新聞労連ジェンダー表現ガイドブック編集チームのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ジェンダーやセクシュアリティに関して実に様々な信念・価値観を持つ人たちがともに生きる中で、どのようにジェンダー表現を考えていくべきか、ということを真摯に、丁寧に考えて創られた本だと思う。
タイトルこそ「ジェンダー表現ガイドブック」となっているけれど、いわゆる「To do」「Not to do」を教示しているような部分はそれほど多くなくて、むしろ、ジェンダー表現をめぐって考えなければならないセンシティブな問題と、それを報道などのかたちで発信するプロセスの中で議論し考えておくべき「問い」を提示してくれているところがありがたい。
肝心なのは「これは良い」「これはダメ」という一律の基準ではなく、自分が -
Posted by ブクログ
表現ガイドブックというと指南書のような印象を受けるが、非常に読みやすいジェンダーに関する良書。
男性が大多数を占めるマスコミなどの情報発信側や、法曹界。そこで発信・利用される言葉は、男性優位だったり家父長制を色濃く残したりと、決してニュートラルとは言えない。
新聞労連の方たちが経験をもとに議論を積み重ねて書き上げた本書は、とても分かりやすく、示唆に富んでいる。
例えば、結婚はあたしく籍を作るのに、入籍には「夫の籍にはいる」というニュアンスがある。功労者のインタビューでは妻の内助の功を取り上げようとするし、レイプは暴行と書かれる。
置換防止のポスターには「薄着など露出の高い服はやめよう」と女性 -
Posted by ブクログ
ジェンダー表記の解説本。メディア関係者向けとなっているが、そうでない人が読んでも学びは多いと思う。ただ一点思うのは私も含めて「え?この表現って何がいけないの?」となりがちな(主に)男性に対して「そのように考える時点で問題か?」と「考えるだけならOKだが、それを公の場で口にするのは問題か?」を分ける視点を提供するとより良いのではないかと。例えば「美しすぎる○○」は心の中で思うだけならOKだと私は考えている。女性を見て「可愛いな」「美人だな」と思うことも禁止なら私はなかなか苦しい(無論その女性の職務内容や実績と一切関係の無い容姿を全面に打ち出す当該表現がジェンダー云々以前にシンプルにバカすぎるのは
-
Posted by ブクログ
おそらくタイトルから想起できる内容は、冒頭三分の1ほど。途中からはそれなりに重たいテーマである性暴力にまつわる表現のありかたについてが続き、巻末はメディア表現の健全性を維持するための組織のあり方について議論されている。本書を読ませたいターゲット像が曖昧である点(タイトルをみて手に取る人は、誰なんだろうか…)、耳が痛い本だからこそ、最後まで読ませようとするための、本全体の背骨となるものがすこし弱く感じられるところ(おそらく書籍編集さんの腕の見せ所…)が欠点な気がするが、「この言い方はだめだからこうしましょう」という答えを見せるのではなく、なぜだめなのか?を考えて立ち止まり、ちゃんと議論させる土壌