アニーエルノーのレビュー一覧
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ノーベル文学賞つながりで、川端康成を本屋で買ったついでに平積みされているのをなんとなく購入。
私生活を書く人だと言うことくらいしか知らずに読む。
率直な感想は「私にはもはや遠い思い出」という感じ。
誰かを熱烈に想ったり待ち侘びたりする季節は過ぎ去ってしまった。
描写は簡潔でそっけないほどだ。
自己と対話するような語り口が同じフランス人作家のマルグリッド=デュラスを思い起こさせるが、例えば「ラマン(愛人)」や「太平洋の防波堤」のようにフランス領インドシナを舞台にした異国情緒による風景の拡がりみたいなものは感じられない。アニー=エルノーの描く世界は閉じた狭い街と部屋の中という感じがする。
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ネタバレ2022年 ノーベル文学賞受賞者アニーエルノーの1984年発行でルノードー賞受賞作。
シンプルな情熱は1991年発行。
物語は著者の父親の生涯を描いたようなもの。しかし、編年体で何をした何がおこったということよりも、フランス社会の階層、貧困、そのなかでの幸せ、人間関係、暮らしをその地域特有の問題としてではなく、人間の普遍的な問題として捉えている。そして著者であるエルノーは大学にすすみ、文学で大学に職を得ることで、父親との精神的距離が遠くなる。父の操る言葉は決して上流階級のそれでも、文学的レベルが高級なものでもないが、それがなんだというのだろうか。生活にねざした言葉であり、劣等感に起因するおかし -
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どなたか知識人の女性がテレビでお勧めしていた1冊。
『ストレートに女の性を描いて話題騒然の書』と帯に書いてありますが性でびっくりしたのはプロローグだけ。
読み進むうちに片思いの切なさ、待つこと以外何もしたくない時間、恋の終わりの予感の妄想や苦しみ、など本気で人を好きになったら勝手に訪れてしまう感情たちがありありと甦って来ました。あの時のあの感情を冷静に文章にしようとしたら、この本が一字一句違わない表現してくれているはず。
自分ではどうにもできない苦しくて時間。アニー・エルノーは今の私位の年齢でこんな経験をしたんだなぁと思うとさっさと経験しておいて良かったかなと。今なら耐えられないよ、きっと私( -
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恋のパッションが、客観的に叙述されている。情動を描くのに情動的な文章でないのが新鮮だった。あとがき非常によき。
105 彼が戻ってきたのは現実ではなかったという気がしている。あの夜のことは、私たち二人の物語の時間の内のどこにも存在しない。ただ一月二十日という日付だけが、残っている。あの夜帰ってきた男も、彼がいた一年間、そしてそのあとの執筆期間、私が自分の内にずっと抱き続けていた男性ではない。ほかでもないその男性には、私は絶対に再会することがないだろう。が、それにもかかわらず、あの非現実的で、ほとんど無に等しかったあの夜のことこそが、自分の情熱の意味をまるごと明示してくれる。いわゆる意味がない -
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ネタバレある女
著者:アニー・エルノー
訳者:堀茂樹
発行:1993年7月31日
早川書房
2022年ノーベル文学賞、アニー・エルノーの小説。日本で出版された最初の3冊である『シンプルな情熱』『場所』『ある女』のうち、今週は『場所』と『ある女』を続けて読んだ。『シンプルな情熱』は2年前に読んだ。『場所』は死んだ父親について書いた本だったが、この作品は母親について書いた本。前者を読んで著者の父親像を知っていくにつれ、その時に母親(妻)はどうしていたのだろう、どう受け答えし、対応していたのだろう、と何回も思った。この作品でその答えが出るのかと思っていたら、違っていた。父親(夫)との絡みは殆どなかった。 -
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ネタバレ場所
著者:アニー・エルノー
訳者:堀茂樹
発行:1993年4月15日
早川書房
2022年ノーベル文学賞を受賞した作家。その年に、日本での翻訳出版1冊目である『シンプルな情熱』を読んだ。この『場所』は、日本における翻訳出版としては2冊目。フランスでは、『シンプルな情熱』が1992年出版され、『場所』はその8年も前の1984年に出ている。シンプルな情熱がベストセラーになって注目を集めたが、それまでの代表作は場所だったようである。場所はロングセラーだと訳者はあとがきで言っている。
アニー・エルノーは自分のことを書く小説ばかりだが、ノンフィクションではなく、あくまで小説、訳者は「テクスト」と -
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ネタバレ2022年のノーベル文学賞。
読後、ポッドキャストの「翻訳文学試食会」、「空飛び猫たち」、「世界文学放談胡椒とマルガリータ」を聞いたり、ネット上での感想を漁ったり、した。
読んでいる最中も賛否両論だろうなと予期していたし、実際そうだった。
個人的には、どうーでもいいー体験がどうーでもいいー水準で綴られる文章だなー、と思っていた。
というのも、作者自身を思わせる語り手が、エッセイとも当時の覚書とも区分けしづらい文章を綴る、その行為自体を描くタイプの文章だから。
下世話な覚書を小説に昇華させようとする苦肉の策、とも。
性質上、作家たるワタクシが、子供もいる中年なのに、子なし妻ありの若い男と期間限定 -
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ネタバレ嫉妬/事件
著者:アニー・エルノー
訳者:堀茂樹(嫉妬)、菊池よしみ(事件)
発行:2022年10月15日
ハヤカワepi文庫
初出:200年5月、単行本(早川書房)
ノーベル文学賞が発表される時期になった。2022年の受賞者であるアニー・エルノーは、その年に初めて読み(『シンプルな情熱』)、去年も1冊(『凍りついた女』)を読んだ。これが3冊目。中編小説が2本収められているが、『事件』の方は2022年に「あのこと」というタイトルで映画化されたようである。この文庫本も、本来の表紙カバーと、映画化用のものと、2枚重ねになっていた。
そのカバーにも書いてある「オートフィクション」というジャンル