伊藤雄馬のレビュー一覧
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めちゃめちゃおもしろかった、これは心が軽くなる系の本。ICUの特に言語学とか人類学やってたひとにとっても刺さりそうな本。寮に置いといたらみんな取り合いになるんじゃないかって思う。
「正の走性」「負の走性」って言語に落とし込んだのはありがたい。気持ちが向くとか気分でとか自己中心的だと思われるような言葉じゃない言語化に感動。そもそも自己中心的とか最後の方にでてきた所有とかの概念もそうだけど都市化の過程で人々を統制するためにできた概念なのかって思ったら今までの「自由」の意味が変わって見えてきた。自由には責任が伴うなんて言うけどそれはムラブリの言う自由ではなくて都市の中での自由の意。本当の自由じゃない -
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ネタバレ言語学者からの言語に関しての視点だけではない、もっと幅ひろい視点での考察が刺激的。
人の行動には何かしらの理由を求められることが社会ではしばしばあると私は感じている。その度に、えっとそれは…って理由を考えることがあるけど、人間の行動は、何かしら考えた上で実施しているのではなく、脳の無意識の深層の範囲で判断されたことが多く、意識下で判断していることは実はそう多くない。そして、何でそういう行動を取ったのかというと、それについてあとから意味づけされている、ということはよく言われている。
筆者も学生時代は失礼ながら、気の赴くままの判断で日々を過ごしていたようにもみえた。でもそこからの学者としてのス -
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ゆる言語学ラジオで取り上げられていて知って手に取った本。
世界は広い。当たり前のことのようでなかなか日々の生活では実感しづらいこと。本は、そんな普遍的な事実を手っ取り早く咀嚼させてくれるツールとして最適だ。
この本は正に、“世界は広い”という何の新鮮味もない当たり前の事実を改めて腑に落ちさせてくれた。
文字も暦も持たない(ちなみに世界中の言語のうち約4割は文字を持たないらしい!)狩猟採集民の言語。言語には文化や価値観が現れることはこないだ読んだ「言語が違えば、世界も違って見えるわけ」にも書いてあった。こんなにも、狩猟採集民の言語は我々から見て特殊なのか。と同時に、彼らから見た我々の言語もと -
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ゆる言語学ラジオで伊藤先生の動画を見てこの本を手に取りました。
狩猟採集民の生活は、私たち日本人にはなかなかイメージしづらいものですが、ムラブリ語を通して垣間見えたような気がします。
ムラブリが「自由」を求めてこの生活スタイルに定着し、伊藤先生自身、ムラブリの体現として生きようということで、ムラブリの生活スタイルが自分に合っていて、それを欲している現代人も多くいるはずだ、という論旨で書かれていらっしゃることは重々承知ですが、私個人的にはその中に寂しさ、儚さを感じてしまいました。
言葉を通じて自分の生き方についても考えさせられる良い本でした。 -
Posted by ブクログ
少数民族「森の人」ムラブリとの出会い。
その美しい言葉に惚れて言語学者となった半生と、
彼らとの関わり、そして大いなる影響を語る。
・本書に登場するムラブリの主な居住地
・ムラブリ語の頻出表現リスト
第1章 就活から逃走した学生、「森の人」に出会う
第2章 駆け出し言語学者、「森の人」と家族になる
第3章 ムラブリ語の世界
第4章 ムラブリの生き方
第5章 映画がつなぐムラブリ、言語がつなぐ人間
第6章 ムラブリの身体性を持った日本人
コラム①~⑤、参考文献有り。
タイやラオスの山岳地帯で暮らす「森の人」ムラブリ。
少数民族であり、消滅の危機にある「危機言語」の
文字が無いムラブリ語を話す、 -
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著者は世界で唯一のムラブリ語研究者で、文字のないムラブリ語の発音の美しさに心を奪われて、その研究の道に入ったとのこと。また調査は彼らの住む場所に赴いて行われる「フィールド言語学」と呼ばれる手法で実施されたという。
現在世界で話されている言語は6,000〜7,000と言われ、言語データベースであるEologueによると約42%の言語は文字を持たないそうだが、文字体系となると圧倒的多数は文字をもたないらしい。
私も出張でエチオピアのかなり外れた地域に行ったことがあるが、そこで暮らしていた半裸の遊牧民は学校に行っているとは思えなかったし、今から思えば文字のない暮らしをしていたのだろう。
またインド