木谷百花のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
世界各地でフィールドワークをしてきた京大の先生方に、現地での体験やそこから得られた考え方などを語ってもらう形式。
憑依とか、妖術とかの、超常現象と思えるような事柄についても言語化されているのはさすがです。
私は、特に後半に、共感できたり参考にさせてもらえたりする部分が多くありました。
そして、日本人の中にも幅広い多様性があるけれど、それも世界から見たら狭い範囲のものかもしれない、ということ。だから、そこに縛られてしまうのは勿体ないことなんだと思った。
また、日本・世界の現状は、時代の流れの中で形づくられてきたものだから、歴史的背景を知ることは大事。他の地域や国の、現状や歴史的背景に参考にできる -
Posted by ブクログ
普段、私たちが思うような悩みに
異文化にて学んできた方々の人の視点を用いて
考えていく対談型のお悩み相談本。
処方箋という名の本の紹介もあり
その文献もなかなか興味深い。
感情に訴えていく部分というような
情緒的なやり取りというよりは
さまざまな経験や知見からの意見という感じで
なるほどなぁと頷けるところが多い。
内容としては対談者によって
内容の振れ幅やベースの知識の幅がある印象。
それぞれが完結しているので
全部通して読むのも良いが、
気になるところを摘み読んでも面白い。
人間関係や社会的に悩んでいる人、
という精神崩壊ギリギリの人のよりは
なんだか最近、同じような本ばか -
Posted by ブクログ
一番心に残っているのは、ブータンのお医者様坂本龍太先生のお話。
患者さんに「酒を飲みたいから金をくれ」といわれ、びっくりして断った。その方の家は、ものすごく高い山の上にあって電気もテレビもない質素な生活で生きている人が時々街に降りてきている。断ったら、ニコって微笑んで帰って行った。。
その笑顔を見たときに「もうこっちの理解を超えている。本当に達人だ」と思って、それで追いかけて行って「これでお酒飲んで!」とお金を渡して友達になったそう。
欲深い云々とかの範疇じゃなく、なんだか日本人の暮らしからしたら聖者の暮らしのような。
要求が医者にすることじゃないだろうと思うけど、それもあるいみこちらの常識だ -
Posted by ブクログ
医学生の著者が日本人の抱える日々のモヤモヤは海外の馴染みのない文化の中にこそ解決のヒントがあるのではないかと考え、日本各地にいる文化人類学者に人生のヒントを聞きに行く話。
文化人類学者は生業が現地人と同じように生活し、その文化にどっぷりつかるフィールドワークが主であるために、一般人が短期旅行で経験するのとは全く異なる経験をしている。
その中で得る気付きや発見は、「先進国」であり「資本主義経済」で生きる日本の常識からは思いつかない有益な物であったりする。
確かに日本は経済的には豊かな国に分類されるが、果たしてそれだけが追い求める姿であるのか?はこういう本を読んで自問してみるテーマだと思う。
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Posted by ブクログ
京大医学部の筆者が、京大を中心とした世界各地を調査する研究者に直接会って、現代日本の処方箋を聞くというコンセプトで作られた本。
一年くらいかけて、1人ずつゆっくりと読んだ。(というか、放置してたまに読んだという感じ)
医学と文化人類学は親和性があるのか、文化人類学の教授が医学部に所属する国公立大学もある。総合診療科は特にケアの見地から文化への関心が高く、大学を跨いでの文化人類学の本を読む読書会も開催されているところもある。
最後に登場するのはゴリラの山際先生。動物から学ぶ共生という観点からも、シェアとコモンズという発想が生まれるようだ。
斎藤幸平の本が広く読まれるのは、研究のどの観点からも斎 -
Posted by ブクログ
文化人類学の知見を応用して、人々の悩みに応えていく本。なかなか面白かった。
p.10 ポイントは「ついで」に「投擲型のやりとり」をすると言うことです。タンザニアでは付き合いの大部分が、無理のない「ついで」の範囲で回っています。彼らの広いネットワークに困り事を投げると、その時に何かのついでに手伝える人が1人ぐらいは現れる。そこで大事なのは、仲間の人数ではなくて、仲間のバラエティー。政治関係者や大企業の社長といった偉い人から、泥棒や種子に至るまで(笑)。詐欺に合いそうになった時、1番役立つ情報を教えてくれるのは佐口だし、ビジネスを立ち上げるときには、どこかの企業の社長の話が役立つし、でも人生ど