エドワード・ドルニックのレビュー一覧
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千年以上誰も読むことの出来なかった、古代エジプトの文字、ヒエログリフ。
その解読に挑んだのが、イギリスのヤング、フランスのシャンポリオンという、2人の天才だった。
ヒエログリフが刻まれたロゼッタストーンが発見されたのは、ナポレオンのエジプト遠征がきっかけだったのは知らなかった。ナポレオン、意外なところで役立ってる。
この本の前半は、ロゼッタストーン発見の経緯やら、ヒエログリフのなんたるかや、オベリスクを3年かけてイギリスに運んだお金持ちや、貴重な手がかりを探り当てた盗掘犯(笑)やら、脇の話が豊富。主役の2人はあまり出てこないのに、すこぶる面白い。
そして、ヤングとシャンポリオン。2人はライバルであり、協力して解読作業に当たったわけではないけど、どちらかが欠けていたら解読は不可能だったのでは?という関係性が良い。
天才が頭脳をフル回転させてヒエログリフに立ち向かう様は、凡人には、「すごい」としか言いようがない。ヤングは、ヒエログリフ以外にも様々な分野の研究をしているけど、シャンポリオンはヒエログリフ一筋!エジプト愛が溢れ出ている。
2人が辿った解読の行程をわかりやすく解説してくれるので、へ〜、とか、なるほど〜、のオンパレード。まさに、知るは楽しみなり、だ。
ザックリ言うと、ヤングが突破口を開き、シャンポリオンが知識と閃きで深堀りし、ヒエログリフはほぼ解読に至る。しかし2人とも、「もっと時間があれば!」と思いながら生を終えた。まさに死の間際まで執筆や研究をやり遂げたのに、アウトプットし切れなかったのは天才ならではなんだろう。
私が印象に残ったのは、「(文字を)書くことの発明は、知的な大発明の中でも最大級であると言われている」。という一文。確かに。話すだけでは、未来へ何も残せない。書く事で記録したからこそ、昔に何があったのか、私たちが知ることができる。書いて、読めるっていうのは、すごい事なのだ。
それはそうと、我が家の冷蔵庫には、私がエジプト展でお土産に買ってきた、ロゼッタストーンのマグネットが貼り付いている。いつか本物を見てみたいものだ。 -
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古代エジプトは極度に乾燥した気候であり砂漠に捨てたものはいつまでもそのままであった。ナイル川により耕作は安定していて永遠性が信じされていた。そういう文化のもとに古代エジプトの永遠を求める思想がうまれた。ヒエログリフは紀元後の時点ですでに神秘的な目で見られていた。ひと目見て美しくこの世の真理を表しているとさえ長らく信じられていた。
このようにエジプトの歴史からヒエログリフの解読の歴史を解説していく。ナポレオンのエジプト遠征によるロゼッタストーン発見からトマス・ヤング、シャンポリオンの2名の登場とその解読の過程へと進む。
ヒエログリフは絵文字ではなく表音文字と表意文字の両方の側面があった。作者が英語文化圏の人であるためヒエログリフの解説はアルファベットなどの表音文字を中心に進む。しかし漢字文化圏である日本人は表意文字と表音文字を見ることに親しんでいる。実際解読の過程で中国語の解説書を読んで参考にしたシーンがあるくらいだ。その点が本書の解説がなんだかズレていると感じる点になる。これは文化が違うから仕方のないことだが。
総じて非常に面白く読んだ一冊。線文字Bや暗号解読についても気になったのでサイモンシンの暗号解読を読み始めた。 -
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ロゼッタストーン。そう聞くだけで胸が躍る学生時代を私は送った。古代エジプトの文字であるヒエログリフ解読の歴史ついては、学部生の頃、恩師から「エジプト学史」の授業で学んだ。文字通り、エジプト学の歴史を扱う講義だった。エジプトの面白さは古代史だけではない。トレジャーハンティングの時代を経て、考古学、歴史学的な調査に至るまで、実に興味深いエピソードに溢れているのだ。
本書は、ヤングとシャンポリオンの2人によるヒエログリフの解読レースを克明に追ったものだ。細かいエピソードを積み重ねることで、2人の天才のキャラクターを浮き上がらせている。あまり日の当たることのないヤングにここまでページを割くとは、作者のドルニックはヤング推しなのか。
もちろん、解読の謎解きもエキサイティング。版元がミステリの老舗、東京創元社さんなのもうなずける。実際、ドルニックはアメリカ探偵作家クラブ受賞作家でもある。これは立派なミステリなのだ。たまらん。
実は去る2022年がシャンポリオンによるヒエログリフ解読から200年のメモリアルイヤー。本当なら東京創元社さんは去年のうちに出したかったんじゃないかなと想像している。
なお読んでいて、いくつか誤りに気がついた。たとえば、「大いなる家」ペル・アアのくだりは、ペルとアアが逆に解説されている。他にも王朝名の間違いなどもあった。とはいえ本書は学術書ではない。読み応えのある人間ドラマであり、芳醇なミステリなのだ。やはり、たまらん。 -
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ナポレオンのエジプト遠征で発見されたロゼッタストーンに刻まれていたのは古代エジプトの文字“ヒエログリフ”だった。英仏二人の言語解読レースの行方とは。→
ロゼッタストーンもヒエログリフも知らない真っ白な状態で読み始めた私でも、とても楽しく読めた。エジプトにまつわる話やナポレオンの逸話なども入っていてグイグイ引き込まれた。
ヤングとシャンポリオンがいいんだよなぁ……。ヒエログリフはシャンポリオンが解いたというのが歴史的事実らしい→
けど、ヤングやそれ以外の人たちも関わっていた(というか、影響し合っていた?)のがわかって良き。
ラストの「n」のくだりはゾクリとした。うわぁぁぁ!ミステリ好きはこういうの好きじゃない?私は好きだ!
エジプトについて、文字についてもっと知りたい気持ちが盛り上がる一冊。 -
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ネタバレ巨大な爬虫類の存在は想像もされず、絶滅という概念すらなかったヴィクトリア朝のイギリスの人々。彼らはどのように“恐竜”を発見し、数億年の世界を想像し、そして、世界は6000年前に神が人間の為に創造したと言う当時の常識と恐竜の存在に折り合いをつけたのか。
貧しい女性の化石ハンター メアリー・アニング。階級も低いし女性って事で無視される…。この辺りの話を聞くと紳士ってなんだろうっていつも思う。
この前の『オオウミガラス』でもあった“絶滅”という概念が無かったり、聖書の世界との折り合いとか色々面白い。
ダーウィンの話も読んでみたくなった。 -
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エジプトで発掘された石板に書かれたヒエログリフと呼ばれる誰にも解くことができなかった文字を全く性格の異なる二人が暴いていくノンフィクション。このヤングとシャンポリオンが常にメインで書かれている訳ではなくて、ロゼッタストーンの発見状況や、最初に翻訳に挑んだ人々等、数多くの冒険家や学者たちが関わっていて壮大なストーリーだった。ヤングの劇的な発見や、シャンポリオンの地道な翻訳作業によって翻訳されていき最後には誰も知らなかった女性のファラオについての文献も見つかっていて、これが歴史の発見になるんだと胸が熱くなった。いつか実際にロゼッタストーンを見てみたいなと思った。
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ネタバレあ〜面白かった!ヒエログリフを解読するまでのノンフィクション。ギリギリ何とか読みこなせたかな。ナポレオンがロゼッタストーンを発見するところから始まるので、解読に取り掛かる話は100ページ目から始まる。それまでは、ロゼッタストーンがどのようにしてイギリスに持ち込まれたとか、3000年続いたエジプト文明の神秘や永遠の命と復活を信じるエジプト人の宗教観、とうに失われた言語を解読することの困難さが延々と語られる。ちょっとだけ、いつ始まるんだと思ってしまった。。。
当時のヨーロッパの熱狂的なエジプトブームと、過剰なまでのエジプト文明に対する神格化。芸術のような文字のヒエログリフは、当時の知識人でさえ世界の真理を語っているのだと信じていても不思議ではない。
昔読んだ子ども向けの歴史漫画では、ヒエログリフはいわゆる象形文字みたいなものではなく、アルファベットに近いものだったらしいという話があったけど、そんな単純な話ではなかった。外国から来た文字の音読みをヒントに、ヤングがカルトゥーシュを発見し、そしてシャンポリオンが更に深く解明、決定詞を見つけるまで。決定詞の詳細が語られなかったけど、シャンポリオンが最後まで明かさなかったのか。それにしても彼の忍耐力は想像を絶する。本にも書いてあったように、まさしく海水をスプーンで救うような作業の連続。言葉は同じ言語であっても時代によって変化するし誤植も多い。未だに解明されない部分も多いとか。いろんなパターンをこなす必要があるなら、そのうち生成AIが何とかしてくれてたらいいな。
寄り道の話も結構多くて、オベリスクを持ち帰ったウィリアム・バンクスや、元はサーカス団にいたジョバンニ・ベルツォーニ、アブ・シンベルの探索の話も面白かった。つい先日、ふしぎ発見!のスペシャルがあって、今まで漠然と観てたけど、カルトゥーシュがサラッと出てきておぉ!となりました。改めて知識はすごい。 -
Posted by ブクログ
この本を手に取ったきっかけは、何となく面白そうだったから。ロゼッタストーンの解読に挑戦する天才2人にフォーカスしながら、ナポレオンをはじめとして、数々の冒険野郎を脇に固めたストーリー展開、翻訳にフォーカスしたらすぐに飽きてしまうであろう話を楽しく読み進めることが出来た。
それにしても、この本に出てくる大半の人たちは、人生を賭けてるのがすごい。メイン主役のシャンポリオンはこれだけに人生を捧げていて、天才って人生を捧げて何かを成し遂げる人の事だなと。
個人的に面白かったポイントは、文字の発明が、人が集まったからと言う推察の部分。必要に迫られたから作られたなんて、その前の生活とかどうなってたんだろう?とか、現代でも必要に迫られて発明はされると思うんだが、今だと必要な物って何なんだろう?人を集める事で必要な物が発明されて来た歴史に対して、人が減っていく日本では発明がいらないのか?いるのか?など、頭の体操になりました。
あとは、文に現れる文字の頻出頻度を見ていくテクニックとか、今の翻訳の精度を上げた手法の一つは100年以上前にやってる人がいて、こう言う知見が広く知れ渡る事で新しい発明とか産まれるんだろうなと言う期待も。
筆者は、エドワード・ドルニック氏で、サイエンスライターの肩書き。