年森瑛のレビュー一覧
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他人に判断された自分の属性が本当の自分の属性と違う時、見当違いな慰め・哀れみの言葉に腹が立つ。それと同時に、多様性を認めましょうと謳われている現在の社会において、マイノリティであると判断された自分がその属性から出ようとするならば、既に完成してしまった共生の輪を壊してしまうからこそ逃げ出せない状況、演じることを選択する自分が嫌になる気持ちが痛いほど理解できた。
それでいて、自分が他者の属性を判断した際には、どんなに選んでもその属性に振られた人に対してかける言葉しか出てこない。本気で向き合うための、他者との会話の難易度が高すぎるからこそ、まどかがうみちゃんに対して行ったように、脊椎反射に近く、言葉 -
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主人公の高校2年生 松井まどかは、高身長であるものの体重計の目盛りは40を超えていない。うみちゃん、というパートナーもいるが、今の生活に違和感を感じている。
100頁ちょっとの短く、すぐに読める作品ですが取り扱っているテーマは非常に興味深かったです。N/Aというタイトルから連想されるように、マイノリティなんだけどどこにも「該当しない」、そんな感覚を味わえます。
舞台は中高一貫の女子学校という閉鎖された環境で、登場人物たちの考えもバイアスがかかったものですが、そこにバイアスがあることには気づいてなさそう。大人がほとんど登場せず、かつ、少ない大人もろくでもない描かれ方をしているのは、そういう風 -
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なん、か、なんて、いうんだろう。
自分とはもちろん違う、他人。だから感じ方とか使う言葉とか行動とか、もちろん違う、けど、多分まどかちゃんが求めてる、なんの理由がなくても「わたし」を見てくれて優しくしてくれるものを求めている感覚はわかる気がする気がする。
かけがえのない他人か。うーん。
多分、生理のことも恋愛のことも、多分何のジャンルにも括られない「わたし」を見て欲しかったというか、うん、これは誰しもがわかることなのかな。
で、それに最後出会えたっていう感じなのかな。
うーん?
NAって「該当なし」ってことか!
うん!やっぱり!!
多様性が謳われる現代だからこそ、人と人とのコミュニケーションに -
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読みやすくて色々と考えさせられました。
親世代の私は自分の娘が主人公の女の子と同じ気持ちになった時、どうやって寄り添ってあげられるだろうと考えてしまった。
『生理』というものが嫌で痩せて生理がこないようにしてしまう主人公。
本にも書かれていたように定型文として声をかけるのではなく、本人の話をじっくり聞いて向き合っていければいいのだけど。。。そんな簡単にはいかないのかな。
人はどうしてもその人を理解するために自分の知っている型にはめてしまいがちだけど、悩んでる人にとってそれは余計なお世話でしかないんだろうな。
読書を通して自分の中の偏見も少しは認識出来るようになってきた気がする。
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Posted by ブクログ
ネタバレマイノリティのカテゴリー化、コミュニケーションの軽薄化という現代的な主題と、性という普遍的な主題を組み合わせており、とてもいい。
文体も(たまに違和感を覚えてしまうこともあったが)現代的な比喩が多く面白い。
かけがえのない他人なんていない。それでも支え合って生きていこう。って思った。
103 自分の言葉で人の心を揺らしてしまうのが怖くて、自分の言葉の責任を担保してくれる何かが欲しくて、他人のお墨付きの言葉を借りたくて仕方がなかった。多くの人に使われてきた言葉を使用すれば、まどかがオジロとの今後の関係を安全に保っていられることは間違いなかった。
112 うみちゃんは、恋人ではないし、友だちで