川東雅樹のレビュー一覧

  • 本と歩く人

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    ネタバレ

    すごいすごい!久々の★5!本好き、ドイツ好きには堪らない。話がサクサク進むのでダレない。映画版は全然別人だと思ったけど、表紙のカールとシャシャは本人じゃん。

    賢い老人と活発な少女の掛け合いが小気味良い。子どものシャシャだからこそカールにぬけぬけと叱責できるのも良いし、子どもに戸惑っていたカールが徐々にシャシャを良き相棒と思っていく流れがあまりにも自然。シャシャの良さを父親に伝えようと、本の虫を描けることを挙げるあたりも面白い。カールが老人らしく怒りに振り回されないので大人だなと思った。この領域に行きたい。

    タイトルと雰囲気からして全体的にハッピーなのかと思いきや、良い塩梅でまあまあの辛さを挿入してくれるのでご都合主義感が薄れている。けれどもハッピー・エンドなので安心されたし。ただ、カールの怪我が治るかどうかだけ気になる。シャシャの父親はもう一生牢屋では?ただ父親の言い分は正しいので、悪役一辺倒でもないのが憎い。サビーネ・グルーバーの方が嫌われるだろうな。

    猫のイヌとか概念からして愛したい。なんだか堪らない。どうしてそんな存在を思いつけるの。

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    2026年09月09日
  • 本と歩く人

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    本とともに生きてきたカール。
    年老いて、勤務する書店のボスも代替わりして、
    何かと煙たがられる存在に。
    しかし、本を注文してくれて、それを届けるお客様はまだいる。毎日決まった時間に、その人のために考え、歩いて届けている。
    まるで巡回しているように。
    訳ありのお客様ばかり、お店に行かれるような状況でもない人や、カールと話をして何かを得ている人ばかり。皆なにかに閉じ込められている。
    カールもまた、小さな町に閉じこもったままでいる。
    ある日、突然に天使が降ってきたように、小さな女の子がカールと巡回をともにするようになる。
    彼女もまた、閉じ込められているひとりだった。
    天真爛漫、可愛らしい彼女の態度に戸惑いながら、その賢さ、素直さに惹かれ、振り回されることに喜びを感じていく。
    老人と少女、凸凹コンビがなにかを変えていく。
    変化はよいことばかりではなく、ドキドキしたり
    ワクワクしたり、えー!そんな!と嘆いてみたり
    一緒になって町を徘徊している気分だった。

    本と人の関わりを通して、大切なものを教えてもらったような、本好きにとっては素敵な物語。

    そしてこの緑の装丁!
    冒頭で店のお客様である、シェーファーの大嫌いな緑の表紙!なかなかシャレが効いている。


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    2026年07月29日
  • 本と歩く人

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    本と老人と少女の物語
    本の存在意義が語られる部分が多い
    書店に仕事で行くことが多く、感じ入る言葉がいくつもあった
    何より、「すべての本屋さんへ」から始まる献辞が良かった

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    2026年06月02日
  • 本と歩く人

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    すばらしいの一言。
    最初から最後までずっと優しいおだやかな文章が続き乾いた気持ちにそっと染み込んでいくような本です。

    本当に素晴らしかった。

    心に一番響く本こそ手放さなくてはいけないんだよ。他の人たちもその中に幸福を見つけられるようにね

    すごく印象に残る一文です。
    読み終わった後は私の中にもシャシャが出てくるようになりました。

    たくさんの人に届きますように。

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    2026年05月10日
  • 本と歩く人

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    <どんな人におすすめ?>
    ・本好きが書いた本好きのための本を読みたい人
    ・海外文学に精通した人
    ・本でつながる人々の物語を読みたい人

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    2026年04月22日
  • 本と歩く人

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    街を歩いて本を配達する老書店員といずれも訳ありなお客たち。その狭い世界に1人の女の子が入り込んで展開する大人のおとぎ話。本好きにはたまらない、ステキな1冊でした。

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    2026年02月28日
  • 本と歩く人

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    本好きな人、本に救われたことのある人。そんな人に、おすすめしたい本。
    カールに寄り添ううちに、人生の終い方についても考えさせられた。
    映画も観てみたい。

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    2026年02月08日
  • 本と歩く人

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    保守的でおだやかなおじいちゃんと、奔放で猪突猛進な子ども。
    一見正反対にも思う組み合わせの化学反応が、なんと幸福なことか!
    誰もが好きになるに決まってるだろう!

    うわーん、素直に感動しかなかったよ。
    王道の展開ではあるものの、王道でありがとうとすら思えるから不思議。
    じわじわと沁みわたる、心の滋養剤です。

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    2026年02月07日
  • 本と歩く人

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    書店員の老人と9歳の少女、凸凹コンビの会話の掛け合いが面白く、微笑ましい一冊。本好きの方に勧めたい。

    2020年に刊行されたドイツの小説で、一年以上にわたりベストセラーの上位を占め、60万部を記録したらしい。映画化済みだが、日本ではまだ観られないみたい。

    主人公は72歳の書店員・カール。
    老舗の書店に雇われてはいるが店頭に立つわけではなく、面白い働き方をしている。毎日、数冊の本をリュックに詰め、歩いて顧客に届けているのだ。顧客との間には長年の付き合いがあり、どういう系統の本を好むか熟知している。顧客もカールを信用し、選書を任せている。

    カールは顧客たちをひそかに小説の登場人物の名前で呼んでいる。さらに自らの暮らす旧市街を本の世界に見立て、そこで自足している。そんな閉じた世界の住人であるのだが、彼の顧客も一癖も二癖もあり生きづらさを抱えながら生活している。

    そこに9歳の少女シャシャが登場し、いつも観察していたことを告げられる。「本と歩く人」とあだ名を付けられ、一緒に配達したいと言い出す。カールは断るが強引に付いてきて、許可なく顧客の家に上がりだしてしまう。

    それからカールとシャシャは配達の相棒に。書店員の老人と少女凸凹コンビの会話の掛け合いが面白く、微笑ましい。

    人生の酸いも甘いもを経験した上で今の生活をしているカールと、好奇心旺盛な上、大人が忘れてしまった純粋さを持つシャシャ。しだいにペースは利口で生意気なシャシャに握られ、カールの予想もしない方向へと日常や顧客との関係性は掻き乱されていく。そしてカールは書店をクビになってしまい……。

    大人な付き合いをするということは、本音を隠していることと似ているかもしれない。そこに土足で踏み込み、喧嘩をしたり問題に手を突っ込んだりして、相手が本当に思っていることに触れる。そんな関係性にこそ絆が生まれるし、大人な付き合いでは踏み込めないような人生の機微を感じるのだと思った。摩擦を恐れるな。

    ちょっと義務的になっている人間関係にうんざりしている人はスカッとするかも。

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    2026年01月27日
  • 本と歩く人

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    書店員の老人カール・コルロフは年季の入ったリュックに、丁寧に包装された本を詰めて二キロメートル四方の町に出ていく。それらの本はそれらを求めている人々にこれから喜びと楽しさをもたらす役目を担っている。ある日黄色の冬用コートを着て飛行帽をかぶった少女と出会う。その出会いというのは少女の溌溂さと好奇心全開なものだった。長年崩されることの無かったルーティーンがその一人の少女シャシャによって打ち砕かれるところから始まる。
    老人と少年少女のバディ的な作品が何かと好きな私にとって(その始まりはニューシネマ・パラダイスに由来する)、本当に求めていたものだった。それに加えて本という要素が加わってくるものだからもう誰でもいいからありがとうと言いたいぐらい。最初はシャシャのことを鬱陶しいと思っていたのにも関わらず、彼女の革新的なアイデアと実行する勇気に触れているうちに、カールがルーティーンしている中に見失っていた生への喜びを見出していく。それがとあるいくつかの出来事によって崩されてしまう場面は本当に辛かった。その状況を救うのもシャシャだが、その時のカールの喜びようが読んでいる側まで伝わってきて本当にうれしかった。本の世界に生きているカールが顧客たちに本の登場人物の名前を心の中でつけて呼んでいることが初出版されたドイツでは賛否両論らしいのだが、私は賛成派。物語前半、というかシャシャと出会う前のカールの閉塞的な性格が如実に表れていてとても好きだから。
    二人以外にも魅力的な登場人物が多い。その多くがカールの上客である。特に好きなのが暴力をふるう夫に苛まれるエフィを修道女アマリリスが手を取って町に飛び出すシーン。「神の言葉は最強の武器」といったアマリリスに対し、いやそれは…となるカールだったが、その次に出たのが「もし何とかならなくても狙いを外さずそれをぶつけることも辞さない」なんと頼もしいのだろう。アマリリスの手を自然にとって彼女は夫の城塞から飛び出していく。その時彼女からいつものそつがない笑顔ではなく心からの笑顔が出たのが印象的。あとは長靴下夫人の独特なジョーク。これは多分原語じゃないと分からないんだろうなと、実際訳者さんの方も苦労したと述べている。人当たりがすごくよく、志向は違うが中学時代の国語の先生を思い出した。

    本や、それを売る場所、それを愛する人がテーマとなっている作品でこれほどわくわくしたことはないと思う。それらの大抵は温かいコーヒーやお茶が添えられるのに相応しく、大抵は寝入りの時に読みたいようなものだ。この作品を寝る前に読んでしまったら夜更かし必須で翌朝に辛い目にあうこと間違いない。一気読みしてしまった。いろんな意味で衝撃的だった。本を愛する人はぜひ読んでほしい。

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    2026年01月22日
  • 本と歩く人

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    海外文学に親しみたくて、これまでいろいろな翻訳作品を読んできたが、本作はその中でも特に心に残る一冊かもしれない。読み進めるうちに、登場人物たちがまるで舞台の上に現れて動き出したかのように感じられ、それほど物語の世界に引き込まれた。

    ドイツ文学というと、どこか堅くて重たい印象を持っていたのだが、この作品はそうしたイメージを良い意味で裏切り、柔らかく温かみのある物語だった。

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    2026年01月14日
  • 本と歩く人

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    老舗の小さな書店に勤め、店舗に留まっているのではなく、顧客の注文に応じて、本をリュックに詰め、徒歩で配達して歩く72歳の老人と9歳の女の子の物語です。

    その顧客というのは、夫の暴力、自尊心、文盲の劣等感、修道院の戒律など、みんな何らかの理由から、家の中に閉じ込もっている人たちばかりなので、この顧客たちにとっては、配達される本と、その本を運んで来てくれる老人は、外の世界との接点となっていると同時に、顧客もどんな内容の本を届けてくれるのか楽しみにしています。

    老人はこの仕事に誇りを持ち、街を歩いて顧客の手元に本を届けることを生き甲斐としているのですが、

    ある日、ひょんなことから活発で賢い9歳の女の子に突然声をかけられ、初めは戸惑いますが、それからは本の配達にこの女の子が同行するようになります。72歳の老人と9歳の女の子が一緒に歩いて本の配達する姿を想像すると、なんともほのぼのした感じがします。

    そのうち、老人が顧客に本を配達した後、この女の子も同じように顧客に別の本を手渡していたことを老人が知るのですが、その時の老人と女の子の会話です。

    「で、きみはおじさんと張り合っていたというわけか」
    「とんでもない。あたしは本を売るんじゃなくて、プレゼントしているんだもの。」
    「お客さんたちが読むべき本を?」
    「そうよ、あの人たちを幸せにしてくれる本をね。おじさんにはその気がなかったから、あたしは貯めてあったお小遣いを全部はたいたのよ。」

    女の子は老人と一緒に顧客を訪れ、老人がそれまで接していた以上に顧客と交流する中で、自然と顧客たちの真の姿や好み、顧客にとって本当に必要と思われるものを感じ取っていたのだと思います。

    老人のプライドは傷つきますが、本の配達を一緒に続ける中、顧客も女の子の訪問を歓迎するようになります。次第に老人は自分にとってこの女の子がとても重要な相棒であると認識するようになります。

    しかし物語の終盤、女の子の父親からの苦情をきっかけに、老人は書店から解雇され仕事も失い、さらには女の子を心配する父親の誤解から、老人は身体に怪我を負わされてしまいます。

    すっかり生き甲斐を失い、生命の危機にも瀕した老人ですが、賢いこの女の子の活躍もあって、顧客のみんなに愛されていたことが再認識され、みんなの力で再び本の配達に復帰していく姿は、感動ものでした。

    本を愛してやまない老人が女の子と本を配達している中で言った言葉があります。

    「表紙と表紙の間にある思想の中には(中略)、癒しが込められていることのほうがはるかに多かった。そればかりか読者が罹っていることに気づいてもいなかった病まで癒してくれることもときにはあった。」

    そしてこの本の最初のページには、

    「すべての本屋さんへ
    困難な時にあってもみなさんはわれわれに心の糧を与えてくれる。」

    と書いてあります。

    さらにこの本の目次の前のページには、

    「小説とは読者の魂をかき鳴らすヴァイオリンの弓のようなものである。」

    というスタンダールの言葉があります。

    まさにこの作品は「本へのオマージュ」と言っても過言ではないと思います。

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    2025年11月24日
  • 本と歩く人

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    古本屋に勤めるカールは毎日注文された本を配りながら歩く。ある日から9歳の女の子シュシュも一緒に歩くようになる。

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    2025年11月04日
  • 本と歩く人

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    2026年13冊目

    老舗本屋の配達サービス担当のおじいちゃんが主人公
    ゆったりほのぼのした作品かと思ったら、お客さんはみんなそれぞれ訳アリ(訳アリなんて軽い書き方あってない)
    読んでて重さもあるけど読みやすい

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    2026年07月06日
  • 本と歩く人

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    老書店員のカールは毎日徒歩で本を届ける。
    ひょんなことから9歳の少女シャシャと同行するように。

    本とは何か。
    本の素晴らしさ、本との関わり方を学ぶことができる。

    カールとシャシャとのやり取りが微笑ましい。
    いつまでも続いてほしいと願う。

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    2026年07月03日
  • 本と歩く人

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    『本と歩く人』カルステン・ヘン(白水社)を読む。主人公カールが本とシャシャと一緒に歩くと、蛇腹のように伸びた街並みもなぜか隣り合わせに見えてくる。わたしも小学生のとき、玄関先で本が届くのを待つ楽しみを知って、本は読まれる物だけど、それ以外の効用ももたらす物だという仕合わせの小さな予感を持った。それにしても、「緑の表紙は信用ならない」と書かれているにもかかわらず、わざと緑だらけの表紙にするかな。

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    2026年05月29日
  • 本と歩く人

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    表紙に惹かれて買った本。
    正解だった。私にとって、読むべくして読む本だった。

    シャシャとのやりとりだけが明るく、後は全体的に暗い。
    やるせなさも感じるけれど、それはそれとしてあり得るなと。
    そう、これは緑色の本なのである。

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    2026年04月21日
  • 本と歩く人

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    綺麗な緑色の表紙が目を引くこの本。
    おじいさんの書店員と小さな女の子の組み合わせのお話は、割とありがちだ。ただこの本のおじいさんは、本を歩いて決まったお客さんに届けにいくというのが面白く、そこから色々なドラマが生まれる。お客さんもそれぞれの問題を抱えている。

    女の子のシャシャは子供ならではの無遠慮で無鉄砲な純粋さとひたむきさで、コルホフおじいさんの、自ら限りを設けているような世界を可愛らしく開いていく。

    「おじさんはひとりで歩く、あたしはおじさんの隣をひとりで歩く。」

    シャシャの台詞。コルホフもシャシャも、自分の信念を大切にしつつ、相手を尊重していることがわかる。ドイツでは直ぐに映画化されたそうだが、この台詞は映画の予告のキャッチコピーになっていそうだと想像した。

    コルホフさん、もう少し上手い方法があるだろう?と、ジリジリさせられるところもあったが、とても面白く、人情味溢れるところが気に入った。

    ただ、文化の違いももちろんあって、独特な文の運びに面食らったり、翻訳本の読みづらさをこの本では強く感じた。上手く意味が取れずに読み返す箇所も多数あって、なかなか進まず気が重い面もあった。

    いつもは、本が映像化されても本の方が好きだが、この本は日本でみる機会があったら、映像の方が楽しめるかもと思った。内容がとても素晴らしかったので、余計に読みづらさが残念だった。それでも、とてもおすすめな一冊だ。

    映画を観ることが出来たら嬉しい。

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    2026年04月10日
  • 本と歩く人

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     主人公は老舗書店で働く年配の書店員カール。彼は本を何より愛し、毎晩、常連客のもとへ歩いて本を届けている。常連客たちを「ミスター・ダーシー」や「ファウスト博士」など、本の登場人物の名前で呼んでいる。ただ、彼の行動範囲はとても狭い。

     でもある日、シャシャという9歳の少女が突然現れて、カールの本の配達に勝手についてくるようになった。そして、カールの穏やかだった日常は少しずつ変化していく。
     そんなある日、シャシャの父親がカールが娘を連れ回していると書店主に苦情を言いに来て、カールはクビになり、シャシャの父親に強く押され大怪我をする。退院しても、今までのように自由に歩けず、そしてもう誰も自分のことを必要としていないと思い、絶望に近い日々を送る。

     でも、そんなカールに前を向く力を与えたのはシャシャであり、常連客たち。

     簡単に言えば、本の世界に閉じこもっていた老人が、少女との出会いでもう少し広い世界へと出て行く物語。最初は「現実から逃げるための本」だったものが、最後には現実と人をつなぐものに変わっていく。ずっと孤独だと思っていたけれど、実は大切にされていたと知る。

     手元に置いておきたい一冊。

     読みながら、何故かシャシャがモモとだぶっていました。

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    2026年03月23日
  • 本と歩く人

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    主人公は孤独な書店員のカールで、唯一の生きがいは、馴染みの顧客に本を直接届けること。書店のオーナーが代替わりし、この非効率な配達をやめるように指示する。それは、引退せよということと同義であり、カールにとっては生きがいをなくすことでもあった。そんな折、小さな女の子がカールの配達に同道するようになる。カールと顧客の繊細な関係が徐々に変化するが、それは臆病で、顧客のプライベートな困りごとを見て見ぬふりをしていたカールの態度を変化させることになる。こういった、「変化を恐れる生き方」と「当たり前のこと」を対立させて変化する過程を見せる物語は王道と言えるし、出来過ぎ感がないわけではない。変わることは恐ろしいけど、良いこともある(良いことが多いはず)というある種のメルヘンなのだが、よくできていて心地よい。各章のタイトルや内容が、名作のオマージュになっているところも楽しめる。

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    2026年03月16日