牧野百恵のレビュー一覧
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分かりやすく、その上ジェンダー関連の実証論文の紹介としても価値ある新書だった。シンクタンク内で開催している勉強会で扱った論文の一般向けの紹介、というバックグラウンドがあるとあとがきで知って納得。本文はもちろん、148項に及ぶ参考文献をぜひ参考にしたいと思う。
経済学を学ぶ人にとっては、ミクロ経済学や計量経済学によってどのように現実世界を描写できるのかの力強い例になるし、そうでない人にとっても、社会問題を考えるにあたって経済学のモデルや考え方を用いることの有用性を感じられるはず。ジェンダーをはじめとして、労働や家族などに関心があるすべての人に、ぜひとも手に取ってほしい本だとおもった。
個人的には -
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ジェンダー格差、女性のほうが所得が低いとかエンパワーメントが低いとかの原因を探る実証経済学の事例をわかりやすく紹介する本です。
因果関係と相関関係の違いを判断するのは、自然科学の実験とは違い難しいようです。
女性のために良かれと思って実施した政策でも、結果は意図したことと逆になってしまうということも在るそうです。例えば、インドで家庭で家事をしていた主婦が仕事などで家庭の外に行くようにする政策が、結果としてその家の女児が家事をしなければならなくなり、その女児の教育水準が下がり、長期的には女性の地位が低下してしまったという事例などです。
ジェンダー格差は、根本的には、男性は仕事、女性は家事というよ -
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書いてある内容は、ほぼほぼ納得、ジェンダーに関する議論は、ともすれば、あるべき論や心情論に陥ってしまいがちではないかと思うところ、データできちんと示しているところが本書の特徴、なのかな。
「はじめに」で中絶の論議が代表例としてあげられているように、主義や心情で議論するのではなく、中絶が非合法の地域・時期と合法化された地域・時期を比較したデータから、誰が不利益を受けて、社会にどのような影響があったのかを明らかにしたうえで、その是非を問う、という視点をもたらしてくれる。
途上国の「婚資」について、その習慣がある場合の方が、女性の教育水準が高い、とか、男性の育休が女性の昇進競争力を下げている場合があ -
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ネタバレジェンダーとは、社会文化的に意味づけされた性別、名物学的な性別はセックス。
ジェンダー格差を測る指標=世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数。日本は146国中125位。東アジアの中でも最下位。
OECD諸国のうち、4大卒以上の割合が女性より男性が高い国は日本だけ。他の国は、女性のほうが高い。STEM分野(サイエンス、テクノロジー、エンジニアリング、マス)は特に男性が高い。
政治と経済の分野でさらに順位が低い。
格差があることを好都合と思っている女性もいる。専業主婦は奢侈財で根強い人気がある。
国連開発計画のジェンダー不平等指数だと170か国中22位。
インド農村で、女性の賃金上昇があ -
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エンパワーメントとは、自身の人生をコントロールできること。
女性が進路、就職、結婚、出産など、人生の大きな分岐点だけでなく、日常生活のあらゆることに対して、自由に決められ、自己実現を感じられることがメントが実現した状態と言える。女性の意思決定権、自律性、行動の自由、強要からの自由などの指標を上げることができる。自律性とは、他者からの支配を受けず、自己の立てた規律に従って、意思決定・行動することを指す。
男女間の賃金格差は学歴の差だけでなく、好みの問題も入ってくるんだなー。女性は高い賃金より通勤時間が短い方を好んだり、柔軟な働き方を好んだりするんだって。 -
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ジェンダーによる格差のエビデンスを提示してくれた本。
エビデンスの提示とはこんなに大変なのかと改めて思う。相関関係と因果関係は違う。他の要素を排除した因果関係の証明は難しい。
私たち一般人は、さほど根拠がなくとも、簡単に統計に惑わされるのだが。
研究者たちの努力に頭が下がる。
こんな困難な検証を経て導き出されたいくつかのエビデンスを積み重ね、出てきた最小限の結論、「クオータ制が質の低い女性議員を当選させるのではなく、無能な男性議員排除に繋がる」というのは、大事にしたいし、この結論に胸がすくようだ。
男性も取れる育児休暇制度導入が男性研究者のキャリアにとってのみ有利に働いたというのも、男性が