中村祐輔のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
中村御大のエッセイ、じゃなかった、評論的な本なので、きっと科学行政などに対する文句ばかりなのだろうと思ったら、案の定第1章の最後のページあたりで出てきて苦笑い。しかし、本体は第2章以降。広く浅く、とくに専門のがんの辺りでは、全部覚えるのはなかなか難しいくらいの数のがんと対応する遺伝子について述べられており、さらにコミカルなそれぞれの図もあるので、講義のアンチョコにも使える便利な本。黒木登志夫先生の本とは違い、知識・豆知識よりも教科書的なお話がコンパクトにまとまっているといえよう。もちろん1996年という、ゲノムプロジェクト以前の話なので、今では間違った図や今とは違う言葉などもあるものの、予想し
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Posted by ブクログ
著者は世界的にも有名なヒトゲノム計画の研究者であり、日本の癌研の所長を務めたような方。自分の生い立ちから、日本の医療事情を告発する本。
生い立ちの部分では、医者を目指した自分の怪我からの回復、臨床医として救えなかった命の数々、そこからくる人として医療に挑戦するエネルギーの源泉について語られている。また、若いときにユタ州に留学し、ヒトゲノム計画の立ち上げにかかわる部分も描かれている。
日本の医療事情では、癌研等の研究所として携わった仕事、20世紀から21世紀の創薬の形が分子レベルとなり、狙い撃ちする薬に変わっているのに日本の製薬会社がついていけていないこと、リスクを過剰に恐れていること、政治