伊藤孝のレビュー一覧
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プレートの変動帯に位置する日本列島は、雨水がマグマで温められ誕生した温泉や豊穣で回復の早い土壌、豊富な天然水、砂鉄、砂金、銅、海流と言った多くのメリットを持つ場所である一方、地震、噴火、津波、台風と言った局所的なリスクに多く晒される土地でもある。逆に言えば、この日本列島の「すごさ」が、日本の稀有な歴史を形作ってきたのであり、世界におけるユニークな日本の立ち位置を生み出してきたとも言える。雨で脆弱になった花崗岩から滲み出た砂鉄に目をつけ、たたら製鉄によって精巧な日本刀を生み出してきた日本の先人たちの技術に驚いたり、9万年前に九州一帯を火砕流で飲み込んだ阿蘇カルデラの恐ろしさなど、日本列島の歴史と
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2024年4月25日初版で同年6月30日には3版。売れてる理由が読んでて分かった。知的エンターテインメントのようにおもしろい。以下、“おもいしろい”の一部抜粋。
「地球史の最初の42億年間は、火のない地球であった(p130)」
「化学肥料に頼らずに、この日本列島で養える人口は3000万人、となる。生態学的な「最大」人口と言えるのかもしれない (p135)」
「ここは「慈悲深い列島」である一方で「危険な列島」でもある。一言でいえば「すごい列島」(p226)」
著者の伊藤孝先生は勤務先である山形大学理学部地球科学科卒。学内で講演していただきたいと思った。 -
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本書の主テーマではないが、冒頭で高校地学の履修状況が著しく低いことに触れた箇所がある。思えば僕が通っていた高校は、そもそも地学の授業はなかったので、履修のしようがなかった。皮肉にも、当時はどうしても地学を学びたいという気持ちすらなかった。
高校を卒業して半世紀経つが、今こうして「地学」の本を興味深く読んでいる。本書は、「高校の地学教科書にかならず載っているような地球科学的な情報をベースとする」。本書を読み終えて、感じたのは、高校地学の教科書のレベルってどんだけ高いの?ということだった。
本当かと、疑心暗鬼な気持ちでさっそく本屋で地学の教科書を購入。内容を確認して驚いた。本当だった。地学の教 -
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ネットで本を買うことが多くなりましたが、偶に時間がある時に本屋さんに行くと今回読んだ本に出会うことがあって嬉しいものです。
この本は日本列島にはなぜ、各種資源に恵まれているのか、一部資源に恵まれていないのかを地質学的に説明されています。日本には台風・火山噴火・地震等の自然災害が多く、ある意味暮らしにくい、生活するにはリスクが高い場所かもしれませんが、それでも数万年と人間が住み続けてきており、魅力もあるのだと思います。
この本では日本列島だけではなく、なぜ地球に人類が住めるようになったのか、つまり酸素が増加するようになったのかの解説もされています、氷河期を幾度と経験してきた地球が、その間に酸 -
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<目次>
序章 日本列島の見方
第1章 かたち~1万4000の島々の連なり
第2章 成り立ち
第3章 火山の列島~お国柄を決めるもう一つの水
第4章 大陸の東、大洋の西~湿った列島
第5章 塩の道~列島の調味料
第6章 森林・石炭・石油~列島の燃料
第7章 元祖「産業のコメ」~列島の鉄
第8章 黄金の日々~列島の「錬金術」
終章 暮らしの場としての日本列島
<内容>
地学の本である。表記はおしなべてわかりやすい。特に松尾芭蕉の『奥の細道』をベースに語る前半が、文系と理系をつなぐような記述となっている。日本史を考えるとき、こうした自然環境だからこそ、のことが多い。それを