というかむしろ生物の起源にまで遡って、行動心理などを通して科学的に考察した良書。
    宗教の集会などが、大麻やマジックマッシュルームなどによるある意味今のドラッグパーティーのような感じだったんじゃ無いかとも感じ、独特の高揚感が人を呼び込み、また極端な集団行動の生まれる理由にもなるんだなと。
    日本からも天理教などの起源にも言及されてますが、日本の宗教観は世界からすると独特なんだなと改めて。

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    2024年03月08日
  • 宗教の起源 私たちにはなぜ〈神〉が必要だったのか

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    宗教について、進化的、身体的な側面も重視して考察する内容で、端的に言ってすごい本。群淘汰を前提にしているかも。

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    2024年03月01日
  • 宗教の起源 私たちにはなぜ〈神〉が必要だったのか

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    ダンバー数(=人間が安定的な社会関係を維持できるとされる人数の認知的な上限、150人)を提唱した筆者が、宗教がなぜ人間社会に生じたのかを宗教の各構成要素を切り口として考察した本。
    久しぶりにこういう本をドシッと読めて楽しかった。

    「コミュニティの規模が増えると統治が難しくなり、そのコミュニティを維持するためのストーリーが必要になる。それが宗教」というよくある語り口を丁寧に解説していく。
    そこに追加して人間が持つ特異なメタ認知能力が、ストーリーの納得感を高め、宗教の発展に寄与したという視点が新鮮でよかった。

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    2024年02月29日
  • 宗教の起源 私たちにはなぜ〈神〉が必要だったのか

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    宗教の起源について、人類学と進化心理学の専門家である著者が迫った。そもそも霊長類は外敵脅威から身を守るため集団で結束して生活するが、その集団の規模は脳の大きさによって決まっており、人間の場合は身近な共同体や個人の社会ネットワークには150人という上限が存在する。それを超えた集団を作ろうとすると、規模の拡大に合わせてストレスや集団内の暴力を減らす方法が必要になるが、宗教はそのための効果的な仕組みとして発達したとする。
    宗教の起源へのひとつの明快なアプローチであった。

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    2024年02月17日
  • 宗教の起源 私たちにはなぜ〈神〉が必要だったのか

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    歴史の解説かと思って読み始めたが、科学解説だった。
    人間が親密性を感じながら生活できる集団のサイズの上限は150人で、それを超えると分裂が始まる。それにより大規模な宗教には必然的にカルトが生まれる。
    解説によると、その150人という数をこの本の著者の名前からダンバー数というらしい。

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    2023年12月16日
  • 宗教の起源 私たちにはなぜ〈神〉が必要だったのか

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    宗教は人間の脳が大きくなるにつれ、共同体の規模が大きくなるにつれ、必然的に生まれた。

    宗教の最大の意義は共同体を安定的に維持すること。

    人間が親密さを持って接することができる人数の上限は150人前後。共同体の人数がこの数を越えると帰属意識が薄れていく。それを防ぎ共同体を継続して維持していくために儀式を伴う宗教で人々を団結させる必要があった。儀式や歌は人々を高揚させトランス状態に導く。トランス状態に入ることで巨大な共同体につきものの人間関係のトラブルはリセットされる。
    周囲と一体感を得ることでエンドルフィンが分泌され幸福感が起こり、NK細胞が活発化して免疫が高まり、利他的な気持ちになって共同

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    2023年12月04日
  • 宗教の起源 私たちにはなぜ〈神〉が必要だったのか

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    タイトルに魅かれて読んだ。
    私自身、特に信仰している宗教はない。
    だからこそ、何故人々は神を信じ、信仰するのか。何故、宗教は存在するのかと常々疑問に思っていた。
    著者の考察は大変興味深かった。
    著者は、宗教には大きな二つの流れがあると考える。一つは、連続的共同体で実践される慣行体系と位置づけて、儀式などの慣行が果たす実用的な役割、つまり「行なうもの」。
    もう一つは、より哲学的で、心理的な観点から、宗教を包括的な世界観ととらえる。共同体のなかで、さしたる証拠もなく受けいれられている一連の信念であり、この場合の宗教は「信じるもの」である。(p18)

    特に興味深かったいくつかの項目を挙げる。
    まず

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    2025年10月12日
  • 宗教の起源 私たちにはなぜ〈神〉が必要だったのか

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    難しかったけど面白かった。
    まず翻訳はとても自然で、翻訳による読みにくさはほぼない。

    「宗教は何で生まれたのか?」「なぜ人間は宗教を信じるのか?」「宗教はどうやって他人に共有されるのか?」「宗教はいつ生まれたのか?」といった、宗教に関する根源的な問いを考察している。
    そのアプローチが物凄く幅広い。脳科学、文化人類学、地理学、進化論など、様々な分野を一冊で横断している。「ん?これって宗教の話だったよね?」と思うほど、各章で宗教ではない分野を深く論じた後に最終的に宗教の話に戻って来る、という構成になっている。

    最後の解説が好き。イギリス人の著者が宗教を論じているので、宗教との距離感が独特な日本

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    2025年09月21日
  • 宗教の起源 私たちにはなぜ〈神〉が必要だったのか

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    長谷川眞理子さんが解説してることがきっかけで読み始める。ダンバーっぽい主張してるけど本文にダンバーの名前ないなーと思って読み終わって表紙見たら作者がダンバー本人。リチャード・ドーキンスが感情的に宗教を否定するのに対し、ダンバーは世界中の宗教をいっしょくたにしてドライに片付ける感じ。

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    2025年07月03日
  • 宗教の起源 私たちにはなぜ〈神〉が必要だったのか

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    知的好奇心を満足してくれる一冊。社会科学や脳科学を中心に、多くの視点から宗教を解説してくれるのは非常に興味深い。かつての俗説や自身の誤った知識を昨今の研究成果等をもとに指摘してくれるのも有り難い。

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    2024年11月09日
  • 宗教の起源 私たちにはなぜ〈神〉が必要だったのか

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    無神論者、いや何でも受け付ける人が多い日本。
    私も例外ではないが、宗教は身近で興味はある。しかし、いつ・なぜ発生したは知らない。

    古代交流のなかった地球上の各地で、あらゆる自然現象や自身の周りで起こる出来事に対し超人的な何かがあると畏怖する心が芽生え、それが意図せずアミニズムやシャーマニズムにつながり、宗教に至るのは、まるでヒトの遺伝子に組み込まれているようで何とも不思議だ。

    著者のロビン・ダンバー氏は、もともとサルの仲間の社会行動を研究する霊長類学者であったが、その後ヒトという生物が持っているヒトに固有の性質、即ちヒトの本性は何であり、なぜこのように進化したのかを研究する、進化心理学者に

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    2024年05月16日
  • 宗教の起源 私たちにはなぜ〈神〉が必要だったのか

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    一定以上の集団を結ぶ役割としての宗教の考察が丁寧になされている。
    宗教は何も不思議なものではなく、背景がある。
    アメニズム的信仰にも言及されている。
    内容は難しい。相当数の宗教分派に関わるワードが多数出てきており、詳しい理解のためには他に勉強の必要がある。
    しかし、前段の通り、普遍的な意味での宗教を捉えるには背景知識が多少不足していても可能であり、非常に面白い書籍である。

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    2024年03月21日
  • 宗教の起源 私たちにはなぜ〈神〉が必要だったのか

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     ダンバー数という概念をご存知だろうか。そのダンバー数を提唱したロビン・ダンバー氏の著書『宗教の起源―私たちにはなぜ〈神〉が必要だったのか』を読んだ。ちなみに、ダンバー数の1つの数値として、「ヒトの自然な共同体の大きさは150人」というものがある。同著で個人的に注目したものは、「宗教の進化的基盤の分析」と「ダンバー数の理論の宗教教団の発展論への応用」の2点。人間の認知の仕組み、集団における心理をもとに、宗教というものがなぜ成立したのかを、さまざまな研究をもとに解き明かしている。

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    2024年03月08日
  • 宗教の起源 私たちにはなぜ〈神〉が必要だったのか

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    人間の認識能力と集団生活が宗教を生む。自然や集団の中で起こる理不尽な出来事を感じ取りそれをホモサピエンスの認知能力の力でメンタライジング(目に見えない世界を想像する段階の深まり。普通の人は五次まで扱える)することで超越的な存在を想像してきた。集団的な陶酔もツールとして使うシャーマニズム宗教が生まれる。陶酔感は大脳のエンドルフィン分泌により生み出される。その想像を共有できて互いに関係を持てる共同体はダンバー数の150人くらいまで。これも大脳の認識能力が制限している。人が外敵からの防衛を目的として大きな共同体を作る段階ではシャーマニズム宗教の手には負えなくなる。宗教はよりシステマティックに教義がま

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    2024年02月05日
  • 宗教の起源 私たちにはなぜ〈神〉が必要だったのか

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    なんとなく、タイトルと目次を見て読もうと思ってみたのだけれど、
    よく見ると、ダンバー数(人間の安定した社会集団の上限はだいたい150人くらい)で有名な著者によるものだったと知り、楽しみにしながら読んでみた。

    この本は、タイトルからすると、宗教の考古学的な研究や宗教の歴史研究のように思えるが、そうではない。
    宗教の中身の問題ではなく、宗教があることが人間社会においてどのような役割を果たしているのかについての本になっている。

    結論から言うと、人間の集団は本来の自然な規模であるダンバー数、100~200人を越えて(ある程度)機能しているわけだが、社会集団を機能させるための調整機能を宗教ははたして

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    2024年02月04日