フィル・ウィックハムのレビュー一覧
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2032年、日本がスタートアップのハブになる:世界を動かす才能を解放せよ
著:フィル・ウィックハム
建築、映画、ファッション、ゲーム、文学、芸術など、ほぼすべての創造的な産業で日本は圧倒的な存在感を示している。しかしスタートアップによるイノベーションにおいては、残念ながら世界の多くの地域に比べて大きく後れを取っている。ただし、これは日本に創造的なビジネスマインドが欠けているせいではない、単に日本には、「フリーク」が成功する道筋がないだけである。
日本には、成功するための条件が揃っている。でもまだ真に機能するスタートアップのエコシステムがない。日本がイノベーションを起こすためにはいくつか解決すべき課題がある。イノベーションを起こしうる「天才」を発見する方法、そのような天才が生み出す無限のアイデアを適切に支援するエコシステムを構築する方法、アイデアを検証するための実験のやり方とマインドセットが本書では紹介されている。構成は以下の13章から成る。
①次は日本の番だ
②すべては深く強固な基礎から始まる
③日本のスタートアップ・エコシステムの誕生
④不確実性を愛するということ
⑤工業時代のマインドセットからの脱却
⑥天才を殺した企業文化
⑦永遠の学び手であるために
⑧最高の仕事の機会に招かれるために
⑨自分の天才と使命に賭ける
⑩巨大な波を見極め、乗ることができるか
⑪この国の信頼という資産
⑫目を見れば、誰に投資すべきか判断できるという嘘
⑬もし既存の体制を怒らせるなら、それはあなたが何かを見つけたということ
変えてはいけないこと。変わらないといけないことについて本書は書かれている。良い種はあるものの、咲ききれない、土壌や肥料や日光、そして育て方や継続的に実を収穫し、サイクルとして回す方法に課題が多いと指摘いただいている。
他国に比較して・・ということは十分に認識し、取り組む必要がある。そして本書では日本では「東京」にフォーカスがされている。東京と東京以外という数字的な事実からくる、現状を受け入れながら捉える必要もある。
日本にも素晴らしいものがあり、東京以外にも素晴らしいものがある。外の世界を受けて、変えるもの・変えてはいけないものを共通認識として利害関係者が認識できるか。正解がないだけに、国だけに主導を求めることが正しいとは言い切れない。
日本という国に自信を持ち、自分たちの地域に自信を持ち、自身の置かれている立場からできることを積み上げていく。コミュニケーションを図りながら利害関係者で最善に近い道を模索しながらつくりながら突き進むことが必要となる。
対話と行動の良質なスパイラルを継続するには、自分自身の覚悟が必要となる。長い道のりであっても目の前の一瞬一瞬を大切にしたい。 -
Posted by ブクログ
世界から日本人のイノベーション力が評価されているのに、日本人は全く自信がない。。
アメリカ西海岸並みに集約された街、東京を活かさない手はない!
イノベーションは、政治家や官僚がトップダウンでやらせるのではなく、イノベーターがやりやすいように法制度を整えてあげることが大切!
フィレンツェに芸術家が集まったように、イノベーターにも「パトロン」が必要!金は出すけど、口は出さない!
日本の教育の厳格なアプローチと年長者への過度な敬意は、革新的なエコシステムの構築に障害!
日本では講師への質問が「失礼」にあたる場合があるが、海外では質問しないことが失礼!
政府関係者が「日本人は変わらなければならない」ということに、苛立っている。変わる必要は、ない!未来に対して冒険的なひと握りの人間がいれば十分!日本人が変わる必要はなくて、変わり者を受け入れる方法を学べば良い!
もし既存の体制を怒らせるなら、それはあなたがなにかを見つけた!ということ。重要なのは、その否定的な反応に惑わされず、価値がどこにあるかを見つける本当の課題に取り組むこと! -
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シリコンバレーのベンチャーキャピタルSozoventures協力の下、ベンチャーキャピタル業界の産業構造や特性、業界の現実を説明した上で世界で活躍する30ものベンチャーキャピタルの投資家たちのインタビューをまとめた本。
日本ではベンチャーキャピタルと言っても会社がギャンブルをやっているようなものと捉えられがちだが、シリコンバレーを中心とするベンチャーキャピタル業界ではそれ自体産業と捉えられていて、その規模も2020年で3474億ドルだそうだ。(因みに日本は45億ドル)
もちろん上場企業に投資するわけではないのでその投資先の過半数は元本を割り込み、10倍以上のリターン案件は4%ほどというハイリスクハイリターンの投資で、勝ち組ベンチャーキャピタルはトップ1%しかないのであるが、その投資は決して運任せではない。
それぞれベンチャーキャピタルには各々の強みがないと生き残れず、例えばもと研究者でその研究分野の事業評価に強みを持つとか、ある特定の地域の消費者の嗜好や法律に通じているとか、人脈が豊富でサポートできるなどの強みを活かしてカネとしての投資のみならず営業面や知財面、技術面や法務面等のサポートを通じ元本10倍以上のホームラン案件を増やすべく努力している。
本書で取り上げている代表的な30のベンチャーキャピタルの特徴もSaaSやFintecに強いものから一流の科学者を集め、仮説を持ち寄り、創業のヒト・モノ・カネの段階から作り始めるタイプのもの、インド・南米など特定の地域に通じているタイプのものなど様々だ。
ただ、金融緩和が終わり、金利上昇の局面に入ろうとしていることや、米中対立やウクライナ戦争のように世界で分断が進んでいることなどを考えるとリスクマネーの供給もかつてほどには進まないようにも感じる。しかしながら脱CO2の問題が世界の課題となったり、IT革命に続くAIの革命で旧来型の産業が一部転換しつつあることもまた事実で、その点ではリスクマネー供給による社会変化が望まれる。
ただ、日本としてはこういったベンチャーキャピタルの役割を商社が果たしていたり、親会社の新事業として子会社を立ち上げてそれを親会社がサポートすると言ったような日本的なイノベーションも存在しているように感じた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレベンチャーキャピタルの本。おもしろい。
世界的なvcに直接インタビューし、当時哲学が語らられている点は非常に貴重。
メモ
・vcファンド全体の65%が失敗に終わる。トップ%が利益の多くを独占
・共通点として独自仮設によって勝ちパターンを見出す再現性へのこだわり
・全てのトップvcに共通するのはスタートアップ創業者に価値提供するためのはっきりしたコンセプトがある点。ブランド、人脈、専門性、資金提供、アプローチが異なるだけ。
・ファネルの最上位は常日頃から目をつけている投資検討先4000-6000社。常にこれを更新続ける。トップ投資家の投資先を重要ターゲットとして加えたりする。1年で50者ほどタームシート提出。進めばDD。プロダクト成立の検証、初期ユーザーヒアリング、知財チェックなど。投資に進むのは10件ほど。
・元本100億に対し、10年で少なくとも200-300億になることを期待。年利12%以上が必要
・全体の64%は損失。10倍以上は4%にすぎない
・zoom投資。異常値とも言えるようなユーザー数増加。創業者に成功の根拠があった。
・シリコンバレーのベンチャーキャピタル御三家
セコイア、ベンチマーク、アクセル
・いかにエキスパートに出会うか。
・最高の投資は多くの人が最初はそれはどうかなと疑ってしまうようなもの。 -
Posted by ブクログ
Venture Capital業界の最新動向と主要プレイヤーを網羅し、それらのキーマンの直接インタビューが掲載された非常に貴重で稀有な書籍である。そしてこうしたVC良書が、日経でもなくダイヤモンドでもなく、NewsPicks編集部から刊行されたというのが新しい時代の変化を感じさせて興味深い。VC業界はリーマンショック以降はヘッジファンド・投資銀行出身者が増えてPEに類似した「金融」の趣が濃くなった時期もあったが、本来VCと起業家は既存金融とは異なる一蓮托生のウェットな関係にある。一夜にして1,000億円の運転資金を確保したRibbit CapitalとRobinfood、取締役就任をVCと一緒を条件としたVenrockとIllumina 10x Genomics、パートナーからの馘予告の誤転送をバネにしたKleiner PerkinsとBOX。特にFlagship PioneerringとModerraの関係は、mRNAという理論をコロナワクチンとして具現化し世界を救った、偶発的ではない意識的にイノベーションを生み出す人間のクリエイティビティの最高潮といえるVCの醍醐味だろう。
本書に描かれる世界は雲の世界のことのように感じるが、本書を読むと興奮と高揚を感じるし、彼らも少し前は雲の下に居た、つまり読者だってイノベーターになれるんだという事実を気付かせてくれる一冊だ。