谷口基のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
怪異怪談研究会監修による、「怪異」と「ミステリ」の関係についての論文集。(良く判らんのだが、こういう書籍で発表される文章は論文といって良いのだろうか?なんと呼ぶのが適当なのか?)
3章構成でざっくりいうと1章は歌舞伎から乱歩登場まで、2章が久作や横溝、海野十三といった変格探偵もの全盛期、3章が京極夏彦や綾辻行人、小野不由美ら現代の作品といった感じ。個人的には2章に収録されたものが一番興味深く、特に脇坂健介による久生十蘭の死亡通知を扱ったものは、空襲で行方知れずになった人間の法的扱いなど今まで意識したことのない問題が取り上げられていて感心することしきりであった。 -
Posted by ブクログ
戦前の探偵小説が大好きで、ここ最近、同時代の純文学方面にも手を出している自分には本書の内容は大変興味深く、面白く纏められている評論でした。
乱歩、虫太郎、夢Qを始めとして正史、不木、甲賀三郎、宇陀児、橘外男、渡辺温に十蘭 等々…戦前の探偵作家の作品を読み、エッセイを読み、単行本の巻末についているいろんな方々の解説・書評を読み、その中で何となく自分の中でモヤモヤとした感じで繋がっていたものが、この本の中で理路整然と整理されて提示された感じで。「ああ、そういう事か!」が沢山あった。(本書のタイトルは「入門」と銘打ってはいますが、割と登場するの作家の作品を読んでないと理解できない所が多々ありますから、それなりの読書玄人向けですね)
涙香に始まった日本の探偵小説が、戦前「本格」「変格」としてカテゴライズされ、特に「変格」の概念、そして多様な要素を含んだ小説群の発展史(精神史)が纏められた一冊でした。
(最後の結語で変格の流れを山風にまで繋げてましたが、本文で論じているのは戦前の範囲のみ)
探偵小説文壇と、純文学の文壇はどうもまったく別個のモノというイメージだったのですが(かろうじて、谷崎と芥川と佐藤春夫に推理小説的作品があるのは良く知られている話ですが)、本書の中で「夏目漱石の影響を受けた横溝正史(探偵小説嫌いの漱石が書いた、探偵小説的作品)」と、「変格の1ジャンルである実話モノに貢献している菊池寛」の2点には驚きました。
純文学系の作品から探偵小説作家への影響ってのは思いの外あるものなのですね。(本書のテーマの性質上、逆方向の影響関係もあるのかもしれないのですが、そこは対象ではないので)
確かに、乱歩の土蔵の中にも漱石全集は並んでいたなぁとか、この本を読んでて思い出しました。 -
Posted by ブクログ
「遭遇」「交差」「融合」と銘打った3部立てで、合理的解明が主眼であるミステリと、怪異という非合理的存在を容認する怪談/ホラー、相反すると考えられてきたこの両者が、近現代の日本文学の中でどのように捉えられ、語られ、時に互いを取り込み、変容してきたかが論じられている
……なんて小難しいこと言わずとも、題材に採られてあるのはこのジャンルを好む人なら一度は読んでいる有名作ばかりなので、頭を少々捻りつつも愉しめるのではないかと。
ところで、乱歩が「交霊術」に懐疑的(というよりトリックであるという否定派)だった(第1部第4章)というのは面白い(霊魂の存在自体は否定してはない模様)。そういえば乱歩作品にストレートな怪談、幽霊譚ってなかったような……。