【感想・ネタバレ】その音は泡の音のレビュー

あらすじ

『点滅するものの革命』で第65回群像新人文学賞を受賞した新鋭が描く、注目の受賞第一作。
大学のお笑いサークルに所属するわたしたちは、夏の10日間、東北地方をめぐる公演合宿ツアーに出発した。
各紙文芸時評で絶賛!夢と現の狭間で移りゆく思考と感情の泡立ち、分岐する記憶をとらえる奇跡の文体。

毎年、大学の夏休みに行われるお笑いサークルの合宿では、行き先ごとに分かれ、老人ホームや病院でコントや大喜利を披露する。東北班のメンバーは、3年の朝倉とミミ、2年で班長の三井、1年のユカリと杉崎。レンタカーで出発したわたしたちは初日の目的地・福島へ向かうが、旅の予定は早々に乱れて……。

・ユカリ 「先輩たちと比べて、ふだんのあたしがしているやりとりときたら、どれだけ鈍臭いことだろう?」
・三井 「慣れてしまえばイジられキャラも悪くない。イジられることにも技術がいるのだ。」
・ミミ 「楽しい楽しい。ずっとこんなことして生きていきたい。」
・杉崎 「どうせ明日には忘れてしまうことだ。二度と会わない人を思いだすほど無意味なことはない。」
・朝倉 「どうしても思いだせない。どこへ行ってなにを見たのか。おれはとりかえしのつかないことをしてしまったんじゃないのか。」

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Posted by ブクログ

3.8/5.0

お笑いサークルの合宿を舞台に、語り手の視点がころころ変わりながら、それぞれの感じ方や思いが語られていく青春群像劇として面白く読んだ。
ただ、最後、唐突に「全て夢だったかもしれない」的な展開に収束していくのはよく分からなかった。そうする意味があったのだろうか。

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2025年10月06日

Posted by ブクログ

 読み始めてすぐ混乱する。
一体誰が話しているんだ?と、何回もページをいったりきたりさせ、ゆるやかに話者が代わっていくことに気がついた。
 混乱の元を理解して、文章に身を任せると、自分がこのサークル合宿に参加しているような気分になってくる。
こんな嫌な奴、優しすぎる人、テンション高い人いたよなー、合宿で何かから解放された気分わかるなー、と懐かしい気分になるが、これは永遠に続くものではないと、すっかり大人になった私は知りながら読み進めた。
学生の頃に読んでいたら、きっと楽しい話だったろう。
 ラスト、そんな心を作者も持っているのだとわかり、遠くになってしまった若さを懐かしんだ。

0
2024年05月14日

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