小西真理子のレビュー一覧

  • 歪な愛の倫理 ――〈第三者〉は暴力関係にどう応じるべきか

    Posted by ブクログ

    【目次】

     まえがき 親密な関係に生じる暴力を問う――〈当人〉と〈第三者〉のあいだの亀裂

     第1章 なぜ暴力関係から逃れられないのか【通説編】――専門家らによる見解

    1 加害者から離れたがらない被害者たち 
    DV加害者から離れない被害者たち/親をかばう被虐待児たち
    2 専門家らによる代表的な回答
    加害者の暴力によって無力化しているから/加害者の「愛情」に固執しているから/加害者に支配・洗脳されているから/加害者に依存しているから

     第2章 なぜ暴力関係から逃れられないのか【異端編】――語られる歪な愛

    1 分離以外の解決策の必要性――「離れたくない」
    2 〈当人〉の言葉の真正性――「私

    0
    2024年12月19日
  • 歪な愛の倫理 ――〈第三者〉は暴力関係にどう応じるべきか

    Posted by ブクログ

    DV(家庭内暴力)の渦中にある当人(当事者・被害者)のさまざまな語りを受け止めることで、第三者がどう彼らへ関わるとよいかを多方面から分析かつ考察し、よりよい選択肢を模索していくような本です。

    僕にも経験がありますが、DV被害の相談をすると、もう行政の担当者の言動には「分離」の構えが顔をのぞかせていることに気づいたりします。暴力を振るう父親と、振るわれる母親を一緒の屋根の下では暮らさせることはできない、として行政や支援組織が、父親にはその住所を絶対に教えることのないシェルター住宅に母親を移動させる、というのが「分離」です。

    これはこれでパターナリズムと呼ばれもしますが、危害を加えられて命の危

    0
    2024年06月22日
  • 狂気な倫理――「愚か」で「不可解」で「無価値」とされる生の肯定

    Posted by ブクログ

    立命館大学大学院先端総合学術研究所で、哲学者である小泉義之教授の指導を受けた人たちが中心となって編まれた論文集。内容は発達障害や虐待、SMや釜ヶ崎周辺のゲイカルチャー、看護やパラリンピック、果ては妖怪人間ベムまで多岐に渡っているというか渡りすぎである。立命館大学大学院先端総合学術研究所自由すぎるだろ。とはいえ内容は「狂気の倫理」という書名に反してしごく真っ当で、ある意味素朴。中には(自分には)ピンとこないものもあったが多くは興味深く読むことができた。

    0
    2022年09月29日
  • 抵抗への参加──フェミニストのケアの倫理──

    Posted by ブクログ

    「もう一つの声」でケアの倫理を提唱したギリガンがいわゆるフェミニストたちからへの反論?と史て書かれた書か。ギリガンの定義するフェミニズムは、人間の歴史における偉大な解放運動の一つであり、民主主義を家父長制から解放するための運動である。それは女性だけでなく男性も家父長制から解放するものであり、ジェンダー階層やジェンダー二元論からなる家父長制の解体を訴えるものである。ケアの倫理は人間の倫理であるということである。ギリガンは、それを証明するために丁寧に声を拾い上げることによって行う方法は流石に心理的な手法であると思った。

    1
    2023年11月25日
  • 狂気な倫理――「愚か」で「不可解」で「無価値」とされる生の肯定

    Posted by ブクログ

    小泉義之先生の紹介から辿ってきた.福祉従事者がときおり見せるパターナリズムや過剰包摂への疑問から手に取ってみた.装丁が素敵.そして帯の文章が良い.

    0
    2022年10月03日
  • 狂気な倫理――「愚か」で「不可解」で「無価値」とされる生の肯定

    Posted by ブクログ

    後書きで分かったが、本書は立命館の小泉義之門下に集まった人たちの論文集であり、帯に「愚かな人生はある。不可解な生活もある。無価値な生もあるだろう。しかし/だから、狂おしい思いで、その狂える倫理を書きとめる。何かが狂う。何かが正される。そして何かが動きだす。若き友人たちの本ができあがった。」とあるが、まさにそのようん雑多な内容であるが、そのような視点では見なかったと思われる視点で興味深くは読ませていただいた。目次から拾い上げると、「不幸」の再生産――世代間連鎖という思想の闇(小西真理子)、「カサンドラ現象」論――それぞれに「異質」な私たちの間に橋を架けること(髙木美歩)、ケア倫理における家族に関

    0
    2024年10月06日
  • 狂気な倫理――「愚か」で「不可解」で「無価値」とされる生の肯定

    Posted by ブクログ

    テーマは面白い!
    でも論文の内容は至極まともなものが殆どで、全然狂気じゃない・・・
    狂気な倫理とは。

    0
    2023年06月06日
  • 狂気な倫理――「愚か」で「不可解」で「無価値」とされる生の肯定

    Posted by ブクログ

    正常とされる立場、物の見方、価値観に対して、「それ以外の人間(≒狂気?)」の生の肯定。

    魅力的なテーマに感じて手に取った。ただ、正常とされていることとそれ以外を考える場合の倫理といった、「正常とされること以外」を概観して分析するような内容を期待したが、いくつかの(小)テーマで、その中での「その他」に光を当てる批評?群といった構成で、少し期待とはちがっていた。

    また、批評の取り扱うテーマもかなり雑多で、それぞれの質もあるが興味をひくものとひかないものもあったことから、つまみ読みした。

    記憶に残ったポイントは以下の2つ。

    ①症状/問題のラベリングにも、内容によって、効果やアプローチの違いが

    0
    2023年04月03日