加藤徹生のレビュー一覧
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アジアの貧困地帯を巡って、社会起業家の活動を密着取材した著作。
第1章 激変する貧困市場 ― 37億人のニーズを満たす方法はあるのか?
第2章 途上国からイノベーションを創出することは可能なのか ―辺境で見た強靭なビジネスモデル
第3章 貧困を解決するための果てしない闘い ― エリートと草の根のチームが世界を変える
第4章 問題の当事者だけが持つ「あきらめの悪さ」 ― 逆境から立ち上がったチャンタの物語
第5章 イノベーションを通じて貧困の連鎖を断ち切る ― 「世界を変える」ための競争戦略論
第7章 「サラ金」化するマイクロファイナンス ― 社会企業に求められるものは何か
という -
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もう知ってるよという食傷感と共に陳腐な活動を偉そうに紹介するような本とは一線を画した良書。ビジネスモデルごとの魅力をピンポイントにわかりやすく叙述しており大変刺激を受けました。各モデルがどのような成長戦略を描いているのかというところにまで踏み込んで語られており、実際の成果がそれを裏付けています。
傍らにおいておきたい時宣を捉えた本です。
以下キーワードのみ自分の備忘録に
ハリシュ・ハンデ セルコ社
ディーライト社
あえて拡大しないという戦略
サトゥヤーンミシュラ ドリシティ社
辺境の地に流通網を築く。一番インフラを必要としている人へのリーチ
中村俊裕 コベルニク
適正技術と可能性
ラジ -
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「世界の中心はそこら中にある」
途上国にあるまだまだわかりやすい課題に対する、イノベーティブな解決方法の事例集。BOP事業の参考になったりするんだろうけど、国内への応用も考えてみたい。
カンボジア
収入の20%を灯油に費やす人たち→太陽光発電(送電網なしで電気を使えるようになる)
d.light from d.school, Stanford
事業化の前のトライアルで、プロトタイプを使ってもらったある女性はインタビューで泣き出した。それくらいインパクトがある。
「本当に人々が求めているものだけを見つけ出そう。それ以上でも、それ以下でもない、『それ』を」
インド
従業員として雇わず、個人事業 -
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「適正技術」の考え方に刺激を受けた。
【以下引用】適性技術とは、技術の先進性のみを評価する これまでの概念とは異なり、使用する人々や社会の効率をもって評価する考え方だ。(中略)この「適性技術」という考え方は、ユーザーへのインパクトを重視して技術を再評価していこうではないかというものだ。【引用おわり】
例えば太陽光発電だったり伝統的な医療は、既に全土に張り巡らされた電力網だったり、国策レベルでの西洋医学の普及などといった我々にとって当たり前の前提が存在しない世界では、まったく違う輝きを放つ。私たちがさほどそれらに着目しないのは、あくまで相対的な比較で「価値がない」と判断しているからであり、当然 -
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世界は変えられるし、世界の中心はいたるところにあるんだと思えた。1歩踏み出せるかどうかなんだと感じた。問題はまだまだ山のようにあるし、いまはまだ見えていなくても、いずれ顕在化する問題も無数にあるはずだ。サービスの質が問題であるのならば、それはモノ・サービスの質にシビアな日本人に解決できることがまだまだたくさんあるし、実際求められているのではないだろうか。例えば、コストは置いといて防水ケータイなんかは雨の多い地域では最高のプロダクトなんじゃないか等々思うところはたくさんあった。ミクロ金融の雄、マイクロファイナンスの負の側面については、考えたこともなかったので、大変勉強になった。マイクロファイナン
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これまで失敗続きだった貧困層へのアプローチの仕方を変えることで成功したアジアの社会起業家が紹介されています。
夜に灯りのための灯油代が収入のなかで大きな割合を占めることへの解決策として発電所からの送電設備がいらないため、どこでも使える太陽光発電が利用されたり、辺境ゆえに物の仕入れが大変で結果として貧困層は古いものを高く買うことへの解決策として物流網の整備など様々なアプローチが取られていて、企業が貧困層からもしっかり利益が取れるようなビジネスモデルが確立さえすればちゃんと底上げって出来るんだなと感じました。
営利と非営利のハイブリッドにより、かつての非営利団体の支援活動だけでは成し得なかったイノ -
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ネタバレ途上国で起きたイノベーションを事例に、ここから世界が変わろうとしている、変えようとしている・・・という事をまとめあげた本。タイトルの「世界を変える」ということからも分かる通り、熱い。文章からも「熱さ」のようなものを感じる。
辺境からの立ち上げという行為自体も(クリステンセンのイノベーションのジレンマを読んだ後ということもあり)、強い可能性を感じた。
〇メモ
・当事者だからこそ困難を乗り越え問題を解決する
・世界のリーダーは現実を知らない
世界の大半はiPhoneを求めていない
インターネットを利用するにも電気がない
世界ではいまだ14億人強が電気を使うことができない
灯油で明かりをと -
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貧困に苦しむ途上国で、貧困層の為のビジネスを立ち上げた人々を追った一冊。
途上国では先進国では当たり前に存在する電力をはじめとしたインフラが十分に整っていないので、そもそもビジネスを立ち上げる土壌自体に苦労することが多い。
「断絶」、とこの本では表現されているが、ビジネスの一連の流れを途絶えさせてしまう困難が存在する。
また、ODAといった形の国を単位とした援助では、必ずしも草の根分けて末端の人々まで行き渡ることが少ない。
こうした問題点を抱えつつも、貧困層の視点・立場に下りた形で立ち上げに成功したビジネスがいくつか紹介されている。
一般のビジネスにはない独自の工夫が垣間見えて、難しい状況 -
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NGOないしNPO、いま流行りの社会起業家に焦点を当てた本。底辺国での起業のモデルとかかわる人たちが、どんな理想を抱いてどんなキャリアを持っているのか、どうやってビジネスをしているのかをまとめている。現地の「当事者」が起こした例、国外から疑問を抱いてやってきた例の二つだが、どれもビジネスの本質をとらえた好例だと思った。
そもそも未熟な業界自体をまるごとデザインする(しかない)という、成熟した先進国にはもうあり得ない選択肢が多い点。むしろ代替手段が豊富な先進国では難しい、世界でも最先端のテクノロジの投入による即効性のわかりやすさ。エキサイティングな要素が多分にあることがよくわかる。同時にリスク -
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途上国で活躍する社会起業家の事例を通じてイノベーションが生まれた事例を紹介するとと共に、貧困層市場(37億人)の分解と日本等が辿った開発のパターンとは異なる市場へのアプローチの方法をまとめた一冊。業界をデザインする(作り出す)という発想、風呂敷を大きく拡げることが途上国市場においては重要であると思う。以下、メモ(1)貧困層市場に存在する8つの事例における断絶(研究開発、製造、マーケティング、流通、サービス、金融、アフターサービス、寄付)を乗り越える為の業界のデザイン(①情報技術を活用した業界構造の転換(核となるモデル)、②スケールアウト型戦略を通じ貧困層をサービスの担い手として取り組む、③アラ
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Posted by ブクログ
ドキュメンタリー風に複数の社会起業家の道程について記述がある。詳しく書いてあるのだが、無から何かを作ったり繋げたり、増やしたりする事がない私には、具体的にどうすればそうなるのかが見えてこなかった。
考え方は理解、共感できる。でも、どうやって?と感じる読後感だった。
ソーシャルアントレプレナー=社会起業家
3つの役割
1・政府が単独に解決できない多くの社会的な課題を当事者に近い立場で解決してみせる
2・通常の企業の行動原理ではとても始められないような社会的潜在ニーズを見いだし顕在化させていく
3・エンパワーメントやればやるほど元気になる仕事。働く事で尊厳を回復させる
過去数十年に渡り供与され -
Posted by ブクログ
感想は前半の事例の部分がよかった。貧困層からイノベーションが起こり、新たなビジネスが生まれていることがわかった。そのビジネスって先進国では本当に当たり前のことで、例えば「電気」。貧困層はただでさえ少ない収入を、灯りをつけるために灯油を買っている。灯油の灯りは空気も悪い。そこで太陽光発電を利用したサービスや電機を開発し、ビジネスとして成立させていった。また「流通」。貧困層が住む僻地は、流通網が発達していない。それゆえに日常品が適正な価格で販売されていない。だから貧困層に住む人は、結局高い物を買わざるを得なくなり、貧困の連鎖から抜け出せないでいた。しかしそこに目を付け、「欲しい物を、欲しい時に、欲