ヒコロヒーのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
一冊読んで最後に心に浮かんだのは、木下龍也さんの一句。
大きさも深さも違う花瓶にはそれぞれ似合う一輪がある
俵万智さんの新書で触れられていたことがきっかけで、色んな恋愛模様を覗いてドキドキワクワクしたくて選んだ。が微笑ましく見ることなんかできず、翻弄される本人のようなその友達のような、ごく自分のような感覚で読んでしまった。過去に突き刺さったナイフもその時はすごく痛かったけど、でもあんなに痛かったんだからちゃんと覚えておいて忘れたくないと思った。
この本の登場人物たちにも、何か似合う一輪と出会って欲しいと願わずにはいられない。わたしは瞳が好きでした。 -
Posted by ブクログ
感情がほとばしって言い過ぎた言葉、平気をよそおって言えなかった言葉。
「もう黙って」「もっと喋って」と思わずにはいられない、もどかしくて愛おしい掌編18本。(紹介文より)
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紹介文のとおり、恋愛に絡む女性の心情を切り取った短編集。
これだけのパターンを生み出せるだけの深さが、この人にはあるんだな。
出てくる女性はみな自分を見つめている女性に感じた。
その感情を、独特の表現で表していて、
共感が高いものも、よく分からないものもあった。
ハマるまではいかなかったけれど、
筆者をテレビなどで見てるから、
こういう文章を書く人なんだという参考書として受け止めてしまった。 -
Posted by ブクログ
リアルな感じを出しつつも、ちゃんと出口を残してくれているというか、現実と架空の隙間のようなものを残しておいてくれる文章だった。あまり没入せずにいろんな恋愛を疑似体験したような感覚だった。「翠さんの靴、汚すぎるやろ」、「朝美ちゃん、ハワイ、行こっか」が好きだったかな。
p.216
夫が割り込んでそう告げると、春香はいやだあと言って、また身体を左右に振った。
まだ幼いのに、なのか、幼いから、なのか、子どもは自分の判断を疑うことを知らない。
すると唐突に、できるだけ、何にも惑わされず、そのままでいてほしいと、なぜだか強くそう思った。今のまま、自分が良いと思ったことをじることをやめずに、そうして、す -
Posted by ブクログ
人の細やかな機微や周囲の情景をとらえる文章と、ふとした会話の面白さがすごく良くて、ヒコロヒーの感性好きだなあと思う一方で、各ストーリー自体はあってないようなもので、恋愛の瞬間を短く切り抜いたかと思えばふっと終わってしまうのが少し物足りなかった。自分自身が作中人物のように恋愛にのめり込んだ経験がないせいか、どの話も「ああ、ふーん……やめとけよこんな奴……」と流してしまったけれど、その点については作者本人が意識的に書いているのだと後書きで分かり納得。『春香、それで良いのね』が収録作の中で一番好き。
『黙って喋って』は結果的に良いタイトルだと思うけれど、他の候補もヒコロヒーの自我が出ていて面白かった