従業員エンゲージメントの高さに定評のあるポーラ。
同社の社長著作のエンゲージメントハウトゥ本。
「幸せ」の切り口から、マネジャー層がどのように部下をマネジメントし、成果を残していくべきかを記した一冊。
要約すると、「チームメンバーの心理的安全性をいかにして高めていくか」について書かれているのですが、それが手触りの良い言葉選びと、実践しやすい具体的なハウトゥ、そしてリアルな体験談と共に書かれているので、とてもイメージしやすく、また即実践にら繋げられる良書だと思います。
以下、私なりの要約。
◼︎『幸福度』の高さが何に影響するのか?
パフォーマンスだけでなくメンタルヘルスも改善する。
部署やチームに波及する。他の人にも幸せが伝わる。
◼︎どうすれば『幸福度』を高められるか?
幸せの4つの因子を満たせば良い。
①やってみよう因子
②ありがとう因子
③なんとかなる因子
④ありのまま因子
※詳細は本書を参照。
多くの場合、リーダーが方針を立ててもチーム全員がそれを自分ごととして実践するのは簡単なことではない。
秘訣は、リーダーが率先してお手本を見せること。
例えば、ありがとう因子を高めていくためには、リーダーが1番多く『ありがとう』を口にする。ことあるごとにありがとうと言われたら、周りも自然と見習う。
ちなみに、誰かに『ありがとう』と言うとき、その前後に固有名詞をつけると、さらに効果的。
『◯◯さん、ありがとう』と名前で呼ばると、『私』が特別に感謝されたと感じる。
◼︎リーダーが注意すべきこと
人は、一方的に他人にエネルギーを向けるばかりでは疲弊する。
誰かに優しくしてもらわないと、ありのままの自分を保てず、自然に人に優しくできない。
優しさと思いやりの交換が自然に起こるような関係が大切。
◼︎本人の幸福度が高く、成果を出しているオーナーに見られる傾向
相手がどう感じるか、相手にとっての幸せは何かを考えている。
その結果の行動として、「命令していない」
やるべきことがあれば、命令して相手を動かすのではなく、まず自分が動く。
チームメンバーはその姿を見て、「ああやればいいんだ」と自主的に気づいて、自分の意思で行動してくれる。
人は、主体的に動いている意識があると、貢献意欲や所属意識が高まる。
メンバーは、委ねられることで、このチームに自分が必要だと感じ、自由に意見を言うことができる。
まさに心理的安全性の高い組織が作られていく。
◼︎幸せなチームづくり7ヶ条(本書の肝!)
①目をつむらずに対話する
正解は気にせず個人見解を伝えてOKと安全性を担保。
聞くばかりでなく、リーダー自身のことも開示する
プライベートの失敗談を打ち明け人間味を感じてもらう。
目を瞑る行為が蓄積していくと、行動の背景にある本音を知らぬまま、お互いの距離が空いていくことになりかねない。「どうした?何かあった?」と聞いてみよう。
②ジャッジしない、正解を求めない
店長とスタッフでの乖離が最も大きかったのがこれ。
リーダーにそんなつもりはなくても、メンバーからすると価値観や意見の押し付けと感じるケースも少なくない。
日頃から周囲の多様な考えに触れることも大切。
意見を出してくれたこと自体に「ありがとう」と感謝を伝える。
③執着せずリセットする
そもそもリーダーの行動の目的は「ありがとう」と言われることではないし、感謝されることではない。
④任せて頼る
リーダーはつい、あれもこれも自分がとなりがちだが、自分の苦手や弱みを開示することは、メンバーとの信頼関係を築く上で効果的。
特に、しっかり者で隙がないように見られる人ほどおすすめ。
あまり完璧に見えるとメンバーとの距離があきがち。
人は任せられることで貢献したいと思うもの。
そして貢献と幸福度には強い相関がある。
「忘れがちなのでリマインドしてくれると助かる」
「今のトレンドを教えてほしい」等、苦手なところをさらけ出す。
「自分がやらねば、しっかりしなくては」を手放し、リーダー自身が楽になることも意識する。
⑤経験を教訓にする
良かったことを振り返り、具体的に何が良かったのかを共有する時間を持ち、根拠のある成功体験として整理する。ポジティブな出来事は流しがち。
ロミンガーの法則(リーダーの成長に役立つこと)
70%が経験
20%が薫陶やフィードバック
10%が研修
⑥相手を変えるのではなく自分が変わる
相手の立場や状況に立って想像する。相手をよく観察して考える
⑦愛のループ
感謝を伝える。感謝を伝えることは相手の承認欲求を満たし、安心を与えることである
ありがとうは、どれだけ言ってもこちらがすり減ることはない。
◼︎その他
・リーダーの心構えは、「性善説」
今不十分でも、その人の伸び代を信じて向き合い続ける忍耐力が必要。
そのために、その人の強みやできていることを認め、肯定的な言葉で応援する
・少しくらい意見が衝突しても円満な人間関係を保てるかが、本当に意味のあるチームか否かを分ける条件。
・意見が対立しても、チームとしての意思がまとまれば、反対していた人も力を合わせてアクションを高めていける、そんなチーム力。
・人は放っておくとネガティブな側面にばかり注目する。意識的にポジティブな部分を見るようにする。
・1オン1の最大の目的は、部下のモチベを上げること。
「今困っていることある?」
「(困っていることに対して)どうしてだと思う?」
部下が次にすべきアクションは、部下自身が知っていると信じて委ねる。
・理解できない部分は個性だから良いと思うようにする。
・仕事は自分の体を犠牲にしてまで成功させなくて良い。