森万佑子のレビュー一覧
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19世紀後半の列強諸国の東アジアへの関わりから、当時の朝鮮及び日本の立場を説明する。
長い間中国の所謂「属国」として朝貢体制をとり、正統な中国として見ていなかった清に対し、朝鮮こそ中華思想を継承できる国であると考える非近代的な国家であったようだ。そこに植民地を拡大する列強が侵食してくる。日本にとっては脅威であり、また列強の仲間入りを目指すチャンスでもあったのは確かだ。
日清戦争、日露戦争、韓国の植民地化は、同じ文脈で語られるが、本書ではそれを含め韓国併合までの日韓両国の条約締結までの背景や史実を淡々と述べてくれているので、読者に正統性の判断を任せているように感じた。
日韓はよく言われるよ -
Posted by ブクログ
日本の戦争への道を考えるときにある種の不可逆的な一線を超えたのは、満州事変だと思う。
が、そのとき、韓国はどうなっていたのか、日本は韓国を植民地しただけでなく、どのように併合してしまったのか、という疑問がよぎるわけだが、なかなかコンパクトにまとまっていそうなものはなかった。
そういう中で、新書で読めるこの本を発見して、読んでみた。
知らないことばかりで驚いた。なんと強引なやり方で、他国を植民地化していったのか。。。。
自らが西洋諸国に植民地化される恐れの中で、頑張り続け、その結果、自らが植民地主義者になってしまったのだ。自分がやられたこと、やられそうだったことを他国に対して、やっている -
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近年の研究成果を反映しながら、大韓帝国が成立して崩壊していく過程に着目し、韓国併合に至る軌跡と実態を史料に基づき実証的に描く。また、1990年代以降の韓国併合をめぐる合法・不法等の論争についても整理している。
これまで日本視点での韓国併合論についてはいくつか読んだことはあったが、大韓帝国の視点から韓国併合までの歴史をたどるというのは新鮮で、知らなかった史実も少なくなく、勉強になった。
特に、大韓帝国や高宗が当初明朝をモデルとした(小)中華思想に基づく国家を目指していて、西欧流の近代国家にいち早く切り替えた大日本帝国と最初から齟齬があったという点は興味深かった。このことを象徴するものとして、日朝 -
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高校までの歴史授業では、明治維新時の内政改革を列挙した後、議会開設と大日本帝国憲法が・・くらいまでしか、聞いた記憶が無い。おそらく時間切れ、あとは自習ということであったろう。日清・日露、大正デモクラシー、太平洋戦争、また、小村寿太郎、原敬・・という単語はもちろん記憶にとどめる。しかし、「韓国併合」について、高校生がどのように理解するかと言えば、征韓論→日清日露の勝利によって日本も版図を広げ帝国主義列強の一員に??という、単視眼的な理解でのインプットを促す書き方でしか、サブテキストなどにも載っていなかったと思う。東学党だの義和団だの閔妃だのというのも片隅に書いてあったとは思うが、あまりにも断片的
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序章:中華秩序のなかの朝鮮王朝、第一章:真の独立国家へ、第二章:朝鮮王朝から大韓帝国へ、第三章:新国家像の模索、第四章:大韓帝国の時代、第五章:保護国への道程、第六章:第二次日韓協約の締結、第七章:大韓帝国の抵抗と終焉、終章:韓国併合をめぐる論争。大韓帝国の側から見た韓国併合の様子を描く。清を頂点とする中華冊封体制から抜け出した朝鮮だったが、小中華の考え方から離れられず、高宗が専制主義を目指したため、近代資本主義を目指した日本の体制に抗うことはできずに保護国、そして日本と併合せざる得ない状況になってしまったことがよく分かる。併合が合法か、不法かの結論は出していないが、主な争点は、①通常の決済過
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韓国併合に至るまでの過程を朝鮮側から描いた書。著者は擁護しているが高宗のビジョンの浅さが際立つ。
従来の緩やかな朝貢体制下の宗属関係「属国自主」が西洋的条約体制に適応する際に、条約論理上の自主独立と清への完全服属を巡って日清戦争が起き、日本式の甲午改革で近代的独立国となった。
しかし、対外独立の下立憲君主制を目指す親日改革派(都市部の独立協会)と中華の後継者として専制政治を好む親露的な高宗で対立が起き、大韓帝国成立後、露館播遷などを通じて皇帝高宗は中枢院を無効化し、儒教と洋風を混ぜた皇帝専制を志向するが、財政難に苦しむ。
日露対立の中、高宗は対露提携・局外中立と日韓協約を天秤にかけ、前者を選 -
朝鮮の財政的な視点に欠けている
先ず日清戦争によって独自に独立した訳では無い。
清の属国であったのを下関条約によって独立させた。露の南下を日本が牽制していたし、ポーツマス条約により朝鮮の実質的保護権を得た。何れにしても血を流し帝国主義的植民地化を防いだのは日本人だ。
朝鮮政府が財政破綻していたのを国家予算の5分の1を補填費、公債の名目で援助していた。民間や技術援助を加えれば如何程であろうか。偏に東北民の犠牲の上に成り立つ繁栄だった。