あらすじ
第65回群像新人文学賞受賞作!多摩川の河川敷で、五歳の「わたし」の目が映す、ひと夏の奇跡。鮮烈な才能を記すデビュー作。
未解決事件の報奨金目当てに、多摩川の河川敷に通って拳銃を探す父ちゃんと、雀荘のママ鈴子さん、失恋を引きずる大学生レンアイ……。はぐれものたちが集まる岸辺で、記録され得ない時間が立ちあがる。
「なんの意味もない人間が、なんの意味もない場所に、なんの意味もなく集まって、なんの意味もない言葉を発する、という私たちが普段やっていることをそのまま描いておもしろいという稀有な作品」――町田康氏
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Posted by ブクログ
多摩川の河川敷で報奨金目当てにあるものを探す父ちゃん、5歳の娘で主人公のちえ、彼らの周りにいる人々がただ喋るだけの物語。
改行が少なく濃密な文章は、ちえの一人称ではあるものの明らかに第三者の視点で語られている疑似一人称だ。取り立てて何が起きるわけでもなく特に魅力的な人達でもない。話の内容もくだらないことばかりだ。なのになぜか惹かれる。
五感の描写が独特で、でも感覚的に理解できるのが気持ちよかった。純文学らしい作品だった。
第65回群像新人文学賞受賞作。