ダニエルソカッチのレビュー一覧
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人種、民族、宗教、文化、歴史。
あると言えばある。
実態はないと言えばない。
人が集まり、緩く、厳密な定義を持たせないことで、なんとなく成立する物語。
中には、先鋭的に解釈して文字通り人を殺してでも、自らの物語の筋書きを貫くものもいる。
周囲との調和を目指すものもいる。
人は木の股から生えてはこない。
一人で成人することもできない。
親、社会、他者から、言葉を、生活を、文化を与えられて育つ。
それら、全ての偏りから自由には生きることはできない。
なんという不自由さだろう。
幸せなことに、今自分の周囲において、人種だの国家だの文化だのが原因で、殺したり殺されたりの連鎖があるわけではない。
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Posted by ブクログ
著者はユダヤ系アメリカ人。少しイスラエル寄りなところを感じさせつつも、かなりバランスよくイスラエル及びパレスチナ問題を解説している。恥ずかしながら本書を読んで、日々のイスラエルに関するニュースは基本的事項を押さえずに聞いていたことが分かった。これからは少し背景知識を持ってニュースを聞くことができそうだ。
興味深かった点を羅列すると、
イスラエルが占領するヨルダン川西岸は、米国を含め(トランプ政権は置いておく)国際社会からその支配は認められていない。
米国のユダヤ人は基本的にリベラルであり、イスラエルの建国当初から支援してきたが、近年は右傾化するイスラエルと思想的に分離が見られる。米国で熱心にイ -
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ユダヤ系アメリカ人の著者ができるだけ公平な視点から書くイスラエルの問題。イスラエル、パレスチナの地についての歴史を描く第一部とイスラエルの問題を探る第二部に別れる構成で、著者のユダヤ人バックグラウンドはありながらもどちら側にも肩入れすることなくイスラエルの解決の見えない問題を教えてくれる。
知れば知るほど解決などできない問題だと思えてくるがどうなるのだろう。ユダヤ人が迫害を受けた結果として元々パレスチナに住んでいた人々を迫害(と、同じようなこと)するというのは、客観的に見たどうしても愚かとしか思えない。判官贔屓的にパレスチナ国家樹立を支持したくなる部分もあるけど、ファタハとハマスの断絶のように -
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和平は友人とではなく、まったく共感できない敵と結ぶものだ。
— イツハク・ラビン(イスラエル元首相)
パレスチナ問題に関する歴史と論点について説明した本です。全体を通して、上記のラビン氏による言葉の正しさと難しさが伝わって来ました。
本レビューを書いている2024年10月時点で、パレスチナ問題は悪化の一途を辿っており、ニュースで目にしない日はありません。私は背景について、非常に曖昧な知識しかなく、何が事態をこれ程までに深刻化させているのか分からなかった為、本書を手に取りました。2021年に出版された為、最近の事情については触れられておりませんが、それでも多くの学びがありました。
また、言 -
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聖書にあるようなユダヤ人の歴史、反ユダヤ主義、ホロコースト、シオニズム、イスラエル建国みたいな話しが書いてあるのかなと思って、読んだ。
実際、そうしたことも書いてあるが、それは前提知識くらいで簡単にまとめてあって、メインは建国以降の歴史。
なんとなくぼんやり知っているような気になっていたことが、全く理解が足りなかったことがわかった。
そして、現代、アメリカなどで論点化するイシューもコンパクトにまとめてある。
この問題に限らず、政治問題をニュートラルに語るというのは困難なことなのだが、できるだけニュートラルに書こうという努力はよく伝わってくる。
一番、勉強になったのは、トランプ政権の時 -
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ヨーロッパを中心に、迫害され続けたユダヤ人。
自己防衛のために、安全な土地が必要で、そういや、神さんにもろうた場所あったやん、あそこうちらのもんやんな、みんなで安全な国作ろうや。
そこには、すでに何世代も幸せに過ごしている人たちがいたが。
うちらのもんや、出てけ。神さんの口約束がこれや、よう見ぃ。
アホか、何いうてんねん、お前らなんぼのもんじゃ。ジジイのジジイの時代から、わしらが住んどんのじゃ。
簡単にいうとそういう話か。
ユダヤ教もキリスト教もイスラム教も、一柱の神は同じ筈なのに、言うてることがちゃう。何千年も前に、誰かがそう聞いたらしいで、ということが、今だに排他的な争いを生む。