池亀彩のレビュー一覧

  • インド残酷物語 世界一たくましい民

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    この本は現代インドにおけるカースト制について語られる作品です。この本は著者の現地での調査に基づいた貴重な記録です。机の上で文献を読むだけでは知りえない、リアルな生活がそこにはあります。

    この本を読んで、カースト差別が現在でもこれほど強力に残っているのかということに驚いたのはもちろん、「実際にどんな差別を受け、どんな恐怖、屈辱に生きていかなければならないか」を知り、私はそれこそ恐れおののいてしまったのでした。

    圧倒的な成長を見せるインドの影をこの本では知ることになります。この本を読めばインドという強烈な存在を通して私たちの生きる日本についても考えることになることでしょう。

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    2024年08月22日
  • インド残酷物語 世界一たくましい民

    購入済み

    いい本

    内容がわかりやすいと感じました。難解な文章でも無く、インド初心者にも読みやすいと思います。続編を期待しています。

    #タメになる

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    2022年04月01日
  • インド残酷物語 世界一たくましい民

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    「白人社会で人間として扱われない、認知されない、他の有色人種のように差別してはいけないという意識以下の透明人間なアジア人」という感覚を持っている私は、自ら欧米に進出する日本人(アジア人)を「すげえなぁ。でも俺はこの見た目ほとんど同じ、話し言葉同じの1億2千万ぬるま湯に浸かったままゆったり暮らしていくぜ。わざわざ差別されに外国で暮らすなんてまっぴらごめん。なんで自分の肌の色や出身国をバカにされながら暮らさにゃならんのよ。」と思っていますが、どこにも逃げ場がない人ってインドだけでも数億人、世界全体では数十億人いるんですよね。(世界中の女性を考えれば少なくとも40億人)

    さてこの本は私のような「イ

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    2024年03月14日
  • インド残酷物語 世界一たくましい民

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    インドに関する知識は、新興国、にわか投資家には、その括り。
    そして、九九のように二桁掛け算ができるIT国家ということ、そしてカレーとヒンドゥーと、わずがな知識だけ。
    学生だった頃、インドについて学んだ頃よりは、きっとインドの一番嫌だなと思った部分、つまり身分差別とか、変わってるのかと思ったら、実はそんなに変わってなかったという話。
    どこの国も同じなのかと残念な気持ちになったけど、インドは日本と違って、一般庶民の分母が桁違いだから、日本と比べるとなぜかこの本読んでも期待してしまう。

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    2024年02月29日
  • インド残酷物語 世界一たくましい民

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    本当に「残酷」という言葉がピッタリ。

    名誉殺人によって低カーストの夫を奪われた女性、洗濯機を買うより低い価値で働かされる洗濯階級、時計の文字が読めず著者に時間を訪ねる非識字の女性たち、水牛の首を切り血を飲む儀式を強要させられるダリト(不可触民)、「見てはいけない者」でなく「見て愉しむ者」になってしまった上裸のシャーナール女性、大変な仕事をしているのに技術供与を恐れて後継者を育てられないダリト…。

    浄と不浄の考え方、子供の命より優先される家族の面子、女性の立場の圧倒的な低さ、苛烈なカースト差別など、まだまだ重すぎる問題がインドには蔓延っているのだと知った。ダリトの女の子とか、生まれた瞬間から

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    2023年02月19日
  • インド残酷物語 世界一たくましい民

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    手に取れたことに、まず感謝。新進気鋭の文化人類学者とあるが、それをはるかに上回る素晴らしい執筆の力を感じさせる・・今後が楽しみ。

    近く、インドは人口数が中国を抜いて世界一位になるという。
    この本によるとインドは「男児の出生が絶対」で妊娠中に、女児と分かれば掻爬する様だ。そして一億人余の女の命が抹殺されたとある。
    生命の倫理を社会的掟により歪めての人工的社会は今後どうなって行くのだろうと感じる・・難病、発達障害でも性差による発現数が異なる。

    モディ首相が先進国と伍して歩む姿をよく見る・・彼はヒンドゥ―勢力の雄。彼の姿には国内指数に現れてこないインド社会の底辺の暮らしは見えてこないどころか、そ

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    2022年12月04日
  • インド残酷物語 世界一たくましい民

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    ワイドショーばりの惹句「残酷物語」と銘打ってはいるものの、内容はカースト研究者による南部地方におけるフィールド・ノート(観察記録)であり、(著者言うところの)私的な考察をまとめたものである。インドの中では比較的温暖な天候に恵まれたカルナータカ州に限定した調査活動であるところがやや懸念されるものの、国外からは窺い知ることが到底できないダリト(最下層貧民)を取り巻く状況をいろいろな角度からルポすることで近年のインド社会の情勢の変遷を知らしめている。

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    2022年09月12日
  • インド残酷物語 世界一たくましい民

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    インド。
    世界有数の人口を持ち、成長性も高い国。けれど、さまざまな問題を内包した国。よく話には聞くし、ニュースにも映像が流れてくるけれど、私にとっては、その土地の人が生活の中で何を考えているか、負の部分をどう受け止めながら生きているのかわからない国だった。
    そのただの印象が文章になりイメージになる手助けをしてくれたのが、この本だったと思う。

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    2022年02月17日
  • インド残酷物語 世界一たくましい民

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    インドの階級制度については、バラモン、クシャトリヤ、バイシャ、シュードラ、不可触民に分かれていると言った程度のことしか知らなかった。何年もインドで調査をしている著者のおかげで、具体的に現状がわかってよかった。
    インドには、ICT、数学、新興国とよいイメージを持っていたが、ICTに従事する人はほぼバラモン、バラモンは人口の1割にも満たないなど、まだまだ負の側面が多いとこを知り、勉強になった。

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    2022年01月02日
  • インド残酷物語 世界一たくましい民

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    この本の指摘する「残酷さ」は、インドにおけるカースト制のことだ。日本でも身分の違いが結婚に対して支障になる事がかつてはあったと思うし、穢多非人のような存在があったが、インドではこれが現存していてあからさまな差別がある。ダリトと呼ばれる不可触民の扱いだ。

    著者は女性の研究者で、カンナダ語話者。壁に囲われた富裕層の居住地ではなく、壁の外の住人でありリアルなルポが見られる。

    「私はダリトです。そして高カーストの妻と結婚しました。でもいまだに自分がダリトだと告白する時に躊躇する自分がいます。これが黒人差別などの人種差別との違いでしょうね。彼らは見た目からして違うから、名乗る必要がないでしょう。でも

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    2025年06月21日
  • インド残酷物語 世界一たくましい民

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    先日インド映画を鑑賞したので、その後味のまま読んでみた。家族、地域の繋がりの強さは、政府が色々と力不足だから。カースト同士の結びつき、関係性、宗教や食生活なども複雑で入り組んでいる。菜食主義は宗教的な意味合いが強いのかと思ったら、「上位カーストは不浄に対して脆弱なため、不浄を取り込まないように菜食をする」という理由からというのが意外だった。

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    2022年11月07日
  • インド残酷物語 世界一たくましい民

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    昨今のインドの発展は目覚ましく、アメリカなどの高度な教育機関においても教授たる層にはインド勢が増えていると聞きます。一方で、臭いものには蓋精神でもはや見ないものとされているような人々の姿を本書で知ることができました。差別意識を含んだ神話を祀るお祭りがいまだに続いていたり、このタイトルにおける「残酷さ」というのはインドにおける「格差社会」を指しているように思います。女性へのレイプが多い国だとは聞いていましたが、貧困を前にして重婚もok。ダリトへの差別・それを排除しようと立ち上がれないほどに怒りの心理を麻痺するまでに破壊された人々など。知らない側面も多くありました。恥や世間体を優先として罪が行われ

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    2022年09月23日
  • インド残酷物語 世界一たくましい民

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    インドに興味があり読んだ。
    カースト制から生まれる価値観の違いや思い込み、そこから自由になれない現実。たまにインドで起こる残酷なニュースに違和感を感じていたが、少し納得した。しかしこのことは、インドに限らず、日本をはじめどの国でもどの時代でも起こることだと思う。しかし、人間本来が持つ優しい部分があることを知ることは救いとなりました。

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    2022年04月30日