アントンツァイリンガーのレビュー一覧
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量子力学は、電子や光子といったミクロな粒子のふるまいを説明する理論である。古典物理学では、物体の位置や速度は常に明確な値をもつと考えられていた。しかし、量子の世界ではそれが成り立たない。粒子は「波動関数」と呼ばれる確率的存在として記述され、その振る舞いは確率振幅によって表現される。これを端的に示すのが、ハイゼンベルクの不確定性原理である。位置を正確に測ろうとすれば運動量が曖昧になり、逆もまた然り。つまり、自然そのものが「確率的構造」をもつという認識へと転換したのだ。
一方、ボーアのコペンハーゲン解釈は、観測行為そのものが物理現象を確定させると主張した。電子は観測されるまでは波であり、観測に -
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著者は2022年ノーベル物理学賞を受賞。
著者がノーベル賞受賞者というと、内容は難しいと思いがちだが、意外にもこの本はそうではない。むしろ、「えっ」て思えるほど面白い。
本文中にやたら出てくる「量子のもつれ」。1935年シュレディンガーによって命名されたが、これはとても不思議な現象。素粒子の世界で普通に起こる現象で、お互いに衝突した2つの粒子が、遠く離れてもなお緊密に結びついている。そして一方を観測すると、もう一つの粒子がどんなに遠く離れていても影響を与えるという現象。
これ、理解できるだろうか?あのアインシュタインでさえこの現象を「不気味な遠隔作用」と言い、気に入らなかったようだ。
でも、 -
Posted by ブクログ
著者のツァイリンガー博士は実験物理学者で、量子テレポーテーションの実験などの功績で2022年にノーベル物理学賞を受賞している。
本書は学生に実験をさせて、観測されたデータが意味することを議論させるという形式で説明が進む。
博士自身が、実験を通して試行錯誤してきた様子を表しているのだと思う。
「世界一わかりやすい量子力学」という日本語タイトルは、本書の内容を的確に示していない。
原書タイトルは、「Dance of the photons : from Einstein to quantum teleportation」で、
直訳すると「光子のダンス:アインシュタインから量子テレポーテーション -
Posted by ブクログ
最初にひとこと言わせてもらう。「どこが『世界一わかりやすい』ねん!!」です。以上。
と、これではレビューにならないのでもう少し。著者は実験物理学者で、2022年にノーベル物理学賞を受賞している。
本書の肝は「量子もつれ」「量子テレポーテーション」「ベルの不等式の破れ」であると、私は解釈しました。「量子もつれ」に関しては、私は一応存じ上げているつもりなのですが、後の2つについては正直よくわかりません。いや、「ベルの不等式」がそもそも知らない。
それぞれの言葉の説明については、本書を読めば書いてあるのですが、私の理解の範囲を今のところは超えています。著者が実験物理学者なので、実際に行った実験をモデ -
Posted by ブクログ
私たちが量子という言葉を作り、発見し、研究し、実用可能な現代(2025)まで長い月日を経過した。これもひとえに量子力学視点からすると量子という存在が発見して確定した時から今日や未来の先までが創られているのだろう。
本著はとても図解を通してわかりやすく教えてくれる。量子力学とは何か、それがどういうことが出来るのか。私たちが知っている通常のパソコンとは次元が異なる演算能力を持っていることは確かだろう。
本著を読んで思ったことは、量子や量子もつれという存在は人間に似ているなと思った。量子力学では観測した瞬間に確定するという。人間も何か意識して行動した瞬間に確定すると似ていると思うのだ。私たちは120