上村剛のレビュー一覧
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アメリカの植民地時代から独立戦争を経て南北戦争の前夜までを概説。アメリカ建国の歴史を知ることができる良書。成文化憲法、三権分立、民主主義と言った今の日本や西欧では当たり前の制度がアメリカの独立(アメリカ革命)を通して成立していく様子が子細に書かれていて面白い。とりあえず憲法を作り、都合が悪いところは修正案を入れたり、都合が良い解釈をすることでとにかく世の中に合わせていくとともに逆に世の中を憲法に合わせて行ったりと言ういかにもアメリカ的なプラグマティックさが何とも言えない。自分たちで作っておきながら、その後解釈を議会で議論するというのは何とも面白いと思った。まあ、国を最初から作るというのは一筋縄ではいかないという事なのだろう。
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Posted by ブクログ
本書は、現代の政治システムを支える柱の一つである権力分立の概念がいつ、どこで、どのような経緯を経て誕生したのかを綿密に追跡する研究である。本書の叙述の出発点はモンテスキューの『法の精神』であるが、権力分立論と混合政体論との関係、分立されるべき権力のセットのなかに司法権を含めるか否かという問題、権力分立と権力同士の抑制と均衡とを論理的に切り離して捉える本書の理解に基づき、モンテスキューの議論が様々な解釈に開かれていることがむしろ主題となる。ついで英語圏にモンテスキューの議論が導入された時代において、ブラックストンはモンテスキューを称賛しつつ、裁判権の担い手を陪審ではなく判事=貴族に求めるなど、権力分立論を我流に変奏しつつ提示した。第二部では、ヨーロッパ的な身分制社会が存在しない植民地を多数抱えたブリテン帝国において、アメリカやインドの植民地統治機構の整備をめぐる論戦において、徐々に現代的な権力分立論の原型が出来上がっていく過程が追跡される。そのため本書は、1773年の東インド会社規制法の庶民院通過をもって、権力分立論の一大画期とみなすという新たな理解を提示している。そして第三部では、周知の通りアメリカの建国の父たちが『フェデラリスト』などでモンテスキューを参照していることをもって彼らを権力分立論者とみなしてきた従来の理解が塗り替えられる。マディソンは既存の権力分立論を換骨奪胎して権力の制度的な混淆を重視し、ハミルトンは三権分立よりもむしろ連邦と州との間における権力の抑制と均衡を重視したという意味で、意図せざる帰結として彼らは権力分立論者になったという理解が提示される。本書はブリテン帝国やアメリカ合衆国の様々なアクターの多様な政治的言説に光を当てながら、彼らが駆使したモンテスキュー的な概念的枠組みの背後にどのような意図が介在していたのかを丹念に掘り起こし、結果として、権力分立論が今なおもっている様々な解釈の可能性を浮き彫りにしている。その意味で、現代において権力分立論を引き合いに出す者にとっても、示唆するところに富む。また大西洋とインド洋をまたがる広大な地域で展開された政治的議論に着目している点で、「思想のグローバル・ヒストリー」と呼ばれるに相応しい内容を本書は誇っている。
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Posted by ブクログ
20250103-0115 アメリカ独立戦争前後から南北戦争前夜のフロンティア消失までを取り上げている。著者の文章が大変読みやすく、ヨーロッパ諸国とのややこしいやり取りもかなりすっきり書かれているので理解しやすかった。
私が学生時代に習った米国史は、英国(他に仏国・スペインなど)からの清教徒?を中心とした入植→独立戦争からのアメリカ建国→憲法制定、ワシントン大統領→どんどん西部の開拓が進む(黒人奴隷も増える、先住民族から土地を奪う)→西部開拓の末に西海岸まで到達→奴隷解放をめぐり南部と北部が対立→南北戦争===って感じで、それこそインディアンと西部のガンマンの映画と教科書的な理解にとどまっていたので、本書を読んで、米国史の見方が広がったと思う。 -
Posted by ブクログ
憲法体制の確立をゴールに据えて、アメリカ独立革命を多角的な視点で捉え直した一冊。本書では、連邦憲法を制定したことをもってアメリカの独立が「革命」であったとしている。(アメリカは憲法を書くという作業を初めて自覚的に実行した)
アメリカの独立と国家建設は、「イギリスの圧政に対して13の植民地が立ち上がった」と語られることが多い。しかし実際は、白人同士や白人と先住民 (さらには先住民同士) などのアメリカ内部での対立、ヨーロッパ諸国、北中米のほかの植民地との国際関係など、さまざまなファクターが作用していた。
そうしたことを踏まえながら、植民地時代、独立戦争、憲法制定会議、帝国化と民主化など、南北戦争前の1840年代までが描かれている。
アメリカ合衆国の始まりを詳しく知ることができて新鮮だが、この時期のアメリカ史やヨーロッパ史の基本的な知識は必要。