辻本雅史のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
『江戸の学びと思想家たち』を読んで、素読という学びの深さに強く感銘を受けた。
著者が「テキストの身体化」と表現しているように、言葉を声に出して繰り返し読むことで、知識が単なる情報ではなく、身体の一部として染み込んでいく。
その蓄積が、後に思想や哲学を生み出す土壌になったのだと思う。
貝原益軒のように、膨大な知識を整理し、誰にでもわかる形で伝える努力こそ、真の学びの到達点だと感じた。
私自身も、日々の読書や執筆を通じて学びを自分の言葉として体に刻み、社会に還元できるような人でありたいと思う。
江戸の学びは古くて新しい、生きた知の実践だった。 -
Posted by ブクログ
維新ものを読んでいて、改めて江戸社会における儒学者たちに興味が向いたので、知っている著者で手に取った一冊。
近世儒学者たちの思想が、論旨である学びの型という視点から分かりやすくまとめられており、詳しくないわたしにも一人一人の考えが概観できる内容だと思った。
個人的には最終章で取り上げている明六世代について、もう少し厚みがあると論旨が一層際立ったと思う。他の章で取り上げている人物たちと比べると、少し物足りなさを感じた。
しかし、近世の思想の潤沢さについて改めて気付かされたし、知の身体化という観点自体から学びを見つめ直したときに、考えさせられることは多い。
やはり、歴史を通じて生きている今を相対化 -
Posted by ブクログ
<目次>
序章 知のつくられ方
第1章 「教育社会」の成立と儒教の学び
第2章 明代朱子学と山崎闇斎
第3章 伊藤仁斎と荻生徂徠
第4章 貝原益軒のメディア戦略
第5章 石田梅岩と石門心学
第6章 本居宣長と平田篤胤
終章 江戸の学びとその行方~幕末から明治へ
<内容>
日本の教育と儒学の関わり、そこから離れていく国学などを説いた本。儒学の教育の仕方=「素読」。貝原益軒はメディアを使って出版化し、儒学を易化。石田梅岩(それよりも手島堵庵か?)は音読に。国学は両者を取り入れて、明治になっても漢学の素養が、国家を牽引していった要素だったようだ。