谷口真由美のレビュー一覧
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著者は法学者であるが、とても平易、と言うよりもかなりくだけた文章で、一部面白くも可笑しく、楽しみながら読めた。日本ラグビー協会を例に旧態依然とした日本に蔓延る組織社会問題をズバズバ述べられており、共感する部分が多かった。特に日本ラグビー協会の組織体質の問題は、他のラグビー記者が書いた1991年かあの、オールブラックスに17対145点で敗れた1995年こワールドカップ、以後の1999年の平尾ジャパン、2003年の向井ジャパン当時の代表チームの強化体制や協会組織運営において、幾度も指摘されていた事が、多様性が叫ばれているこのご時世においても何ら変わらない事がわかった。勿論、30年以上前の状態に比べたら、体罰やドーピングなど反社会的な、最低限のレベルでの改善はあるたまろうが、金銭や人事絡みの問題には、大いに改善の余地がありそう。声を上げる人間が潰されたり、無碍にされる体制が整備されて、強い日本代表、子供達の多くがやりたくなるような競技になるような協会組織になれればと思う。表に出ない中でもラグビー協会の中で奮闘努力している方々を応援しています。
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ネタバレ『はじめに』には権利について書かれてる。
『権利を持っているというのは大きく分けて次の二つのことができることを意味します。
1 自分で何かを自由に行っていいこと
2 他人に何かしてもらうよう要求できること』
「ぎゃくたいってなあに?」は権利についてだけだったけど、この本はそれで何ができるかまで書かれている。
子どもたちの日常のこまごまとしたことについてを権利を絡めてアドバイスしてくれる本。
「ぎゃくたいってなあに?」と同じく『そもそも大人たちが権利を知らない』とこの本にも書いてあるけど、まさしくそれ。
大人は知らない。
子どもだけが知っていても「生意気なガキだな」で一蹴されることもある。
もっと社会が『人権』について知って、大人がそのような基本的な知識を『学び続けることができる場所』があるといいのにな……とは思う。でも、それがどんな形なのかそもそも、現状存在してるけど周知がされてないだけなのかも分からない。日本あるあるの『システム・制度』は存在してるけど、周知や価値観の変容は促さず同調圧力で『制度・システムを使わせない』という形のものなのか。育児休業を調べた時、世界でも一番のいい制度があるらしいけど周知がされず価値観の変容も促されていないので、結局使えない代物と化しているというなぞ制度だった。そういうのが色々ありそう。 -
購入済み
「あなたの役割」とは?を考える
この本は、業界を仕切る男性たちやその閉ざされた社会に対する告発や恨み節ではない。乞われて足を踏み入れたはずのラグビー協会に、手足を縛られ翻弄されながらも懸命に向き合い続け、そして結局排除された一ラグビーファンの女性による記録だ。
その筆致はとても俯瞰的で、ときにユーモラスでさえある。それがかえって業界の病理や解決すべき問題点を鮮明に浮かび上がらせた。当事者たちもこの本を虚心坦懐に読めば、自分たちの現状を客観視できるのではないか。
まず“虚心坦懐”の境地をこの人たちに求めるのが無理筋かな^^; -
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ネタバレいやー面白かった!思い当たるところがありすぎて、うちの会社の上層部と男性陣全員に一冊ずつ熨斗つけてお贈りしたいくらい。
理事を依頼される冒頭部分の、本人の事情や意向まるで無視なおっさん達の態度からして、ニッポンの家父長制の悪いところを集めて煮詰めたよう。いまの強引な女性登用って、おっさんによって生み出された家父長制の膿なんじゃないの…とすら思ってしまう。
元ラガーマンがスクラム組んで女性一人囲んで役職を依頼するなんて圧迫面接そのものだし、彼女を登用しておきながらずけずけ意見をいわれると「意見を聞かなくなった」って他人に愚痴ってる清宮さんもたいがいマチズモ体現してるし、川渕さんもその世代の男性にしては広い心を持った革新的な人なのかもしれないけど、こういうオジサンに頼らないと女性一人では物事が進まないっていう事実がもう、ダメダメじゃんね。
こんな状況で2年も頑張ってこられた著者の谷口さんはすごいなしかないのだけど、本当に日本の状況はひどいなぁと再認識させられた。 -
Posted by ブクログ
ステレオタイプで良くはないが、ラグビー経験者は、「俺たちは、あんたより辛い練習を耐えた」「俺たちのフィジカルは、あんたより強い」と言う優越感というか、古典的マッチョイズムというか、上から目線というか圧を出すイメージがある。もちろん肉体的に大きいだけで、そんなつもりがない場合も多々あるだろう。(そうじゃない方も多々知っているので、あくまでステレオタイプということでお許しを)
しかし、ビジネスや成長という文脈において、その優越感に浸って、同じ村の人々とのみずっと交際したりすると、危険である。最近のビジネス用語で言うと、アンラーンしないのでグロースマインドセットにならない、ダイバーシティーの欠如がイノベーションを阻む、心理的安全性がないと新たな意見や考えがでない、などなど。陳腐な優越感がもたらす代償は大きい危険性がある。
物事には両面があり、著書のいうことが全て真実ではないだろうが、残念ながら日本ラグビー協会に対する同様の声は、30年以上前から続いている。しかし、エディー・ジョーンズという黒船を受け入れたことで、パフォーマンス面での進化は急激に進んだ。しかし、経営面での進化はそのままだということを、この本が浮き彫りにしたのかもしれない。
でも考えてほしい、Jリーグも誕生から急激にパフォーマンスが伸び、ワールドカップ常連になったが、クラブ経営はそんなに順風満帆ではなかった。時間がかかった。途中何度も挫折やピンチがあって、コロナが来ても逞しく乗り越えようとする今がある。
ラグビーも長い目で見たら、そういうことなのではないだろうか?ビジネスや運営面での成長は時間がかかる。今はその過程だということだけかもしれない。これをきっかけに、グラウンド外の部分での成長を求められるだろうし、クラブを支えている日本の企業トップも求めるべきだろう。まともに、リーグ参戦表明資料を作る努力さえできないのでは、心元ないというか、選手も恥ずかしいだろう。章男さんあたりが一喝して、挽回することを期待しよう。他の企業も同様に。
最後に、星新一の言葉を紹介したい。
「男」
『わが国で「男がたたぬ」「男の花道」など「男のなんとか・・・」という場合、そこに表現されているものは、体裁であり、虚栄であり、非論理的であり、他人への強要であり、背のびであり、感情、ムード・・・つまり、みんな女性的なもの。ひょっとしたら、俺たちはみんな女じゃないのかしら。そんな気がするわ。男とは独特な自我を持ったクールなものであるべきでしょう。』
森会長も清宮さんも岩渕さんも各チームの部長さんも、実はラグビー経験者はみんな女性なのかしら!??? 経験者の皆さん、怒らないでくださいね。
ちなみにこの文章も、現代ではダイバーシティーの観点からアウトかもしれませんね。それだけ時代と世の中が変わっていっている証なのでしょう。これをきっかけにラグビー界がオープンな議論ができることを願います。 -
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新リーグ立ち上げを盛り上げるためだったのか、ただ体裁を整えるためだったのか、兎にも角にも茶番を仕込んだつもりのラグビー協会が、凄まじいキャスティングミスを冒した一件。著者の研究分野に関する理解と自分たちの組織の体質についての客観視がどれだけできていなかったのか。そのお粗末ぶりに驚く。もちろん著者だけの言い分だけでコトの良し悪しは断定できないが、細かな経緯や結果がどうであれ、著者は自身のやるべきことをやったと思う。学者はこうでなくっちゃ、と思った。著者のしてみれば、腹が立って書かずにはいられなかったという面もあると思うが、これを公にすることにより予想される様々な煩わしさに負けることなく、本書を刊行したことに敬意を表したい。現代日本の指導的立場にあるコミュニティに関する貴重な一証言だと思う。
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TBSのサンデーモーニングで、歯に衣着せぬコメントで、視聴者の溜飲を下げることでおなじみの大阪のおばちゃんこと谷口真由美さんが、日本ラグビー協会での体験談を赤裸々に綴ります。あくまで谷口真由美さんの言い分なのでしょうが、読み進めていくと谷口真由美さんの理路整然とした経過記録に引き込まれていきます。
両親の都合で、近鉄花園ラクビー場で育った青春時代。ラグビーのルールを自然と身につけ、またラグビー界との人間関係も深まる中で、半ば強引に日本ラグビー協会に組み込まれる。新リーグ設立に尽力するが、「おっさんの掟」に翻弄され、齟齬にされ、役員解任に至る。自身が憲法学者ゆえに、日本国憲法に照らしてコンプライアンスの向上を進めたにもかかわらず「おっさんの掟」の前に断絶される。最終章では、日本軍部の失敗を組織論的に検証した戸部良一氏らの名著「失敗の本質」を例に、日本軍と重なる部分の非常に多い日本ラグビー協会の組織体質を指弾する。日本の組織に蔓延る組織疲弊の典型を紹介する書籍として、また自分の所属する組織がどうあるべきかを考える1刷となった。(文字数字)467字
閑話休題 失敗の本質
合理的思考よりも優先される年功序列主義、それに伴う上長への行きすぎた配慮、曖昧な命令による組織の迷走-。いずれもラグビー協会で目にした光景です。ワールドカップで南アフリカ(2015年)、アイルランド、スコットランド(2019年)という強豪を撃破したことで慢心してしまった点も、日清戦争、日露戦争で勝利を収めた「成功体験」から悲惨な太平洋戦争に突き進んだ日本軍を想起させました。
こう話すと「ラクビー協会はなんて古臭い組織なんだ」と思われる方も多いでしょう。しかし、このような組織の硬直化は、なにもラグビー協会に限った話しではなく、日本の津々浦々でおきているのではないかとも感じます。 -
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2022年2月発行ということは、かなり最近の本だ。
筆者は法学者で、かつ、テレビやラジオのコメンテーターをやられていた女性。2019年6月に、日本ラグビーフットボール協会の理事に就任。2020年1月にラグビー新リーグ法人準備室長に就任されている。
2019年のW杯で、日本チームは大活躍をし、日本中にラグビーブームを巻き起こした。一方で、競技人口の減少に危機感を持っていた協会は、ラグビーのプロ化に舵を切る。筆者の谷口さんが、法人準備室長に就任されたのは、そのようなラグビー界にとって非常に大事な時期であり、また、法人準備室長はプロ化にあたっての対外窓口を務めるキーポジションであった。
筆者はラグビー界のために、自らの収入を減らすなどを犠牲を払いながら奮闘する。しかしながら、(本書の中の情報で判断する限り)筋を通しすぎたために、孤立し、裏切られ、最後には解任されてしまう。
本書で紹介されている、ラグビー協会・ラグビー界の姿は、谷口さんの目を通してのものだけであり、実際にどうだったのかは、協会側の見解も知る必要があるが、谷口さんの書いていることは、信頼がおけるように思える。
谷口さんの目を通しての組織としての日本ラグビー協会は、
■内向きの論理で動いている
■よそ者に冷たい
■現状維持・波風を立てないことを優先する
■組織の意思決定や業務遂行に関するガバナンスの仕組みがほぼない
等の、例えば東芝といった失敗した日本の法人組織と似たような特徴を持っているように感じた。
それを谷口さんは「おっさんの掟」と呼んで本書の題名としているが、実は、もっと一般化できる腐った組織の特徴を書かれているように感じた。 -
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ラジオノオトでずっとパートナーをお務めだった谷口さんの著書ということで購入。
ラジオでもあらすじをおっしゃっていたように、ラグビー協会が、世の中にはびこる「おっさん的」思想や行動の代表格みたいな集団でびっくりした。
協会側の意見はこの本に記載が無いということを織り込めば、谷口さんはいわゆる日本企業でお勤めをされた方ではない(はずだ)し、「組織の論理」で目上に迎合する慣習みたいなものとそもそも反りが合わなくて、巧く協会内の政治ができなかった部分はあるのかもしれない。
ただ、私が思ったのは、ラグビー協会を「その中で上手く立ち回って少しずつ変えていく」レベルではなくて、「革新的に変えていく」必要があると思ったからこそ、谷口さんの力が求められた部分は無かったのだろうか?ということ。
新しいリーグを作るほどの労力が必要ともなると、旧態依然の村社会のなあなあでは成功できないと思う。
我関せずではなく、どんなに小さなことでも、自分なら何ができるかを考える力を持つこと、そして目上であろうと関係なく、自分の考えはきちんと相手に伝えること(当然、相手の意見もきちんと聞くこと)が、組織をより良くしていく上で本当に大切なことだと気づかせてくれる一冊。