ヒコロヒーのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
コメディアン?お笑いタレント?ヒコロヒーが書いた短編恋愛小説17編。
すごい。
ホントに短い小説なのだが、登場人物の「ことば」が心に刺さる。
どこにでもある日常の、どこにでもいる男女の会話。
たいていは別れ話。これが、刺さる。
すべてヒコロヒー個人の体験とは思えないけれど、
いかにもありそうな男女のすれ違い。
なんだかいい。
17編のタイトルをコピペしたかったけど、どこにもない。
ばかだねえ
あと十分だけ
覚えてないならいいんだよ
しらん
俺が福岡行って、せいせいした?
ねえ由莉ちゃん
翠さんの靴、それ汚すぎるやろ
かわいいなあ、女の子って感じ
好きな人ができた、ごめん
普通に生きてきて -
Posted by ブクログ
ちょっと最高すぎたな。8月読んだ小説で断トツ良かった気がする。恋といううまく説明できないものへの言葉の紡ぎ方が天才だと思った。言葉でなかなか自分の思いを完璧に伝えきることはすごく難しい作業だと思う。でもこの「黙って喋って」はそういう恋心を言葉でしっかりと捕まえている感じがする。
女性が主人公で、出てくる恋人、男たちが魅力的すぎる。と、同時にちゃんとしようよとも思うけど(笑)
これが、沼るというやつだろうか。こんなやつ近くにいたら惚れてまうやろ!と心の中のリトルチャンカワイが叫んでいた。
私の推しは大野です。「大野」を読んだときに、なんとなーくパンサーの尾形さんが若いときはこんな感じなんかなとか -
Posted by ブクログ
恋愛ってこうだよねという、ありそうな恋愛短編集(恋愛ではない話もある)。登場人物のセリフや立ち回り、シチュエーション、時間の経過とともに変化してゆく恋愛のフェイズとその時々の気持ちの描写に、自分の恋愛では経験していない場面でも、そうそう、そうなんだよねとつい思ってしまうのだ。まるで、そのへんを歩いている女性の後ろをこっそり付け回し、見ていたかのようなリアリティがある。
著者は、愚鈍な人々による愚鈍な言動を繰り返す愚鈍物語と後書きに書いているが、恋愛なんて相手にある程度入れ込んでしまうと、愚鈍になってしまうものなのでは。
私が一番気に入った描写は「大野」のこの部分。(以下引用)
気がつけば、半分 -
Posted by ブクログ
恋愛詰め合わせ超短編集。ひとつひとつが短くて読みやすい。しかもどこか聞いたことあるような恋愛がいっぱい。驚きはないけど、だからそこ読みやすい。最初は芸人が書いたてことでちょっとした比喩表現に引っかかってたけど、普通に文章うまくてスラスラ読める。
「普通に生きてきて優に出会ったんだもん」
視覚障害の彼氏を持つ女性とASDの彼氏を持つ女性が駄弁ってる話。障害がある、障害がある人と付き合ってる、なんかそれだけでひとつレッテルを貼られてるというか、それだけで特別感が出る。でも、普通に生きてきて、普通に出会ったんだよなあと。
「かわいいなあ、女の子って感じ」
女友達という特別枠。嫉妬もできない。それ -
Posted by ブクログ
どこかで聞いたり、はたまた自分にも身に覚えがあったようなないようなある意味平凡でリアルな恋愛の短編集だったな〜と読んでみて思ったのだけど、あとがきにある「愚鈍な人々による愚鈍な言動を繰り返す愚鈍物語はどういう存在になるのかは知る由もないのだが、あなたの人生の何かの拍子に、ああ自分もいつか読んだあの本の登場人物のように愚鈍だ、とふと笑ってくれる瞬間が生まれたならばそれはもう最高の出来事である。」というこの一言で完璧に落ちがついててヒコロヒー姉さん流石っす…!ついていきます…!って気持ちになった。小説を読むことって、共感力を高めるとかそういうことだけじゃなく、自分のようなものでもそこにいていい、そ
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Posted by ブクログ
テレビで俵万智さんが褒めていたので手に取って見た本作。
芸人のヒコロヒーのトークは好きであったがこの本を読んで読む前の想像より素晴らしかった。
短い話なので読みやすく、かつすべて恋愛に関する話だが、話の主人公それぞれの言葉にしにくい心情が表現されていて、感情移入できるし情景が思い浮かべやすかった。
シーンは日常のとりたてることもない日々のことかもしれないが、人の心の中で感じるもどかしさであったり、よくないと思いながらやめらない行動の様子に共感してしまう。
あとがきには愚鈍(ぐどん)な人々による愚鈍な言動を繰り返す愚鈍物語と表現されていたが、今後私が同じような場面に直面したときに、筆者が望んでい -
Posted by ブクログ
一冊読んで最後に心に浮かんだのは、木下龍也さんの一句。
大きさも深さも違う花瓶にはそれぞれ似合う一輪がある
俵万智さんの新書で触れられていたことがきっかけで、色んな恋愛模様を覗いてドキドキワクワクしたくて選んだ。が微笑ましく見ることなんかできず、翻弄される本人のようなその友達のような、ごく自分のような感覚で読んでしまった。過去に突き刺さったナイフもその時はすごく痛かったけど、でもあんなに痛かったんだからちゃんと覚えておいて忘れたくないと思った。
この本の登場人物たちにも、何か似合う一輪と出会って欲しいと願わずにはいられない。わたしは瞳が好きでした。