巷で話題の図書。美術や芸術という言葉にアレルギーがある私でしたが、「美学」は哲学的な学問だと冒頭での説明に急に親近感。
近代西洋における美学の概論という内容で、各テーマごとに起源、成り立ち、現代における捉え方と丁寧に解説してくれており、初学者としてとてもとっつきやすい構成となっている。
前半は古
...続きを読む代、中世、近代と芸術や芸術家、美の意味することが異なっており、一部にはそれらの概念が17-18世紀ごろの近代までなかったという驚き。現代の私たちが当たり前と思っている感覚の成り立ちにおける趨勢を体感できる。
特に感じ入った点。カントの「判断力批判」を引き合いに出し、個人的に疑問に感じていた美的感覚は個人的な感覚なのに、他人と共通で美しいと感じる作品やもの、風景があるのはどいうゆうことかな?という問いに一応の答えが与えられたことがよかったかな。(美は主観的であるにもかかわらず、普遍妥当性を要求するもの。)でもなんで味覚との対比で美が普遍性を要求するという位置付けなんだろう?美味しいものも他人と共有したい気持ちはありそう。。という疑問は払拭できず。
後半では、「崇高」と「ピクチャレスク」といった自分には初めての概念を学ぶことができ、この学問への興味が掻き立てられた。読書案内も充実しており、活用してさらにこの学問への興味を深めていきたい。良い出会いでした。