ローランプティマンジャンのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
舞台はフランス北東部メス。
とある一家の父親の語りで進んでいく物語。
朴訥で不器用な父親の語りのせいか、小説ながら切実なノンフィクションの手記を読んでいるような感覚になる。
優しくて弟思いの長男フス(フスは愛称。本名はフレデリック)は、スポーツが好きな明るい子で、母親が病に倒れたときも、思春期の時期を犠牲にして家族をフォローし、家事を積極的にする、とてもいい子だった。
病に倒れた妻を見舞い、看取り、妻の死後どう子どもたちを食べさせていくかに必死で、家族のフォローにたち回ってきたフスに「ありがとう」の一つもいえなかったことに、父親は後悔の念を綴る。
そしてフスは高校に入ったころ、家族よりも友 -
Posted by ブクログ
なかなか重い。
日本では政治信条で親子関係がこじれるとかあまりないことかとは思うけど、自分の子がファシズムとか曰く的な新興宗教に執心してたら、この父親と同じようにどう関わったらいいのか分からなくなるかもしれない。
じゃあ何が正解なのか。正解なんてないんだろうな。
子が大人になった時点で、それは子ども自身の問題だと割り切って考えられればいいのかな。無理だろうな。親ができるのはどこまでいっても子どもを守ることだけだろうな。
子どもが道を誤っていると感じたとき、暴行されたとき、何があっても味方だから、人を殺めることだけはやめようと言い切れるか。
ちゃんとできなくても、そこだけは子どもに言い -
Posted by ブクログ
フランス北東部の町に住む主人公は、国鉄に技術者として働いている。男の子2人の父親であるが、妻を癌で亡くした。左派の団体を支持し、息子のサッカーを見に行く平凡な日々だったが、高校生になった長男は右翼系の少年たちとつきあうようになり、家での口数も減った。兄弟の仲は良く、弟は兄を慕っている。弟は兄より勉強ができ、パリの進学校へと進む。父親と兄とのぎくしゃくした関係の続く中、兄が血まみれで帰宅する。仲間を殺してしまったのだ。
終始父親の目線で語られる。思春期を迎え、自分と違う価値観で進み始める息子。息子やその仲間の行動をSNSで追う姿が危うい。最後のページの獄中から父へ宛てた手紙で、読者は初めて息子