井奥陽子のレビュー一覧

  • 近代美学入門

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    「ピクチャレスク」の概念について論じた第5章は、現代の「映え」ブームを考える上で、とても面白い読み物になっている。また、「崇高」という概念が含む様々な意味合いに興味をそそられた。読者の立場に配慮した懇切丁寧な構成もありがたい。良書である。

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    2024年11月26日
  • 近代美学入門

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    以前『美学への招待』を途中まで読み挫折してしまったが、こちらは読みやすかった。巻末の読書案内も興味ごとに紹介されており、次の段階への足掛かりも用意されている親切設計。
    ただ、冒頭で筆者がことわっているように西洋に重きを置いているため、より広く知るには他にも読む必要は出てくる内容。

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    2024年11月22日
  • 近代美学入門

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    「芸術」という概念が古代からどういう変遷で現代に至るかを分かりやすく解説している本。
    どの章も面白かったが、個人的には4章の「崇高」と5章の「ピクチャレスク」が特に興味深く感じた。分かりやすく読みやすい文章でスルスルと読めて読み終わるのが寂しくなるような一冊でした。

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    2024年11月04日
  • 近代美学入門

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    巷で話題の図書。美術や芸術という言葉にアレルギーがある私でしたが、「美学」は哲学的な学問だと冒頭での説明に急に親近感。

    近代西洋における美学の概論という内容で、各テーマごとに起源、成り立ち、現代における捉え方と丁寧に解説してくれており、初学者としてとてもとっつきやすい構成となっている。

    前半は古代、中世、近代と芸術や芸術家、美の意味することが異なっており、一部にはそれらの概念が17-18世紀ごろの近代までなかったという驚き。現代の私たちが当たり前と思っている感覚の成り立ちにおける趨勢を体感できる。

    特に感じ入った点。カントの「判断力批判」を引き合いに出し、個人的に疑問に感じていた美的感覚

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    2024年02月25日
  • 近代美学入門

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    井奥陽子(いおく・ようこ)
    日本学術振興会特別研究員。東京藝術大学美術研究科博士後期課程修了。博士(美術)。二松學舍大学、実践女子大学、大阪大学などの非常勤講師、東京藝術大学教育研究助手を経て現職。専門は美学・思想史、とくにドイツ啓蒙主義美学。著書に『バウムガルテンの美学――図像と認識の修辞学』(慶應義塾大学出版会、2020年)、共著に樋笠勝士編『フィクションの哲学――詩学的虚構論と複数世界論のキアスム』(月曜社、2022年)がある。

    私はあるとき、茶道に造詣の深い友人に「和菓子は芸術だと思う」と言われました。話を聞いていると、それは次のような理由からでした。茶道教室で頂く和菓子

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    2024年02月20日
  • 近代美学入門

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    素晴らしい一冊。興味のあった美学を知りたいと購入。美と崇高とピクチャレスク。分かりやすいし、これからの美術鑑賞にも役立つ内容。
    カントも学んでみたくなった。

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    2023年12月29日
  • 近代美学入門

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    現代の人が考える「美」や「芸術」「芸術家」への考えが過去より連綿と紡がれてきたものではなく、当時の人々によって再考され、新しく生み出されてきた、比較的新しい概念であることを初めて知った。

    美学という初めて触れるジャンルであったが、歴史通じて、時系列で記述されながら、ところどころでその時代ごとの繋がりが強調されていた。

    「美」への接し方や考え方を再考するキッカケになり、読んでいてとても面白かった。

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    2023年10月22日
  • 近代美学入門

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    「美しい」とは何か、哲学的に考えたくなり読む。「美しい」の考え方が歴史的に変遷する状況を学ばせてもらう。哲学的に一言で「美しい」と語るのは難しいが、美は技術で崇高で主観だ。誤読とも思うが、この言葉をもとに、考え方を深めていきたい。

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    2023年10月21日
  • 近代美学入門

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    西洋近代に生まれた美や芸術に係る諸概念の変遷を概説しながら、現代の私たちのアートへの向き合い方について考えさせてくれる一冊。

    初学者向けに分かりやすく体系化された本なので非常に読みやすい。特に最終章で取り上げられるピクチャレスクの話題は、身近な観光やSNSの話にまでリンクするので興味深かった。

    既に一定の知識がある方がこの本を読んでどのように感じるかは分からないが、入門書としては非常に良いと思う。

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    2025年09月16日
  • 近代美学入門

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    美学とピクチャレスクについて、とても興味深く読んだ。美術品や現実の風景を見て、心が揺さぶられることの仕組みを言語化して理解しようとする試みをもっと学びたいと思った。

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    2025年08月02日
  • 近代美学入門

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    ネタバレ

    建築家や彫刻家や画家はギルドに所属し教会や貴族からの注文通りの造形作品を制作していたが、ルネサンス期には商業が発展し豪族などが職人のパトロンとなることで制作の自由度が増し、技術の向上の余地も生まれる。職人の諸技術のうち美しいものが芸術と呼ばれ、その地位は向上、アカデミーも創立され、芸術家は独立した知識人の地位を認められる。やがて芸術作品には作者の内面が表現されているとされ、美を対象のプロポーションに見出す客観主義ではなく美は受け手の内面に生ずるとする主観主義が優勢となり、芸術家は独創的な世界を創造する天才と扱われるに至る。この傾向は作者の感情を表現するロマン主義に通じる。また、美が主観的なもの

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    2025年04月10日
  • 近代美学入門

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    初めて美学に関する本を読んだ。研究者らしい簡潔な文章で書かれていて読みやすい。崇高やピクチャレスクなど抽象的な概念について、具体的な絵画を引用し、わかりやすく説明している。他の美学の本も読んでみたい。

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    2024年08月20日
  • 近代美学入門

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     この本を読んで、美しいものに対峙した時の語彙が増えたと思う。
    美、崇高、ピクチャレスク。これらの概念を整理し、さらに現代の美が近代ヨーロッパの基準に沿って作られていることも明らかになって、そこを強く意識できるようになった。
     美はそれだけで賞賛すべきか?
     「人種的な美しさ」という回答に沿って我々は美容をしていないか?
     また、自分の美に対する考え方が、客観的美の立場であること、さらに言えば、「幾何学の神」であることがわかった。ならば、積極的に主観的美の立場を取り込んでいきたい。
     この本を読んで覚えていることは、美、崇高、ピクチャレスクを意識すること。そして、芸術という単語は近世のものであ

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    2024年07月11日
  • 近代美学入門

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    最初の数ページにカラーの絵画などが掲載されているのが視覚的に面白かった。本の内容と関係している絵である。崇高などの美学に関する言葉の細かい説明が書いてある。主に現代の芸術に対する問題提起があってよかった。

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    2024年04月23日
  • 近代美学入門

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    美学についての論考だが、難しかった.美をどのように定義するかに関して、神が登場するのは予測していたが、17世紀辺りまで、その影響は多大だった由.芸術に関しても、詩、音楽、絵画、彫刻、建築の主要ジャンルが18世紀頃に確定して、それぞれ独自の発展が見られるが、当時は一般大衆がそれらを味わうことはなく、富裕層の嗜みだったようだ.風景を素晴らしい感じるのも、裕福な人たちがグランドツアーと称する旅行で特異な情景を目にしたのがきっかけで、写真のない時代に現地でスケッチしてものを、後から絵画に表すことでアルプスなどの絶景が紹介されたようだ.「美」をベースに歴史の勉強をさせてもらった感じだ.

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    2023年12月11日
  • 近代美学入門

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    近代美学について、簡潔にまとめた、ありそうで無かった入門書。
    特に崇高とピクチャレスクについて触れられているのが、貴重。
    崇高はカントの判断力批判で学んでいたが、このことを含め、全編を通して得難い復習ができた。

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    2023年12月10日
  • 近代美学入門

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    われわれが「美」についていだいている素朴な理解が、近代以降に形成されたものだということを解説し、そうした「美」の理論をつくり出した思想家たちについて紹介をおこなっている本です。

    古代から中世にいたるまで、「アート」に相当する概念は、近代以降の「芸術」とは大きく異なるしかたで用いられていました。天災による創造ではなく、職人の技芸を表わすことばとして理解されてきたこれらの概念が、どのような経緯をたどって現代のわれわれが理解する「アート」に変遷してきたのかということが、簡潔に解説されています。つづいて、近代美学の中心的な概念である「美」と「崇高」と、さらに「ピクチャレスク」の概念がとりあげられ、そ

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    2025年05月01日
  • 近代美学入門

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    「美しい」とは何かを歴史的に解説した本。絵画に興味が出てきて読んでみた。
    価値観の変遷を辿るのは面白いが、学問にすると途端につまらなくなるな。

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    2024年05月06日