村上隆のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
・人間があるフォーマットの中でプレイする時に出てくる表現域が期待値を超えた時、それは芸術的な表現だと言える。
つまり、あらゆるジャンルにおいて芸術は成り立つ。
・鑑賞の4要素
「構図」「圧力」「コンテクスト」「個性」
・視線誘導の凄さ
・作品に天才性がなくても、歴史の重層性さえあれば現代美術は可能だという発明が現代美術だ。
・圧力とは人生がかかっているか。
・個性すらハイコンテクストに作り上げていくもの。
・玄人の絵を見る人は作品が最低限絵画になっているのかを見る。
絵画とは、画面四方に作者の支配力、画面を支配する力がきちんと及ぼされているか。
・ルールを知り、それに従いながら、 -
Posted by ブクログ
「これがアートなの?なにがいいか全然わからない」。これが村上隆作品を初めて観た時のわたしの感想だ。お花、かわいい、ハイブランドとコラボ。難解ゆえに崇高で美しく、観る人を選ぶアートを俗世間に持ち込み、資本主義に全乗りしているように思えた村上隆は、なんだか自分には低俗に映った。
この人は、一体なにを考えているのだろう。理解できない人ほど気になってしまう性格のわたしは、菅付さんの推薦図書でもあった本書を手に取った。
結果、言葉の密度が高く、あまりに面白くて三回読んだ。
一回目 マガジン感覚でアート界の全貌を眺める
二回目 村上隆の考えと思想を解読
三回目 美術史の布石になったアーティストについ -
Posted by ブクログ
芸術は自由なんかではなく、究極にマーケティングを考えられた上で作られているものだと知った。現代アートの見方がわかった。目から鱗でとても勉強になりました。以下はメモ。
- [ ] 現代アートとは「歴史の重層化」、単なる自由を現代は求めていない
- [ ] 芸術で大事なのか「構図」「圧力」「コンテクスト」「個性」、コンテクストというのはその作品が歴史、状況の中でどういう意味を重層的に持っているのかということ。そしてそれが串刺しになっているほど良い
- [ ] 西欧における現代美術のコンテクスト(好まれる≒評価される要素)「自画像」「エロス」「死」「フォーマリズム(歴史)」「時事」
- [ ] ダ -
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世界的に成功している唯一と言って良い日本人アーチストの著書
美術書でビジネス書、比較文化論
世界の政治文化史を徹底的に研究し、自己のアイデンティティを見つめて表現、百年経っても残っているかが基準
描きたい絵を独りよがりに描くのではない、経営、企画、プロモーション、育成まで
政治的に日本の置かれた位置の現実も提示してくれている
妬みに対しこうやって成功しました、みなさんやってくださいとノウハウを開示でもある、イチローさん的な、杉良太郎さんが偽善?と問うた人にあなたも売名しなさいと言ったこと、関口房朗さん金持学のオカネはモノサシと言ったのと同じ感覚か?
ガッツです。 -
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ネタバレ14年ぶりに再読。当時の読みがいかに浅かったのか思い知らされた。ARTの話を超えて、「仕事にどう打ち込むか?」「クリエイティブにおける個性とは何か?」の秘密を、暴いてくれている。
本書で解かれる「ルールを知り、それに則ることから始めた上で、壊して、新たにルールをつくっていく」という創作プロセス。ARTに限らず、あらゆる商業クリエイティブ、もっと言えばあらゆる企画仕事に、深く通じる真理。
そして本書の魅力は、そんなルールの村上隆流の読み解き例として、刮目できること。決して教科書的な論点整理だけではでない切り口が目鱗すぎて、それ自体もまた、企画仕事の大いなるヒントになっている。
門外漢で存じ上げ -
Posted by ブクログ
正直、村上隆という人には良いイメージがなかった。「オタクの表象の上澄みのいいとこ取りで商売しているエセ芸術家」だとオタクのひとりとして軽蔑すらしていた。しかし、私がアートシーンに興味を持っていることを知った知人から薦められ、興味本位でこの本と「芸術起業論」の二冊を購入してみた。起業論のほうは今読んでいるのでこちらから。
一読して、かなり引き込まれた。なんだか私、村上さんを誤解していたみたい。村上さんはルックスも独特なので(すみません)誤解されることが多いんだろうな…と気の毒にすらなった。この本は、それくらい真摯に現代アートシーンを解き明かしたわかりやすい名著だ。村上さん自身が買われる作品とい -
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日本人芸術家への指南書。同氏の「芸術起業論」の続編だが、未読でも問題ない。日本人が全く分かっていないARTを構想→鑑賞→作成→発表の4ステップそれぞれで説明。
私は芸術家でもなければ、ちゃんと芸術を見たことがない人間で(ウォーホールについても聞いたことがあるな程度)、芸術というものを理解する入門書として読んでみた。
イギリスやアメリカから始まった現代美術ではルールが存在しそれに則ってハイブロウカルチャーとして作品が作られていること、それが構図・圧力・コンテクスト・個性の4つであること、それを持った作品をキュレーター・ギャラリー・画商が作家の物語をさらに付加して売ること。
また、読んだ後に -
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アートはゲーム。
既存の枠組み、脈々と受け継がれる芸術のバックグラウンドから少し逸脱し、その空間にいかに自分のポリシーを付加し、「そうきたか」と鑑賞者を唸らせることができるか。
「色が綺麗」のような曖昧な感性に訴えるものではなく、新しい「観念」や「概念」を創造し、知的な「しかけ」や「ゲーム」を楽しむというのが欧米での芸術に対する考え方。
アーティストは技術より、創造に力を入れろ、と。
バンクシーについて深堀りしたとき、金額が青天井に膨れ上がる現代アート・ポップアート市場はおかしい(と、バンクシーも思っている)、もっと作者の信念の反映の巧拙や、そもそもの作品性を評価すべきと思っていたが、芸術に -
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日本の現状、芸術業界の現状に、強い怒りを持っていることが、
伝わってきて、何が必要なのかが、納得できて、元気になれた。
村上隆はいう。
芸術には、世界基準の戦略が必要である。
世界基準を知るには、美術史つまりルールの成り立ちを
つかむことが必要であり、そのルールの文脈の中で位置付けること。
現在の芸術のルールを作っているのは、パリではなく、
アメリカ、ニューヨークである。
芸術に携わるものは、技術というよりも、発想、アイデア
であり、新しい発想を作ることに力を注ぐべきである。
その発想が、文脈上に載っているかを検証する。
想像力を膨らませることに、価値がある。
つまり、芸術といえども、ビジネ -
Posted by ブクログ
「日本文化をそのまま持っていっても評価される時代が既にきているということだと思います。
そのために必要なものは何か?
もちろんそれは『世界に持っていくというガッツです』」
元々、村上隆さんの作品は拝見の機会があったものの、自分の感性に引っかからなかった。
反面、どこの国に行っても「ムラカミ」作品や名前を見るのも事実で、国際市場で作品の値段が6000万円を超えることもある。
なぜ、日本一稼ぐアーティストなのか。
資本主義と自由な芸術はどう共存すべきなのか。
正直疑問が大きかったから、彼の作品作りの根底にある資本主義的芸術感を知りたいと思った。
結論から言うと、「世界に認めらる為に、西洋美術史