川口勇貴のレビュー一覧
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赤ずきんやシンデレラなど、テーマと物語が面白かっただけに打ち切りが悔やまれる作品。
昔掲載された読み切りでは赤ずきんが主人公だったけど、連載版ではベローが干渉した事で段々と中心人物が移っていった描写が図らずも伏線になっていて良かった。
読む者たちの存在と設定も「ビルドキング」に近しいものを感じたし、シナリオ通りだからこそ結末が決まってる童話との相性が抜群だった。
個人的にシンデレラの作中名称が「灰の魔女」だったから元のシンデレラの和名「灰かぶり姫」から取ったのかなと考えたり、もっと進んでたら白雪姫や浦島太郎も出てたのかなと想像したり。
「ペローのサンドリヨン」「グリムの灰かぶり姫」と来て、いつか綺麗な最終回を迎えた時は「バジーレの灰かぶり猫」をモチーフにした者も出てきたら熱かったかも。 -
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「灯火のオテル」完結の4巻。
善も悪もなく、ありのままを語り継いでゆく物語となりました。
定められた道を歩むのではなく、道を選択する術を残すための物語。過去を背負い、現在を生き、未来へ進むために。その指標の一つとなるための物語。
苦しみも喜びも悲しみも楽しさも、オテルたちが経験したことの全てを語り継ぎ、新しい世代への道標とする。戦争が終わって世界へと還っていった精霊たちは、姿は見えないけどもあらゆるところに存在していて、オテルたちがいなくなった後もなくなってしまうことはない。
物語を残すのは、いつかいなくなってしまうオテルたちが、再び精霊たちと出会うための約束だと思うと、連綿と続くであろう世界と歴史の行き先に光はあるのだと思います。
その導きとなる明かりを残すための宮廷吟遊詩人という役割。
「灯火のオテル」とはそういうことか。
闇夜の中でも、行き先を照らしてくれる灯。 -
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ドアドアとの戦いの中、ゆきすぎた自己犠牲によって暴走してしまうオテルとフィルギャ。誰かを護りたい、という心胆自体は尊ぶこのであるのは違いない。だからといって暴走してしまっては本末転倒。
悲しみをなくすために、誰かを何かを護る、の中には自分自身のことも含まれている。それを忘れてしまうというヒーローの献身性は、正直見ていられない。
自分という個の核となるものが、他者との関係性に寄りかかることで形作られている側面があるからでしょうか。社会に属している以上、他者との関わりというものからは逃れられずにあるので、難しいことではあるか。匙加減というか、なんというか。
他者への依存でも拒絶でもなく、双方のバランス。
力を得たという責任もあるのだな。
人と精霊のハーフ&ハーフである半神は、本来バランスの取れた状態ではないのかなぁと思います。
暴走の先の対話を経て、オテルとフィルギャがどう成長するのか。 -
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鉄の精霊を救出し、風の精霊の保護へと向かうオテルたち。
敵である氷の国の幹部、氷魔六角の一人・剣角のスルルドとの対決。
魂角・コーレリオの登場、月輪のシクステンの本気と見どころある場面ばかり。
スルルドとの決着回、第13話の英雄譚がいい。
北欧神話とヴァイキングを下敷きにしている「灯火のオテル」。そうである以上、誇りや名誉というのは、避けては通れないもの。どのように扱ってゆくのかが物語の肝になるものなのですが、ここでちゃんと提示されたと思います。
誇りや名誉を振りかざして生き死にを軽く考えるのではなく、それらの信念のもとにどう生命を費やしてゆくのか、ということが物語のテーマの一つかなと思いました。
自己犠牲のもとに、生命を投げ捨てしまう危険があったオテル精神に、スルルドは一つの火種を残したのだと思います。
手を変え品を変え、何度も繰り返されてオテルの成長に繋がってゆくのでしょう。
あと、トロッコ突入大作戦は勢いが好き。 -
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『レッドフード』の川口勇貴の新作「灯火のオテル」。
北欧をモデルにした世界で、剣と精霊で戦争をする勇者たちの漫画です。
冬が延々と続く極寒の世界。森の国の少年オテルが、戦場で火の精霊と出会ったところが物語の始まり。北欧やケルト神話がアイデアのきっかけであると思うので、物語はサーガという意味合いになりますね。
主人公のオテルは物語の英雄に憧れてはいるものの、命よりも名誉を重んじて死に急ぐタイプの勇者ではなく、生き抜くことの大切さと、その覚悟の上で戦いに挑む勇敢さを持ち合わせているような印象。
ただ、生き抜くことの対象が自分を含む味方や親しいもの全体に波及していて、優先順位で言うと、自分が最も低いところにいるような気がするなぁ。自己犠牲であれば、簡単に命を擲ってしまいそうな危うさは感じます。
勇気と自棄が紙一重のところにあるのはよくない。
精神の強さは別として、持たざる者だったオテルが火の精霊の力を得て、どんな戦士になってゆくのか。敵である氷の国の戦士が、今のところことごとく残虐非道なクソ野郎なので、あちら側に心を寄せてしまい苦悩する、ということにはならなそうです。自己の安全を考えない、と言う危険は常にありそう。1巻途中で始まった修行編で、改善されれば良いのですが。
裏表紙に採用されている1コマ。
焚き火に斧をかざして鉄板がわりに焼き魚を料理している場面です。こういう戦場での、その場の工夫が見られるシーンは好きです。
なんというか、ディテールアップパーツだと思います。 -
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レッドフード完結の3巻。
打ち切りになってしまいました。残念。
世界に干渉してくる上位存在をぶっ潰せという大きな枠組みでは「アンデッドアンラック」が同時期に存在していたのが、要因の一つだったのかもしれない。あちらも好きな作品です。
「みえるひと」を思い出しました。あれも大枠では「BLEACH」と競合してしまったと個人的に思っています。もちろん、週刊少年ジャンプというさらに大きな枠組みで見れば、もっともっとたくさんの作品と競合になるので、そればかり言っても仕方ないし、失礼な話なんですけども。好きな作品だったので、ちょっとね。みっともないこと言ってます。
「レッドフード」でぶっ潰そうとしている上位存在は、そのまま読者のことで。こちら側に阿るために、ベローたち登場人物は生きているんじゃないんだよ、という心意気です。いいよね、好きです。ちょっとした皮肉みたいなものも感じてしまいます。
抗えないもの、なんとか抗おうとする心意気は大好きです。
そう考えると、少年漫画の王道だよな。圧倒的存在に立ち向かう冒険活劇。 -
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最終降車試験に挑むベローたち。
その試験内容はケイドロ。歴戦の猛者を相手に、ドロ側のベローたちが2時間後捕まっていなければ合格、といったもの。
試験の目的は、狩人になるためには何が必要とされているのか、とを見極めるため。参加者の成長を促しつつ試験は進む。
ベロー視点の物語の裏で、暗躍するリュカオンと村長。
「大いなる意思」みたいなものが、この世界に干渉していて、そこからどうやって抜け出すのか、という雰囲気か。
「大いなる意思」だぁ⁉︎そんな漠然としたもんよりも、人間一人ひとりの意思の方が強ぇんだよ!と啖呵切るのがメガテン好きな自分です。
そうやって、顔や聖杯ぶったぎってきました。一方で、人間の到達してしまった存在には勝ててない。人修羅とか。ナホビノも似たような存在になりそうなんだよなぁ。 -
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人狼という人喰いの怪物の襲撃にさらされているカソカ村。村に住む少年ベローは、人狼退治を依頼した狩人グリムと協力して人狼撃退に成功するも、巨大な人狼リュカオンと魔女シンデレラによって故郷を失います。
自分のような存在を増やさないために、ベローは人狼と戦う狩人になることを決意し、グリムと共に旅立ちます。
レッドフード1巻は、始まりの終わり。
作者が構築したファンタジー世界が好き。牽引ヤドカリとか、何気なく巨人が歩いているとか。設定が好みなので、レッドフードの世界に入りやすくていい。
狩人になるため本部へ向かうベロー。そこに待ち受けるのは、修行という名の選抜。
ちょっとHUNTER×2のような展開で2巻へ続く。
少年ベローが、世界を物語を大きく動かしていく存在。それを怪しむグリムの思考は、何に基づいているのやら。
一大ファンタジー開幕の予感です。