あをにまるのレビュー一覧
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ネタバレ有名な作品のパロディ5編。五条紀夫さんのが気になって買ってみたけど他の作品も想像以上に面白かった。
まず五条さんのごんぎつねのパロディ。ごんか人間に化けて兵十とともに謎を解いていくミステリーになっている。展開としてはまあまあな感じだったけどこれをごんぎつねに落とし込んでいるのがすごいと思った。有名なあのセリフもしっかり回収されていて気持ちいい。
他の作品で好きだったのは、あをにまるさんの「髭」と斜線堂有紀さんの「偽史・山月記殺人事件」の二編。
「髭」は、どんどん髭が伸びてしまうコンプレックスを抱える教師が、祈りを捧げることで翌日から髭が生えなくなる。それに喜ぶ主人公だが、インパクトのあるツッコミどころがなくなったことで、今まで隠れていた自分の欠点があらわになってしまう。コンプレックスとアイデンティティは裏表のような存在なのかもしれない。
「偽史・山月記殺人事件」では、虎となった李徴が有名な詩人を殺して詩を奪うことで、詩人としての名を馳せていく。その裏では李徴に助言をしていた袁傪は自身の出世のために都合の悪い人間を消す計画を進めていた。ところどころで袁傪の裏切りを匂わすようなヒントが散りばめられていて、不穏な空気を感じながら読み進めていくことになる。その空気感とストーリーが面白かった。 -
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【あの名作たちの不穏で気になるその後】
豪華メンバーによるパロディのアンソロジー!
今回の一番のお目当てはあをにまるさん。
『今昔奈良物語集』が最高にファンキーで面白かったので、期待値爆上がりで読みました。
『髭』 あをにまる
芥川の『鼻』のコンプレックスを現代風にアレンジしたハートフルコメディ。
やっとの思いで髭のコンプレックスを克服したのに、周りの反応が意外にも……「おい、それかよ!」と唸らされた。
そこで気づかされる、自分にとって髭が何だったのか。「俺の髭は観葉植物じゃない」と叫びながらも、どこか吹っ切れた感じの主人公にクスッと笑えます。原典をしっかりと踏襲しつつもユーモア溢れる作品。しかし、舞台が奈良でないせいか「あをにまる節」のキレが今ひとつで、ファンとしては少し物足りなさも。
『偽史・山月記殺人事件』 斜線堂有紀
『山月記』のifの世界を描いた続編。
柳広司さんの『虎と月』とは正反対のアプローチ。今作は「おい、いい加減に夢から覚めて現実を見ろ」と、夢追い人のお尻を強めにはたくような冷徹でブラックなミステリ。
自分の器(才能)を知るというるというのは、人間にとって一番苦しいこと……。
袁傪も李徴も、なんだかもう、うかばれなくて切ない。
ほかの3作品も、原典の出汁と著者の特徴をしっかりと活かした味付けになっていて楽しめました! -
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良県民の友達が多いこともあって「御当地ネタ」を知ることができたら
そう思って読破したので感想いってみよー
■奈良舞台のオムニバス
1話1話の長さが丁度いい
1話が大体50ページ前後ということもあって隙間時間で丁度読める
そんな長さで有り難かった。
全4話でありながらそれぞれの話に繋がりがないので
それぞれ自己紹介から始まってちゃんと着地できてるから
ごちゃごちゃしてなくてよかった。
■奈良成分について…
読んだ理由として奈良あるある+都市伝説を絡めた話を期待していた
その部分は正直ちょっと肩透かしだったのは否めないけど
奈良の主要都市はちゃんと登場するよ。
東大寺だったり十津川村だったり
そして十津川村ネタについては今度友人に会った時に聞いてみたい
都市部からだったら半日くらいの旅になってしまう…本当かな?
交通バスなのに休憩時間が存在するらしいので
ちょっとした「サイコロの旅」気分を味わえるかも知れないな。
■都市伝説部分について
金の斧銀の斧・こっくりさんだったりメジャーすぎるのを
ピックアップしてくるのが勿体ない気分に多少なってしまった
奈良にこういった心霊を含めたものって引き出しあんまり数ないのかな
和風ホラー方面でもっと楽しみたかったのがホンネです。
金の斧銀の斧だったら…座敷わらしとかの方が作品の雰囲気とマッチ
してそうな気がしたかな。
読んでいて「週間ストーリーランド」という番組を思い出した。
童話自体の内容も多分改変はしてないので先の展開を予想しやすい
それが良いか悪いかは人によるけどね。
■総評として
もうちょっとボリュームあっても良かった。
表紙にはシカが描かれてるけどほぼ登場しないのも勿体ない
奈良県民の人が読んだらもうちょっと笑える共感部分がある作品
なのかも知れません。 -
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日本のあの名作達を奈良県を舞台に現代風にアレンジしたパロディー短編集。
しかしながら、パロディーだからといって侮ってはいけない。
文豪のあのお方や名作のヒロイン、物語を変化球で楽しませてくれる
ストーリーもしっかりしており、笑いあり、涙あり、背筋もゾクッとさせられ、多彩な要素に次はどんな話かワクワク感が止まらない。
私は奈良県民ではないが十二分に楽しめた。
本当にどれもこれも面白くて甲乙つけがたくて悩んでしまう。
う~ん『走れ黒須』『奈良島太郎』も捨てがたいが「ガチの昔。竹取の翁といふ陽キャありけり」から始まる『ファンキー竹取物語』かな。
「雅なる文語体とパリピなる今様言葉の相交はりて、その疾走感たるや、いとをかし。わが魂ぶち上がりけり」(文語体をまねて感想かいてみた)
あと、『若草山月記』
主人公の変わり果てた姿は「人喰い虎」ではなく、何と奈良の名物で煎餅好きな、まさかのあの動物。
想像するとちょっと可愛らしい。
結末も切なくも心あたたまる話だった。
『うみなし』
「ナラムボンが笑ったよ」
えっ「ナラムボン?」何だよそれ!
面白すぎだろ。
原作に沿った童話の世界観とパロディの筆致が逸脱。
この本は単なるパロディ小説ではない。
本書を読むと不思議と「原作も読んでみたい!」という気持ちにさせられる。原作を読み直し「あー、ここが元ネタか」 と突っ込みたくなり、名作達の敷居がちょっと低くなった気にさせてくれる「いとをかし」な一冊。また積ん読が増えそうだ。 -
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恩田陸で登録・検索した結果出てきた新刊アンソロジーと言うことで通販にて購入した。勿論、どの様な内容なのかは二の次。アンソロジーとはいえ恩田陸の新作が出たというのなら、買わない選択肢はない。5人の作家による競作で、せっかく買ったからにはどの作家の作品が一番面白いのか、自分とフィーリングが合う作家は誰か?という観点で読み進めた。
日本昔ばなしをアニメで見るような感じで、教科書に載っていそうなお話(元ネタ)を5人の作家がそれぞれの個性・作風を発揮しながら脚色した競作集。作家の好みはあるものの、今回は作家の特徴はできるだけ考えないようにして、あくまでも出来上がった作品の面白さで比較してみたい。ちなみに、恩田陸と斜線堂有紀以外の3名の作家の名前はここで初めて見た。
私が一番面白かったと感じたのは、斜線堂有紀の「山月記」。虎の心理描写が秀逸だった。さすが売れっ子作家。次に面白かったのがあをにまるの「髭」。これも主人公の先生の心の動き・揺らぎが悲しいほど伝わってくる。逆に、一番期待していた恩田陸の「安寿と厨子王」がテーマの方向性の転換が単純すぎて面白みに欠けていたのが残念だった。
内容を良く確認せず、通販で書籍を買う機会が最近多くなっているが、もうそろそろこの読書方式には限界が見えてきた。早く読まなければならない本の積読数も増えてきているので、優先順位をきちんと決めて読み進めていきたい。