マルク・レヴィンソンのレビュー一覧
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ー 第四のグローバル化の経済的輪郭はすでに明らかになっているが、その政治的輪郭は不明瞭なままである。最も深刻な問題は1世紀近くにわたってグローバル化を推進し、国際関係を形づくってきたさまざまな取り決めが、今後どう変わっていくかということだろう。これらの取り決めも、決して完全なものではなかった。コロナウイルスは、各国が病気に関する情報を共有し、渡航者の健康状態を監視する体制がいかに脆弱であったかを明らかにした。
だが軍事同盟である北大西洋条約機構から政治同盟であるアフリカ統一機構、さらには貿易ルールを策定する世界貿易機関(WTO) に至るまで、何十年にもわたる外交成果も過少評価すべきではない。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ正確にこの本を表すなら「グローバリゼーションの歴史」あたりが適切だと思うんだけど、まぁ原題が「Outside the Box: How Globalization Changed from Moving Stuff to Spreading Ideas(アウトサイド・ザ・ボックス グローバリゼーションはいかにして「モノの移動」から「アイデアの拡散」へと変化したのか?)」と、同作者の『コンテナ物語』を強く意識したものになっているので、知らない読者と知っている読者のいいとこ取りをするためにこのタイトルにしたのかもしれない。
いや、誤解を招くとは思うけどさ…。
グローバル化が当たり前になった今から -
Posted by ブクログ
1980年から2010年代の第三のグローバル化を中心に分析し、各段階のグローバル化の違いを明らかにし、現在進む第四のグローバル化を見通す。
◯第一のグローバル化
・蒸気船と電信
◯第二のグローバル化
・戦後の貿易障壁の撤廃、GATT、ECSC
・コンテナ革命
・工業製品輸出入の主流化
◯第三のグローバル化
・1970年代の金融グローバル化と金融危機
・貿易連携協定の拡大
・補助金、税制優遇のよる船舶乱造、輸送コスト低下
・補助金による輸出入増、日韓中の台頭
・世界中もっとも安価で品質の良い原料、部品、組立てによる製造業の変質。サプライチェーンからバリューチェーンへ
・企業が創出する付加価 -
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ネタバレ物流革命が今日のグローバル化を進化させた。
第1のグローバル化は19世紀のヨーロッパ主導で始まった。世界の貿易取引の内、40%近くがヨーロッパを主体とする取引であった。しかしながら、グローバル化が各国に与える影響は限定的であった。
第2のグローバル化は第二次世界大戦後、製造先進国であった日欧米間での取引が主体であった。発展途上国は、先進国に対して原燃料を供給する形で参加した。
第3のグローバル化は、関税引き下げ、輸送手段の信頼性向上・低価格化、及び通信費の低下で進化した。ECは1969年に関税を撤廃し、コンテナ輸送は1956年に実用化された。関税引き下げは、1992年NAFTA、2000年以 -
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自由貿易は規模の大きい先進国に利益を与えるが、「世界経済の周辺部」に置かれた国々に損失を与える。
「輸入代替工業化」=一次産品は工業品に比べて技術発展により価格が下落することから、同じ量の工業品を輸入するのに原材料の輸出をどんどん増やさなければならなくなる。
だから自由貿易を歓迎しないで、消費財の輸入を抑え、機械や工場設備を導入するべき。
消費財は国内産業を高関税で保護し、逆に富裕国に輸出すればいい。
しかし成功例は韓国と台湾、中国のみ。
長距離バリューチェーンは高くつき、リスクが大きく、信頼性が低く、必要性も低いという認識によってグローバル化には終止符が打たれつつある。
工場生産や対外 -
Posted by ブクログ
タイトル通り、物流や貿易、グローバル化の「世界史」を説明した本。産業革命後の時代から現在に至るまで、貿易の形態や盛衰についてファクトベースて説明されている。
グローバル化は4段階に分けることができ、大戦前約40年間の第一のグローバル化と戦後約40年間の第二のグローバル化では、貿易や投資は国単位で計算されていた。1980年代後半からの第三のグローバル化では、「国」という区切りが薄れ、国際バリューチェーンによる貿易となった。第三のグローバル化が大量生産による有形物の貿易、「モノ」の時代であったのに対し、サービス産業・情報産業を中心とした「第四のグローバル化」が始まっている。第四のグローバル化では