平沢逸のレビュー一覧

  • その音は泡の音

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    3.8/5.0

    お笑いサークルの合宿を舞台に、語り手の視点がころころ変わりながら、それぞれの感じ方や思いが語られていく青春群像劇として面白く読んだ。
    ただ、最後、唐突に「全て夢だったかもしれない」的な展開に収束していくのはよく分からなかった。そうする意味があったのだろうか。

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    2025年10月06日
  • その音は泡の音

    Posted by ブクログ

     読み始めてすぐ混乱する。
    一体誰が話しているんだ?と、何回もページをいったりきたりさせ、ゆるやかに話者が代わっていくことに気がついた。
     混乱の元を理解して、文章に身を任せると、自分がこのサークル合宿に参加しているような気分になってくる。
    こんな嫌な奴、優しすぎる人、テンション高い人いたよなー、合宿で何かから解放された気分わかるなー、と懐かしい気分になるが、これは永遠に続くものではないと、すっかり大人になった私は知りながら読み進めた。
    学生の頃に読んでいたら、きっと楽しい話だったろう。
     ラスト、そんな心を作者も持っているのだとわかり、遠くになってしまった若さを懐かしんだ。

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    2024年05月14日
  • 点滅するものの革命

    Posted by ブクログ

    多摩川の河川敷で報奨金目当てにあるものを探す父ちゃん、5歳の娘で主人公のちえ、彼らの周りにいる人々がただ喋るだけの物語。
    改行が少なく濃密な文章は、ちえの一人称ではあるものの明らかに第三者の視点で語られている疑似一人称だ。取り立てて何が起きるわけでもなく特に魅力的な人達でもない。話の内容もくだらないことばかりだ。なのになぜか惹かれる。
    五感の描写が独特で、でも感覚的に理解できるのが気持ちよかった。純文学らしい作品だった。
    第65回群像新人文学賞受賞作。

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    2022年11月15日
  • 点滅するものの革命

    Posted by ブクログ

    わたし目線で描かれるいわゆる一人称の主人公で、
    この主人公は、5歳の少女。5歳の目線で、物語は進んでいくのですが、語り口調や考えが、5歳とは思われないほど大人びたと言うか、どこか達観して
    いるように思えます。周りの大人が逆に幼稚に思えるし、何も考えていないように思えました。
    みんなが普遍的に思えることも、この5歳の少女にはどこか違った角度に見えると言うか、他作品で
    申し訳ないが、海辺のカフカの田村カフカに似た
    感性だなと感じました。

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    2022年07月31日