村上隆のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
芸術家や創造活動で生きている人に響く良書である。個人的には、コレクターにおいても必読書と言えよう。
さて、本著では、芸術活動で日本から世界まで生き残るために必要な村上隆氏の思考と実験の軌跡を学べることができる内容である。
現代アートには必ず作品には固有の文脈が存在し、欧米(世界基準)で戦うために生き残るために学習し続けることを示唆している。これは全ての創作活動に通づることである。あらゆる芸術家の作品には何かしらの影響を受けた作品は必ず存在していることを自覚し深く学び、哲学を養い、説明ができること。そして、作品を単体でもその言葉(説明)を内包し表現していることであろう。
現在(2025)では、村 -
Posted by ブクログ
芸術で生きていくための方法と視点と姿勢が詰め込まれた良書である。
芸術家や小説家、クリエイター全般に共通する内容である。
芸術家という視点で、欧米(世界基準)とどうやって戦っていくか、それは残念だが大学や大学院やアカデミアでは学べない。情報や知識は知り触れることができるかもしれないが、それを行動に起こさないと世界は反応してはくれない。
本書でも示唆されているが、学生でクリエイターとして将来独立や在学中や卒業後に専業で生きていくためには、市場のルールを学ばなければならない。特に語学は必須だ。英語は最低限必要だ。そして経営についても。
高学歴かはあまり関係ない。学校名は関係無い。作品よりも学校名や -
Posted by ブクログ
全体を通して語られる、日本の美獣業界の痛烈な批判。本当のことだけど、そこまで言わなくてもというほど繰り返される。(もちろんそれだけではない)
日本の美大では、世界のアートのルール{文脈)を教えず、技術を磨くことにこだわり、その結果、欧米でも通用するアーティストが生まれてこない。
しかし、それはアートに限らず他の業界にも当てはまるかもしれない。アメリカのルールを知ろうともしないで、国内のマーケットに閉じこもってしまうというのはよくあることなんではないだろうか。
村上隆は欧米と日本のアートの世界の間に風穴を開けてくれたのだから、そこを突破口にして、日本のアーティストは世界へと出て行ってほしいと思う -
Posted by ブクログ
芸術は経済的価値を得てこそ---すなわち市場で評価されてこそ---真の価値を得る。芸術家とは起業家であり、芸術のみを追求していればよいのでは決してないことをくり返し説いています。
作者本人も認めているように、「怒り」を原動力(もしくは起爆剤)として活動しているようです。なぜ自分の芸術は理解されなかったのか、なぜ日本人の芸術家は欧米で評価されないのか、なぜそもそも彼らは海外で勝負しようとしないのか・・・。そうした怒りの疑問に突き動かされて、今日の地位を築いてきたことがよくわかります。
同じ日本人として共感ともいえなくもない気持ちを覚える箇所もあれば、みずからの手厳しさに酔っていなくもないよう