キム・ワンのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
孤独は都市生活に付きもののありふれた状態とはいえ、孤独死というものは寂しく、惨たらしいものだと本書を読んでつくづく思う。そんな当たり前の他者への共感さえ、日々さらされる大量の刺激的な情報によって、たいぶ麻痺していたのだなと反省した。
もちろん、表題から予想されるような、グロテスクでショッキングな描写もそれなりにあるが、非日常を見せられるというよりはむしろ、日常生活に目を凝らすと浮きでる現代の地獄を見ている感じがしてくるような文章だった。そこが他の特殊清掃モノと違うところだ。
都市化した社会がないことにしている、孤立してしまった人たちの苦しみや死というものが、腐敗した遺体からものすごい臭気と -
Posted by ブクログ
死と向き合う機会は当たり前に生きてたらそんなに無いと思う。その一方で筆者は死者宅の清掃をする特殊清掃員として多くの人の生きた跡と死んだ跡に関わり、死と生の淡いを日々眺めている。そんな筆者のエッセイには死から考える生という死生観の大切さを感じられた。
本書を読んで良かったのは、知人が亡くなったときに感じる「お前もこうなるかもね」と言われているような、いずれくる自分の死と向き合わざるを得ない感情との付き合い方を見出だせたところにありました。ひとりの人の生と死を見て自分も例外じゃないというのを改めてつきつけられるあの瞬間との付き合いだけは妙に慣れていなかったのでよかった。
デスストランディング -
Posted by ブクログ
凄惨な自殺現場が生々しく描かれているのかな~とおっかなびっくり頁を捲ってみたけど決してそんなことはなく。特殊清掃というお仕事を通して自省している、日記を読ませてもらっているようだった。
読んでいて所々にパンチラインと感じた文章があったので以下に記載。
『虎は死んで皮を残し、人は死んで名を残すという。そのことわざに込められた名誉至上主義と度の過ぎる人間本位の世界観が私には気に入らなかった』
『人生はとても複雑に絡んでいるようで、実はすべてが食べて生きるという単純な動機から始まっている。』
『苦労の多い人間ほど大きな生きがいを持つといった比例法則のようなものが存在するのだろうか。』