アニーエルノーのレビュー一覧

  • シンプルな情熱

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    〇〇してから何日たった、あと〇〇時間後には…など、時間を意識せざるを得ない苦しさを思い出すとともに、時間を細切れにせず漠然と過ごせている日々はある意味幸せだと思った。
    著者の他の作品も読んでみたい。

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    2022年11月23日
  • シンプルな情熱

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    ノーベル文学賞つながりで、川端康成を本屋で買ったついでに平積みされているのをなんとなく購入。
    私生活を書く人だと言うことくらいしか知らずに読む。

    率直な感想は「私にはもはや遠い思い出」という感じ。
    誰かを熱烈に想ったり待ち侘びたりする季節は過ぎ去ってしまった。

    描写は簡潔でそっけないほどだ。

    自己と対話するような語り口が同じフランス人作家のマルグリッド=デュラスを思い起こさせるが、例えば「ラマン(愛人)」や「太平洋の防波堤」のようにフランス領インドシナを舞台にした異国情緒による風景の拡がりみたいなものは感じられない。アニー=エルノーの描く世界は閉じた狭い街と部屋の中という感じがする。

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    2022年11月22日
  • シンプルな情熱

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    "passion"
    元々の"受難"という意味もあり、
    恋、情熱に生きるということは
    自分の魂を奪われて、
    意志が強く見える一方で、ある意味
    主体性をなくしてしまっていることなのかも、なんて。

    欲することの限界を向かえたいような、
    向かえたくないような。
    終わりを意識しながら
    美しき時を化粧しながら、
    ただひたすら"待つ"。

    もしかしたら、ギャンブルのように
    "待つ"ことのゲームを
    楽しんでいるのかもしれない。
    (Aが好き、というより、相手はAであることが相応しい、という感覚もある?)

    恋、情熱について
    哲学し

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    2022年11月12日
  • シンプルな情熱

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    最後の終わり方が素晴らしかった。恋することにも、いろいろなランクがあるのだと知る。パッション、情熱、受難。フランスの大人の女。憧れるけど、全てがマネすらできない、今の私。

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    2022年10月30日
  • 凍りついた女

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    フランス女性作家として邦訳、これが4冊目というが・・全く 知らなかった。刊行は1981、当作の邦訳は30年弱前。
    ありきたりの言い方ながら、さすがフランス女性としか・・言いようもない。
    フランス女性と一括りにするのは大嫌い・・日本女性だって、同年代でもピンキリ、多種多様。ただ言えるのはフランス女性のお手本と言われるのがボーボワール、日本女性のそれは円地文子、有吉佐和子。

    読み始めて一驚するのは饒舌体。心に秘めた思いを吐き出すかのようにすごい勢いで語り続けて行くのが伝わってくる。改行はない、さすがに句読点はあるが、それだけで作家が内面に秘めたパッションを受けとめる。

    巻末に有る訳者の解説中~

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    2022年10月18日
  • 場所

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    ネタバレ

    2022年 ノーベル文学賞受賞者アニーエルノーの1984年発行でルノードー賞受賞作。
    シンプルな情熱は1991年発行。
    物語は著者の父親の生涯を描いたようなもの。しかし、編年体で何をした何がおこったということよりも、フランス社会の階層、貧困、そのなかでの幸せ、人間関係、暮らしをその地域特有の問題としてではなく、人間の普遍的な問題として捉えている。そして著者であるエルノーは大学にすすみ、文学で大学に職を得ることで、父親との精神的距離が遠くなる。父の操る言葉は決して上流階級のそれでも、文学的レベルが高級なものでもないが、それがなんだというのだろうか。生活にねざした言葉であり、劣等感に起因するおかし

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    2022年10月13日
  • シンプルな情熱

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    原典、Passion Simple
    邦題、シンプルな情熱
    今の私には、贅沢とは、ひとりの男、またはひとりの女への"激しい恋”(=パッション)を生きることができる、ということでもあるように思えるように。


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    2022年08月14日
  • シンプルな情熱

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    どなたか知識人の女性がテレビでお勧めしていた1冊。
    『ストレートに女の性を描いて話題騒然の書』と帯に書いてありますが性でびっくりしたのはプロローグだけ。
    読み進むうちに片思いの切なさ、待つこと以外何もしたくない時間、恋の終わりの予感の妄想や苦しみ、など本気で人を好きになったら勝手に訪れてしまう感情たちがありありと甦って来ました。あの時のあの感情を冷静に文章にしようとしたら、この本が一字一句違わない表現してくれているはず。
    自分ではどうにもできない苦しくて時間。アニー・エルノーは今の私位の年齢でこんな経験をしたんだなぁと思うとさっさと経験しておいて良かったかなと。今なら耐えられないよ、きっと私(

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    2010年07月25日
  • 嫉妬/事件

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    ネタバレ

    最も印象に残ったのは中絶の表現云々以上に、インターンの医師の態度。
    医学部生が文学部生のことを「自分と同じ側の人間」と捉えているのは今の日本社会、大学システムからするとかなり異質では?
    研修医が文学部生をアカデミックな仲間として受け止めるなんて考えられないよ。

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    2025年11月22日
  • 嫉妬/事件

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    たまたま本屋でノーベル文学賞作家というフレーズに惹かれて購入。

    小説ではないため、物語としては今ひとつ。ただ、ノーベル賞受賞の理由を読み、納得した。

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    2025年09月28日
  • 嫉妬/事件

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    読んだ印象は、文学だった、ということ。

    訳者のあとがきを見ると、『嫉妬』も『事件』も小説ではないのだそうで、自伝的「文章」「テクスト」なのだそうだ。すごい。

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    2025年09月25日
  • シンプルな情熱

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    自身の恋を剥き出しで語るところは確かに賛否が分かれそうと思いました。個人的にはあまりピンと来ないところが多かったですが、他の作品も読んでみたいです。

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    2025年09月15日
  • シンプルな情熱

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    5年前に、セルゲイ・ポルーニン観たくて映画化したのを観た。
    たしかに、「シンプルな情熱」に自分を捧げる期間は贅沢であるともいえる。
    しんどい気持ちを紛らわすためにさらにしんどかったことを思い出そうとする、みたいなのはわかる〜!って思った

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    2025年04月25日
  • シンプルな情熱

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    無駄なものを削ぎ落としたシンプルな情熱は、もはや芸術であり、それが爆発する過程を見ているようで、そこには極上の感動があった。

    最高だ。完璧な余韻。耳鳴りとして残る余韻に浸り回想する。

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    2025年01月04日
  • ある女

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    ネタバレ

    ある女

    著者:アニー・エルノー
    訳者:堀茂樹
    発行:1993年7月31日
    早川書房

    2022年ノーベル文学賞、アニー・エルノーの小説。日本で出版された最初の3冊である『シンプルな情熱』『場所』『ある女』のうち、今週は『場所』と『ある女』を続けて読んだ。『シンプルな情熱』は2年前に読んだ。『場所』は死んだ父親について書いた本だったが、この作品は母親について書いた本。前者を読んで著者の父親像を知っていくにつれ、その時に母親(妻)はどうしていたのだろう、どう受け答えし、対応していたのだろう、と何回も思った。この作品でその答えが出るのかと思っていたら、違っていた。父親(夫)との絡みは殆どなかった。

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    2024年11月23日
  • 場所

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    ネタバレ

    場所

    著者:アニー・エルノー
    訳者:堀茂樹
    発行:1993年4月15日
    早川書房

    2022年ノーベル文学賞を受賞した作家。その年に、日本での翻訳出版1冊目である『シンプルな情熱』を読んだ。この『場所』は、日本における翻訳出版としては2冊目。フランスでは、『シンプルな情熱』が1992年出版され、『場所』はその8年も前の1984年に出ている。シンプルな情熱がベストセラーになって注目を集めたが、それまでの代表作は場所だったようである。場所はロングセラーだと訳者はあとがきで言っている。

    アニー・エルノーは自分のことを書く小説ばかりだが、ノンフィクションではなく、あくまで小説、訳者は「テクスト」と

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    2024年11月22日
  • シンプルな情熱

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    ネタバレ

    2022年のノーベル文学賞。
    読後、ポッドキャストの「翻訳文学試食会」、「空飛び猫たち」、「世界文学放談胡椒とマルガリータ」を聞いたり、ネット上での感想を漁ったり、した。
    読んでいる最中も賛否両論だろうなと予期していたし、実際そうだった。
    個人的には、どうーでもいいー体験がどうーでもいいー水準で綴られる文章だなー、と思っていた。
    というのも、作者自身を思わせる語り手が、エッセイとも当時の覚書とも区分けしづらい文章を綴る、その行為自体を描くタイプの文章だから。
    下世話な覚書を小説に昇華させようとする苦肉の策、とも。
    性質上、作家たるワタクシが、子供もいる中年なのに、子なし妻ありの若い男と期間限定

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    2024年10月15日
  • 嫉妬/事件

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    ネタバレ

    嫉妬/事件

    著者:アニー・エルノー
    訳者:堀茂樹(嫉妬)、菊池よしみ(事件)
    発行:2022年10月15日
    ハヤカワepi文庫
    初出:200年5月、単行本(早川書房)

    ノーベル文学賞が発表される時期になった。2022年の受賞者であるアニー・エルノーは、その年に初めて読み(『シンプルな情熱』)、去年も1冊(『凍りついた女』)を読んだ。これが3冊目。中編小説が2本収められているが、『事件』の方は2022年に「あのこと」というタイトルで映画化されたようである。この文庫本も、本来の表紙カバーと、映画化用のものと、2枚重ねになっていた。

    そのカバーにも書いてある「オートフィクション」というジャンル

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    2024年10月02日
  • 若い男/もうひとりの娘

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    エルノー。一見非常に私的な散文のように見えるが、ここまで究極に個人を描くと、翻って公的な社会のようなものが現れてくる。
    相手のことを見ているようで、実はその相手の中にいる過去の自分を見ている。身体に刻み付けられた過去の記憶という文章が印象的だった。

    でもやっぱりエルノーはフランス語で読んだほうが沁みるね

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    2024年08月31日
  • 嫉妬/事件

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    身体を傷つける具体的な内容や醜い心を包み隠さない内容等が書かれており、うわ!と思わず声が漏れてしまった。人間が窮地におかれた時の見せない醜くい部分も人間らしいなと思う。

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    2023年08月27日