京大医学部の筆者が、京大を中心とした世界各地を調査する研究者に直接会って、現代日本の処方箋を聞くというコンセプトで作られた本。
一年くらいかけて、1人ずつゆっくりと読んだ。(というか、放置してたまに読んだという感じ)
医学と文化人類学は親和性があるのか、文化人類学の教授が医学部に所属する国公立大学も
...続きを読むある。総合診療科は特にケアの見地から文化への関心が高く、大学を跨いでの文化人類学の本を読む読書会も開催されているところもある。
最後に登場するのはゴリラの山際先生。動物から学ぶ共生という観点からも、シェアとコモンズという発想が生まれるようだ。
斎藤幸平の本が広く読まれるのは、研究のどの観点からも斎藤幸平の提言する未来予想に流れ着くからなのだなと感じた。
一番印象に残ったのは、藤原辰史さんの日本で基本的人権が抑圧される社会になってしまった理由
一つは、第二次世界大戦時に築き上げられた「総力戦」の空気を熱血サラリーマンたちが会社への忠義ときて戦後も引きずってしまったこと
二つ目は、戦後すぐGHQが日本を占領きてしまった後冷戦となり、民主主義と非民主主義が混在してしまったこと。
三つ目は、やはりネオリベラリズムの台頭。
それから、鳥取にある「野の花診療所」というホスピスの取り組みも覚えておきたい。診療所なのに充実した図書室や、一人で自分を見つめられる瞑想室があり、キッチンでは美味しいお弁当を作っている。読書や食を通して人が尊厳を保つ場所が次々とできるといいなと思う。