作品一覧

  • SMの思想史 戦後日本における支配と暴力をめぐる夢と欲望
    4.7
    1巻3,300円 (税込)
    サディズム、マゾヒズム、フェティシズム、同性愛や異性装などのセクシュアリティをもつ人々が集った雑誌「奇譚クラブ」は、「その表紙に触れるだけでも戦慄が走る一種危険な雑誌」「戦後の裏文化の帝王」などと語られ名前だけは広く知られてきたが、雑誌の特色や内容に関する本格的な研究がなされてこなかった。 本書では、「奇譚クラブ」を含めた1950年代の戦後風俗雑誌7誌を全号通覧のうえ、類似雑誌の系譜・模倣関係を検証、「奇譚クラブ」の史料的特質とその重要性を浮き彫りにする。 吾妻新、沼正三、土路草一、古川裕子という4人の「奇譚クラブ」作家/思想家に着目する。戦後民主主義・近代化の潮流のなかで、サディスト・マゾヒストを自認した人々は、支配と暴力をめぐる欲望について何を考え、どう語ったのか。「家畜人ヤプー」「夜光島」などのポルノ小説やエロティックな告白手記から、主体性、自立、同意、愛をめぐる論点を取り出し、近代的な人間性をめぐる規範の限界をあぶり出す。
  • 狂気な倫理――「愚か」で「不可解」で「無価値」とされる生の肯定
    3.6
    1巻2,970円 (税込)
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 愚かな人生はある。不可解な生活もある。無価値な生もあるだろう。しかし/だから、狂おしい思いで、その狂える倫理を書きとめる。何かが狂う。何かが正される。そして何かが動きだす。若き友人たちの本ができあがった。  小泉義之(立命館大学名誉教授)

ユーザーレビュー

  • SMの思想史 戦後日本における支配と暴力をめぐる夢と欲望

    Posted by ブクログ

    「SM」こそ親密な関係である!!

    ズボンとスラックス論争など、最初から最後まで読んでいて面白かった。特に、家畜人ヤプーの解説は興味深く、全書購入してしまった。沼ワールドに誘われ、深淵なるSMの領域へと実践知ではなく「知」から入ろう。

    0
    2025年06月21日
  • SMの思想史 戦後日本における支配と暴力をめぐる夢と欲望

    Posted by ブクログ

    1950年台から60年代初頭の「奇譚クラブ」、特に当時「奇譚クラブ」の投稿者として名をはせた吾妻新と沼正三の二人を中心に(高橋鐵のような外部からの精神医学や性科学てきなアプローチではなく)当時の当事者たちによるSM論を読み解くというもの。「家畜人ヤプー」の沼正三はともかく、一般的にはほぼ名を知られていない吾妻新についてここまでキチンと論考されたことがあっただろうか?

    内容も丁寧な読解でありがちな著者の考えが先走ったような強引さもなく納得のいくもの。沼正三の「家畜人ヤプー」についてはいろいろな人がいろいろ語りつくしてきたけれど、これほど明確なすっきりとした解説はなかったのではと思う。

    個人的

    0
    2024年06月01日
  • 狂気な倫理――「愚か」で「不可解」で「無価値」とされる生の肯定

    Posted by ブクログ

    立命館大学大学院先端総合学術研究所で、哲学者である小泉義之教授の指導を受けた人たちが中心となって編まれた論文集。内容は発達障害や虐待、SMや釜ヶ崎周辺のゲイカルチャー、看護やパラリンピック、果ては妖怪人間ベムまで多岐に渡っているというか渡りすぎである。立命館大学大学院先端総合学術研究所自由すぎるだろ。とはいえ内容は「狂気の倫理」という書名に反してしごく真っ当で、ある意味素朴。中には(自分には)ピンとこないものもあったが多くは興味深く読むことができた。

    0
    2022年09月29日
  • SMの思想史 戦後日本における支配と暴力をめぐる夢と欲望

    Posted by ブクログ

    揚場町風俗資料館で日がなSM本を一緒に読んだ友達が勧めてくれた。
    筆者はまさかの歴史学者(!)で、原則実証主義歴史学の方法で書かれているのだけれども、SMが日常生活と切り離すことにより、対等な主体同士でも可能とみなされるのが先進的だと捉えられていた時代から、尊厳を損なってもなお生き続けることの意義を問う時代へと移行しているという、いわば人間学や哲学に近い見方もきちんとあとがきでやっているのが好感持てた。特に吾妻新(村上信彦)と沼正三(倉田卓次)の対比から見えてくるものは大きい。
    非ヴァニラセックス中心主義者としても、読むべき本でございました。

    0
    2025年08月06日
  • 狂気な倫理――「愚か」で「不可解」で「無価値」とされる生の肯定

    Posted by ブクログ

    小泉義之先生の紹介から辿ってきた.福祉従事者がときおり見せるパターナリズムや過剰包摂への疑問から手に取ってみた.装丁が素敵.そして帯の文章が良い.

    0
    2022年10月03日

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