アンタイラーのレビュー一覧

  • この道の先に、いつもの赤毛

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    面白かった。笑うというのではなくて。
    ユーモアのある会話ができる人、憧れる。アガサの「春にして君を離れ」よりも優しい(あれは本当に衝撃的な怖さを含んだナイフのように鋭さであった)。
    短い話だったのだけど、整頓された中にも受け入れてくれる緩さがあって、やっぱり「優しい」という印象。許しがあると言うのか。

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    2025年05月03日
  • この道の先に、いつもの赤毛

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    ランニングをしてシャワーを浴びて朝食、掃除…仕事をして。と、決まった日常を過ごしている40代独身男性の生活に、予想外のことが連鎖式に起こって…

    いつもと違うことに主人公マイカの内面が揺さぶられて、人との距離感をぱっと詰めたり、自分の感情に気づかされて行動に出たり…

    この感じを何気ない文章にできるの、熟練の技…!

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    2024年06月11日
  • この道の先に、いつもの赤毛

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    『マイカ・モーティマーのような男は、何を考えて生きているのかわからない。……』
    という最初のセンテンスだけを思いついてこの話を書きはじめたそうだ。

    一言で言えば、まあ堅物の人付き合いの上手くできない人マイカ。
    アパートの管理と、パソコンなどの技術サービスをしている。

    運転しているときは、『交通監視システム』に、制限速度を守り、ウィンカーを出し、静かなブレーキ操作をすることをしっかり評価されていると空想しながら。
    彼女とはなにかチグハグでうまくいかず、そこに大学時代のガールフレンドの息子がやってくる…
    そこから色々なことが起き、そのガールフレンドにも何か言われ…
    少しずつ人の心がわかってくる

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    2023年01月12日
  • この道の先に、いつもの赤毛

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    石に刻んだように決まりきった毎日を過ごす43歳のマイカ・モーティマー。
    なんだか…わりといそうだよね、こういう人、っていう感じ。「完璧」な暮らしをしていて、自分は何も悪くないと思っていて、なのになぜかうまくいかないことが多くて、人生なんてこんなものって思い込んで、暴れるでもなくヤケになるでもなく静かに暮らす中年男性。まるで自分の父親を見ているかのような気持ちにもなる。

    主人公マイカの人生はよくあるごく普通の話だし、しかもこんな地味な中年男性。だけど、物語には彩りがある。なんてことはないのに、目が離せなくてどんどん読み進めたくなってしまう。
    ちょっと眉をひそめてしまいそうなマイカの家族の話も、

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    2022年10月11日
  • この道の先に、いつもの赤毛

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    じんわりと読む。なんかよくわからないタイトルだなと思っていたけど、そういうことだったのね。書き出しがよい。”交通の神”がよい。「つらい心を抱えた人」そういうことだ。

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    2022年04月07日
  • この道の先に、いつもの赤毛

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    波乱万丈でなんだかいろいろとめんどくさいことになるよりは、「ていねいな暮らし」と言えなくもない決まったルーティンをこなして、淡々と生活する方が平穏に過ごせる。波風なんてたくさん。
    そんなことを思って暮らしていくうち、本来なら一回こっきりの錯覚(「アレ」を赤毛の人かと見間違うこと)までもが毎回の「お約束」になり、そのうち思考もがっちりと型にはまったものになり、いよいよ人生そのものが型通りになる。128ページのこのくだりにハッとさせられる。
    どんなに規則正しく生きていたって、およそもらい事故みたいな他人絡みの厄介事に心ならずも関わることはある。それは自分のあずかり知らないこと。完璧を期するなんても

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    2025年09月14日
  • この道の先に、いつもの赤毛

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    ネタバレ

    マイカのきっちりすぎる生活スタイル好きだなぁ。心地良い。こうやって丁寧に生きたい。
    物語が進んでいくにつれて、マイカの完璧主義で潔癖なお堅い性格が目立たなくなっていってた。
    急遽予定を変えてキャシーに会いに行くなんて、物語序盤のマイカでは考えられない。柔軟さが芽生えたよね。
    ブリンクの訪問やキャシーとの別れみたいなトラブルの連続が、彼を変えたのかな。

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    2025年06月05日
  • この道の先に、いつもの赤毛

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    ネタバレ

    一場面一場面が目に浮かぶ、Netflixドラマを見ているようなとても良い本でした。

    独身男性っぽいなあと思わせる毎日が、淡々と同じように、でも少しずつ変化するような、繊細な描写です。

    大きな変化があっても、すべて元通りの毎日に収束していく安心感と閉塞感がジワジワきます。

    ラストは意外にも(!?)ハッピーエンド。とても楽しめました。

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    2025年06月04日
  • この道の先に、いつもの赤毛

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    ネタバレ

    アメリカに住む43歳独身の彼は毎朝7:15になるとランニングに出かけ、シャワーを浴びて、朝食をとる。月曜日はモップをかける日で、木曜日はキッチンの電化製品を掃除する日。そんな彼の日常が細かく描かれていて、なんだか日記を読んでいるようで楽しかった。人付き合いが少なくて決まりきった日常に次々飛び込んでくる予想外の出来事に動揺し、少しづつ変わっていく彼の最後の台詞がとても良かった。
    タイトルもしみじみ良い。

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    2025年04月30日
  • この道の先に、いつもの赤毛

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    あー、ものすごくよくわかる、この感覚。

    どんなに用心して、どんなに計画して、どんなに予定通りに実行しようとしても、それを阻むようなことが次々とやって来きて、なかなか思い通りにはならない。

    でも、全て予定通りに進んでいくと、ある日、なんだかつまらなくなったことに気がつく。
    できることしか、やらなくたっていたから……。

    自分で用意した小さな箱の中で安心していると、ある日突然それから先がわからなくなる。

    朝のランニング途中で「この道の先に、いつもの赤毛」を見ていた毎日から、突然違う道に投げ出された、中年独身男性の物語でした〜。
    面白かった。

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    2024年03月22日
  • この道の先に、いつもの赤毛

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    社会規範を外れること
    なんてありえない─

    判で押した日々を送る
    四十路の主人公。

    いつものことばかりの
    生活に、

    いつもとは違う出来事
    が飛び込んできて、

    彼の内に波紋を投じる。

    そしてその波紋はいつ
    しか彼の行動を、

    やがては人生を変える。

    現状を変えることには
    失敗のリスクを伴うし、

    えてして多大な労力も
    払わなければいけない。

    現状維持を選択すれば、

    失敗のリスクを負わず
    労力も払わなくて済む。

    だからこそ、私たちは
    いまのままじゃダメだ、

    うん、変わなくちゃ!
    と思ってもけっきょく、

    無意識の内に現状維持
    を選択しちゃうんです
    よね。

    いつもと違う出来事は

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    2023年03月26日
  • この道の先に、いつもの赤毛

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    ネタバレ

    静かな雰囲気の小説で、心地よかった。

    毎朝同じ時間にランニングに出かけるマイカの決まりきった生活に、非日常な出来事が起こっていく。大学時代の元カノの息子が訪ねてきたり、彼女にフラれたり。

    家出したブリンクと、その家族たちがマイカの家から出て行った後の、
    「もうパーコレーターは、溜息のような音を立てているだけだった」
    この表現がたまらなく好き。

    最後の「つらい心を抱えた人。おれがそうなっちゃった。」が老人ホームの件と繋がっているところも痺れた。

    マイカの暮らしはとっても質素だけど周りは賑やかで、終わりも素敵だったし、なんだかほっこりした気分が残った。

    目から入る情報は文字だけなのに、そ

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    2023年03月05日
  • この道の先に、いつもの赤毛

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    「ボルティモア郊外で、コンピューターの便利屋をしながら独り暮らす43歳のマイカ・モーティマー。人付き合いの少ない彼は、毎朝7:15になるとランニングに出かけ、その後シャワー、朝食、掃除……というように決まった日課を守って毎日を過ごしている。
    そんなある日、マイカの息子だと名乗る青年が彼の元を訪れる。さらに、恋仲の女性には、とあるすれ違いで別れを告げられ──。
    予想外の出来事が続き、日常のテンポがズレ始めたマイカの行き着く先とは」(早川書房HP紹介文より)

    まずマイカ、という名で男性というのが飲み込むのに時間がかかった。些細なことだけど、外国文学を読むとこういうことがある。

    マイカはきっちり

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    2022年11月20日
  • この道の先に、いつもの赤毛

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     彼のような男は何をするかわからない。

     こんな書き出しで形容されることは、彼にとって不本意なことだろう。平凡だが、関西でいうところの、ヘンコかもしれない。

     朝のジョギングから始まるスローライフは “今時” だ。途中見かける消火栓を赤毛の女性に(違いない)見てしまう面白がり方は、成熟しきれない面も残している。無頼を気取った部分もあるだろう。しかし、突然現れた学生時代の彼女の子供を観察するにつれ、知らぬ間にずいぶん大人になってしまった自分自身に気づかされたことだろう。

     現在の彼女とのぎくしゃくした関係をきっかけに、弱気を見せる主人公。残りの人生を数えるような年齢になってしまったおっさん

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    2022年11月13日
  • この道の先に、いつもの赤毛

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    「マイカ・モーティマーのような男は、何を考えて生きているのかわからない。一人暮らしで、付き合いが少なく、その日常は石に刻んだように決まりきっている」

    これが書き出し。そのあと、彼のルーティンの紹介が続く。毎朝七時十五分からのランニング、十時か十時半になると、車の屋根に<テック・ハーミット>(ハーミットとは隠者のこと)と書かれたマグネット式の表示板をとりつけ、パソコンの面倒を見る仕事に出かける。午後は通路の掃除やゴミ出しなど、管理人を兼ねているアパートの雑用だ。住んでいるのは半地下で細目を開けたような三つの窓から外光が入る。

    仕事上で出会う客とのやり取りや、つきあっている女友だちとの関係、女

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    2022年05月26日
  • この道の先に、いつもの赤毛

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    ルーティンワークにこだわりの強い
    40代の独身中年マイカの物語。
    決まりきった日常を愛しているのに
    ある日なんだか彼女とギクシャクしはじめて
    元カノの子供が家出してきて転がり込み
    結婚する親戚の顔合わせにも呼ばれ…。

    管理人として住み込むアパートの住人にも
    ITレスキューの顧客たちにも
    さりげなく優しいマイカ。
    なんかいい。
    基本的に「人が好い」んだよ。
    深読みできないから彼女怒らせたけど
    やりなおしたいと思ったり
    でもそんな悪いことしたっけって思ったり。

    あと、全然性格の違う親戚たちの
    ホームパーティのシーンがおもしろかったです。

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    2024年12月31日
  • この道の先に、いつもの赤毛

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    43歳のマイカはコンピュータのなんでも屋をしながら、規則正しい生活を送っている。小学校教師の彼女はいるが、アパートの管理人もしながら、一人暮らしをしている。そこへ、マイカの息子を名乗る学生がやってくる。

    私が、思い描いているようなアメリカっぽい生活が描かれている。華やかなという意味ではなく、むしろ単調な日々。マイカの個性的な兄弟たちやなんでも屋の顧客たちがストーリーを盛り上げている。別れ話になっていく彼女とのラストのシーンも、アメリカっぽくて良かった。

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    2022年09月15日
  • この道の先に、いつもの赤毛

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    ネタバレ

    やっぱりアン・タイラーさんの本は好きだなぁと思った。津村記久子さんの本が好きなのと共通する気がした。
    あと解説にも感謝。ラストと中盤の繋がりは気付けず終わってたと思う。

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    2022年08月01日