Z会小3年紹介の本
以前、駅へ向かう途中に取り壊す予定の団地があって、そのそばを通るたびに感じた独特の雰囲気をこの本を読んで鮮明に思い出した。
人が住んだ跡というか生活した面影が残っているという感じだ。多分、皆、普通に退去しただろうから、不吉な感じはなく、怖くはない。窓ガラスから覗いて見える片
...続きを読む付いた部屋の中のキッチンや換気扇とか、ベランダに残ったパラボラアンテナがとかが、以前そこに生活があって、そこに住んでいる人たちの色々な喜怒哀楽を連想させる。いずれ壊されるであろうことは安易に想像できて、新しい建物に建て替わるのを待っている、という独特の雰囲気だった。
この本は、そんな取り壊す予定の団地で不思議な体験する子供たちの物語を集めたものだ。だから「おばけ」と題名に付いてはいるが、それほど怖いわけではない。今の大人たちが子供のころにその団地で体験した生活とか想いとかが今の子供たちに不思議な力で伝わってくる、という感じのお話が集まっている。
これからも団地のような単位で人々の生活というか時代というものの代謝を繰り返してゆくんだろうな、ということを連想させてくれる話がいくつもある短編集のような本だった。
子供たちの想像や妄想を膨らませてくれるような話が詰まった楽しい本でした。