中沢明子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ「不況でモノが売れない」、「若者の〜離れでモノが売れない」、世間のお父さんたちがつい口走ってしまうこの言葉。しかし、この言葉は本当に社会の本質を捉えているのだろうか。世間をぼやくお父さんたちに「今どきの消費」を説く社会学的マーケティング本。
消費行動が必要性と密接な関係にあった高度経済成長期は、今のように記号的付加価値=キラキラ感をつけなくてもモノは売れた。車・冷蔵庫・洗濯機etc、生活を便利に、豊かにするために機能性を重視してモノを選んでいた時代だ。しかし、やがてそうした生活必需品が飽和状態になると、次に消費者は「キラキラ感」を求めるようになる。
「デフレ」や「経済格差」や「マス崩壊」と言った、モノが売れない言い訳に対する批判も社会学的見地からなされている。どの時代でもモノが売れない理由というのは常に発見されて続けているのだ。また、「若者の〜離れ」に対しては「飽和状態だから売れなくて当然」とバッサリ。常にやり玉にあげられる若者の一人としては大変心強い。
記号的消費など、消費社会学の中では語り尽くされてきた内容が多いが、口上にて「これはお父さんのためのレクチャー本」と前置きしているからこれで良いのだと思う。語り口が軽快で分かりやすく、普段こうした本になじみのない人でもすっきりと読めるだろう。
余談だが、古市さんの語り口、章まとめ書き方などは明らかに『反社会学講座』を彷彿とさせる。同い年で、同じ社会学の道を通ったものとして、その本の影響があるのかどうか、どこかの機会に聞いてみたい。(どこで?) -
Posted by ブクログ
ネタバレ<内容>
生活に必要なものは一通り揃い、モノが売れない「嫌消費時代」とも言われる現在において、なお売れているものにはどのような共通点があるのか。女性や子ども(若者)を中心にヒットした商品を分析し、近年の消費の在り方を紹介した一冊。
<感想>
「不況でモノが売れない」というのは、いい加減聞き飽きたフレーズである。若者の車離れで車が売れない、最近の若者は遊びを知らない、だからますます景気が悪くなる。そういう言説を聞くと辟易するのは自分が若者だからかもしれないが、安易にそういう言葉を口走りがちな「お父さん」たちに向けて(ちょっと挑発的に)「今どきの消費」についてレクチャーしてくれるのが本書である。
「キラキラ」が必要性と密接に関係していた時代には、車・洗濯機・冷蔵庫などがバンバン売れた。さらにその後、消費がアイコンとなった時代には「キラキラ」はステイタスと結びつき、ヴィトンなどのブランドや海外旅行などが消費の中心となった。このように、モノを消費するにあたって「キラキラ」したものが必要だというのは昔も今も変わらないのではないかと思う。では現代の女こどもはその「キラキラ」を何に求めているのか。
ハワイで豪遊したり、ヴィトンのバッグを揃えたりするようなバブル期の浮ついた消費を「海外旅行型消費」と呼ぶとすれば、ちょっとした非日常感を味わえる程度の現代の消費志向は「遠足型消費」と名付けられる。日常の延長にちょっとワクワクを見出す消費のあり方について、その最たる例としてコストコやIKEA、さらには郊外型の大型ショッピングモールにときめく主婦たちの姿が示される。
また、第3章では「デフレ」「経済格差」「マス崩壊」など、モノが売れない言い訳にされがちな言説に対する批判がなされる。全体を通してかなり好みが分かれる文章(なんだこのふざけた文章は、と怒る人もいるかも)ではあるが、個人的にはなかなか小気味良いものだった。
高度経済成長の時代をとうに終え、「成熟」のステージに立っている日本において、こういう遠足型消費はますます浸透していくのではないか。非常に興味のある話が網羅されていて、個人的にはかなり参考になる一冊だったように思う。