ニコラ・ライハニのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
生物学の視点から“協力”行動についてを人類を含む生物全般から研究している一冊です。
単細胞の集合体である我々自身についての説明から始まり、他者への利他的行動、個体とがん細胞の関係、配偶と育児の仕組み、動物界の協力例、善い協力と悪い協力、評判と見栄の関係…などへ展開していきます。
協力とは個体が生き残る確率を上げるための保険であり、人間の社会生活におけるそれも仕事を軌道に乗せるための保険などとして役立っています。
大きな成果を得るためには個体より集団での協力が不可欠であり、集団であることの不利益と比べて協力による利益が勝る場合に問題なく機能します。
しかしこのバランスが崩れれば反乱が起き、悪意に -
Posted by ブクログ
まず、読み始めて最初に思ったのは、日本語のタイトルがミスリードかもしれない、ということ。『「協力」の生命全史」』とあるから、社会学や人類学のような視点かと思うと、筆者の専門は進化論や行動学のような生物学寄り。(「生命全史」という箇所からそれを読み取らないといけなかったかも。)
とはいえ、第4部などで社会学や人類学の側面からの記述がされている。
筆者の書き口は学術的な色を強く感じた。研究の設計からそこから分かった関係、しかし、それは相関関係であって、因果関係ではない。など、安易に断定しない点でとても信頼できる。
その一方で、文章がどうしても冗長的になってしまうので、少しメッセージが受け止めに