ヒコロヒーのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
2025.43
「国民的地元のツレ」 ヒコロヒー初の小説
平気をよそおって言えなかった言葉、感情がほとばしって言い過ぎた言葉。ときに傷つきながらも自分の気持ちに正直に生きる人たちを、あたたかな視線で切り出した共感必至の掌編18編を収録。
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【目次】
「ばかだねえ」
「あと十分だけ」
「覚えてないならいいんだよ」
「しらん」
「俺が福岡行って、せいせいした?」
「ねえ由莉ちゃん」
「翠さんの靴、それ汚すぎるやろ」
「かわいいなあ、女の子って感じ」
「好きな人ができた、ごめん」
「普通に生きてきて優と出会ったんだもん」
「克則さんって昔からそうなの」
「ごめん、疲れ -
Posted by ブクログ
リアルな感じを出しつつも、ちゃんと出口を残してくれているというか、現実と架空の隙間のようなものを残しておいてくれる文章だった。あまり没入せずにいろんな恋愛を疑似体験したような感覚だった。「翠さんの靴、汚すぎるやろ」、「朝美ちゃん、ハワイ、行こっか」が好きだったかな。
p.216
夫が割り込んでそう告げると、春香はいやだあと言って、また身体を左右に振った。
まだ幼いのに、なのか、幼いから、なのか、子どもは自分の判断を疑うことを知らない。
すると唐突に、できるだけ、何にも惑わされず、そのままでいてほしいと、なぜだか強くそう思った。今のまま、自分が良いと思ったことをじることをやめずに、そうして、す -
Posted by ブクログ
人の細やかな機微や周囲の情景をとらえる文章と、ふとした会話の面白さがすごく良くて、ヒコロヒーの感性好きだなあと思う一方で、各ストーリー自体はあってないようなもので、恋愛の瞬間を短く切り抜いたかと思えばふっと終わってしまうのが少し物足りなかった。自分自身が作中人物のように恋愛にのめり込んだ経験がないせいか、どの話も「ああ、ふーん……やめとけよこんな奴……」と流してしまったけれど、その点については作者本人が意識的に書いているのだと後書きで分かり納得。『春香、それで良いのね』が収録作の中で一番好き。
『黙って喋って』は結果的に良いタイトルだと思うけれど、他の候補もヒコロヒーの自我が出ていて面白かった