小西真理子のレビュー一覧
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【目次】
まえがき 親密な関係に生じる暴力を問う――〈当人〉と〈第三者〉のあいだの亀裂
第1章 なぜ暴力関係から逃れられないのか【通説編】――専門家らによる見解
1 加害者から離れたがらない被害者たち
DV加害者から離れない被害者たち/親をかばう被虐待児たち
2 専門家らによる代表的な回答
加害者の暴力によって無力化しているから/加害者の「愛情」に固執しているから/加害者に支配・洗脳されているから/加害者に依存しているから
第2章 なぜ暴力関係から逃れられないのか【異端編】――語られる歪な愛
1 分離以外の解決策の必要性――「離れたくない」
2 〈当人〉の言葉の真正性――「私 -
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DV(家庭内暴力)の渦中にある当人(当事者・被害者)のさまざまな語りを受け止めることで、第三者がどう彼らへ関わるとよいかを多方面から分析かつ考察し、よりよい選択肢を模索していくような本です。
僕にも経験がありますが、DV被害の相談をすると、もう行政の担当者の言動には「分離」の構えが顔をのぞかせていることに気づいたりします。暴力を振るう父親と、振るわれる母親を一緒の屋根の下では暮らさせることはできない、として行政や支援組織が、父親にはその住所を絶対に教えることのないシェルター住宅に母親を移動させる、というのが「分離」です。
これはこれでパターナリズムと呼ばれもしますが、危害を加えられて命の危 -
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後書きで分かったが、本書は立命館の小泉義之門下に集まった人たちの論文集であり、帯に「愚かな人生はある。不可解な生活もある。無価値な生もあるだろう。しかし/だから、狂おしい思いで、その狂える倫理を書きとめる。何かが狂う。何かが正される。そして何かが動きだす。若き友人たちの本ができあがった。」とあるが、まさにそのようん雑多な内容であるが、そのような視点では見なかったと思われる視点で興味深くは読ませていただいた。目次から拾い上げると、「不幸」の再生産――世代間連鎖という思想の闇(小西真理子)、「カサンドラ現象」論――それぞれに「異質」な私たちの間に橋を架けること(髙木美歩)、ケア倫理における家族に関
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Posted by ブクログ
正常とされる立場、物の見方、価値観に対して、「それ以外の人間(≒狂気?)」の生の肯定。
魅力的なテーマに感じて手に取った。ただ、正常とされていることとそれ以外を考える場合の倫理といった、「正常とされること以外」を概観して分析するような内容を期待したが、いくつかの(小)テーマで、その中での「その他」に光を当てる批評?群といった構成で、少し期待とはちがっていた。
また、批評の取り扱うテーマもかなり雑多で、それぞれの質もあるが興味をひくものとひかないものもあったことから、つまみ読みした。
記憶に残ったポイントは以下の2つ。
①症状/問題のラベリングにも、内容によって、効果やアプローチの違いが