松波龍源のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
本書で扱われているのは「宗教としての仏教」ではなく、「哲学・思考法としての仏教」。苦しみをどう認識し、どう回避・乗り越えるかをロジカルに解説してくれています。
特に印象的だったのは「絶対的なものがない」という考え方。西洋哲学が神や「我思うゆえに我あり」といった絶対を前提とするのに対し、仏教では「私ですら相対的な関係性の中で成立している」と説く。これによって「こうでなければならない」から解放され、変化をただ受け止める心の余裕が生まれるのだと思いました。
また、「欲望=悪」ではないという点も共感しました。
これは本で直接書かれていたわけではなく、読んでいて自分が連想したことですが、たとえば甲子 -
Posted by ブクログ
仏教は論理的と言いますが、昨今の世情を見ると、論理的に正しいからと言ってそれが誰でも納得できるものとは限らないと言う状況のように思えます。
すべてのものは関係性のネットワークで成り立ち、流動的で、相対的である。と言う考えは、キリスト教の一神教の考え方よりも正しいと感じるますが、すべての人が唯識や利他の考えを理解できるわけではなく、多くの人は唯一の絶対的な価値観を提示してあげなければ、ちゃんと生きれない人がほとんどなのではないでしょうか?
理論は素晴らしいのに実情がそうなっていないのは人々の叡智が足りないと言う筆者のまとめは、今の世の中がまさにその通りになっていると思います。 -
Posted by ブクログ
VUCAの時代やSNSの承認欲求といった現代社会の事象を仏教の視点で読み解いた後、「諸行無常」、「一切皆苦」、「縁起」、「空」といった仏教の核となる概念についてわかりやすい説明がなされている。
最終パートの、他の宗教と比較しての仏教や、哲学思想としての仏教の位置づけ、日本における仏教の解説は非常に鋭い考察で勉強になった。
仏教は神を中心とするいわゆるわかりやすい宗教ではなく、個人が自立して自分の人生をより生きやすく、より善く生きるための指針となるものだと感じた。
私自身、年を取るにつれて物質的なものや世俗的なものに価値を見出すことに疑問を感じることが多くなった。
限られた人生を想うと、仏教 -
Posted by ブクログ
歴史や絵画の勉強はもちろん舞台観劇や映画鑑賞も宗教についての知見があればもっと楽しめるのに、という場面が沢山ありつつこれまで全く触れずに生きてきたが、最近色んなきっかけがあって勉強したくなり、友人が紹介してくれていた本書を手に取った。
仏教初心者なので全てが新しかったけれど、唯心論、因縁生起、一切皆苦、三慧、「今を生きよ」の意味、などを知ることができたのが特によかった。仏教が合理的で科学的な哲学であるというのも意外だった。
後半の西洋哲学との比較の部分はもう一回読んでちゃんと理解したい。
とても分かりやすかったので本著の元になるラジオも聴きたいし、松波さんと野村さんがタッグを組むきっかけに