須黒達巳のレビュー一覧
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ネタバレそれは物を見る目が養われていないから。なので、見方を覚えましょう。という内容の本。ざっくり言うと見た物の詳細を文章でアウトプットすると、視覚的に物を見る目の解像度が上がり、区別できる目としての成長につながるようだ。
第2章「目を作るとは」で具体的な方法が書かれているが、区別したい生物の絵と書かれている内容を行ったり来たりしていると、区別できなかったものが段々と区別できるようになっていったのが面白かった。ふんわりしている印象を文章化することで、その特徴が頭に入ってくる。特に例の鳥の顔が区別できるようになったのは、正直驚いた。こんな違っていたのか、と。
目だけに限らず、五感のどれかを使う勉強に -
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多くの人が「面白い」と感じることのできる本だと思います。
著者は30歳そこそこの小学校の理科の先生です。
この先生に教わる児童たちは理科の時間が楽しいだろうなと思います。
コロナ禍で近所の散歩をする機会が増えたのをきっかけに雑草観察を始めたところ未知の植物だらけでした。
写真を撮りまくったのですが、なんだか分からない草花が多くて名前を調べつくすのはあきらめました。
魚、草花、昆虫、など頻繁に新種が見つかる生物は種類が多すぎて、ざっくりと識別するのが精いっぱいです。
私は鳥が好きで、「ぱっと見わけ観察を楽しむ 野鳥図鑑」を重宝しています。
似ている鳥の見分け方の説明には、実写でなくイラストが -
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めっちゃ面白いです。
筆者の須黒先生はクモ屋で、私も愛クモ家の端くれとして、ハンドブックなど愛用させてもらっております。
もちろんクモの同定の話もあるんですが、特に面白かったのが、専門外のシダの同定をするドキュメントや、ハバチの同定。まさにリアルRPGです(昔、流行った、選択によって違うページに進んで、エンディングが変化する本。今でもビデオゲームではコモン)。最初にどんな図鑑やフィールドガイドを選ぶか、フィールドでの観察の時に、どういうところに目を付けるべきか、どの部分の写真を撮っておくべきかなど、なるほど、こういう風に説明すればいいのか!!目から鱗がぼろぼろぼろ!!私自身、色々と質問されたと -
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【注意】虫が苦手な人は要注意!実寸より大きな虫の画像がたくさん載っています。
「ある生物がなんという種名なのか」特定する同定が容易ではない事を説明
同定には「目をつくる」ことが大切。
それが出来ていないから種の違いを見分ける事ができないのだ。
手に入れた標本が、典型的な特徴を持っているとは限らないからだ。
捕まえる段階で、体の一部が壊れてしまっていることもある。
時期により、特徴的な形質が見えないこともある。
ここで薦められている方法は
1. 入門向けハンドブック図鑑とやや詳しい図鑑を入手。
2. 前者で「同定に必要な特徴」「同定形質」を覚える。
3. 写真に撮り、場合によっては簡単な図も -
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まさに図鑑を見ても名前が分からないので読んだ。
植物の名前をたくさん知っているとカッコイイ気がして図鑑を買ったものの、どれも緑で違いが分からず全く覚えられない。たくさん見れば脳が勝手に学習してくれるかと期待して植物園に行っても「木がたくさん」としか見えず、悲しい思いをしていた。
本書を読み、なぜ植物の区別がつかないのか、同定できないのかがよく分かった。「目」ができていないのだ。ポイントを意識していくつもの対象をまじまじ見ると、だんだんと虫や植物を見分ける目ができてくる。たくさんの写真や例を用いて、目ができるとはどういうことか、読者が実感できるようになっていて、自分がレベルアップした気がしてわ -
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ネタバレある生物がなんという種名なのかを知る(これを調べることを同定という)ことは簡単なことではなく、知識さえあれば、同定できるというものではないというところから、どのようにすれば図鑑を見て生物の名前を知ることができるか、具体例を多く交えて紹介してくれている。
いくつか比べて、それぞれ異なる特徴を自分なりに書きだす方法は、なるほどなと感じた。図鑑を見て、見分けるポイントの知識さえあれば名前が分かる・・・と単純にいかない理由は本書内でも色々と説明されている。
また、詳しい方に見分けるポイントを聞いても細かく教えてくれなかった理由も分かった。その生物を見てきた人にとっては、本当に全く違うものに見えて -
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道端の雑草の名前を知ったからと言ってどうなるの?‥‥そう思う人は、政府官僚になっても庶民の一人ひとりの気持ちに寄り添わない政治家になってゆく様な人なんだろうな。
あ、いや、ごめんなさい。
今日の散歩途中にそんなことをつらつら思ったのは、この散歩の十数分間だけでも、ブロック塀やその下に少なくとも5種ぐらいの「苔」を観察したのだけど、「おそらく」ハマキゴケかな、ハイゴケかな、ギンゴケかな?これってなんだろ?とか、全然「同定」出来ない自分に心がささくれ立って落ち込んだからであって、雑草の名前に興味がない貴方を責めたわけじゃないんです。
「おそらく」じゃダメなんです。
庭の萩に似た花の同定が出来な -
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はい、私も図鑑がうまく生かしたことがありません。
そういう生物リテラシー(?)のない読者にも、親しみやすい語り口で語りかけてくれる、貴重な一冊。
なぜ名前がわからないのか。
では、どうしたらいいか。
それがわかる。
なんと画期的な。
ただし、急いで付け加えておきたい。
どうしたらいいかはわかる。
でも、実行するのはかなり難しいことも、はっきりわかってしまう。
本書では、種を同定する作業を、豊富な写真をしめしながら、読者にも仮想体験させてくれる。
「検索表」という、同定のためのポイントをまとめた便利なツールもあるそうだ。
しかし、それがあっても、スイスイ作業が進むとは限らない。
手に入 -
Posted by ブクログ
まさにタイトル通りの生物の同定についての本。
軽いタッチの文体で非常に読みやすいし判りやすいが、より具体的な手順を語る最終6章でのキモンハバチやノメイガの細かに記された同定作業を読むとその難しさにこの本が想定しているであろう読者の多くは絶望するのではなかろうか?
大量生産される工業製品と違って生物は同一種であっても各の個体はそれぞれ異なるし、種はあくまでも抽象的な概念に過ぎずそこに明確な規範がある訳でもない。同定するのは特徴を見つけ出しそこに共通するものや差違を見いだす必要があるがそれは単純なことではないということをこの本は教えてくれる。