山本尤のレビュー一覧
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ベンヤミン『パサージュ論』の最終巻だが、そもそも未完の書物なので完結編という訳ではない。
だが、この書物は、未完の断章形式であるということそのものによって、永く生き延びるのではないだろうか。
一つのストーリーによって、全ての断章が論理的に並べられ、不要なものは刈り込まれ、首尾一貫した一冊の書物としての完成をみていたとしたら、あるいはこの書物は、とっくに古びて打ち棄てられていたかも知れない。
断章であるが故に、その一つ一つが、様々な角度からの光線に、いつまでも七色に煌めいているのではないだろうか?/
ここでも、想起されるのはタイムラプス撮影で撮影した雲の映像だ。
丘の上に固定されたカメラから -
Posted by ブクログ
ベンヤミン『パサージュ論』とのそもそもの出会いは、笠井潔の『群衆の悪魔―デュパン第四の事件』だ。
それは、パリの街を舞台に探偵オーギュスト・デュパン、ボードレール、バルザック、ブランキなどのビッグネームが活躍するミステリーで、その中でベンヤミンと『パサージュ論』について触れられていたのだ。
この巻は、先日、『悪の花』、『ボードレール パリの憂鬱』の二冊の詩集を読んでもあまりピンと来なかったボードレールがテーマの巻ということで、案の定取り付く島もない感じではあったが、かろうじて心に残った断章を引用しておきたい。
《一八四〇年ころのユゴーについて。「同じころ、彼は、人間が孤独を好む動物だとすれ -
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ベンヤミン(1892年〜1940年)は、ドイツの文芸批評家、哲学者、思想家、翻訳家、社会批評家。
代表作:『複製技術時代の芸術』、『写真小史』、『パサージュ論』。/
《1940年、ナチス・ドイツ軍はパリに侵攻した。亡命中のベンヤミンは膨大な未完草稿をジョルジュ・バタイユに託して、パリを脱出する。》
だが、アメリカへの脱出に失敗し、スペインの国境の町で服毒自殺を遂げた。/
『パサージュ論』の構成:
Ⅰ パリの原風景
Ⅱ ボードレールのパリ
Ⅲ 都市の遊歩者
Ⅳ 方法としてのユートピア
Ⅴ ブルジョワジーの夢
断章形式なので、驚くほど読みやすい。
僕でも読めると -