小林真樹のレビュー一覧
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現地の食器の輸入販売会社経営の著者がインド中を飛び回り、高級レストランの厨房からホームレスの調理シーンまで様々な土地・民族・生活形態の台所を見せてもらった記録をまとめた紀行文的な本。短いエッセイをたくさん収録してある感じで、その多種多様さも相まって結構読みごたえがある。
フランクに台所を見せてくれる場合もあれば、5つ星レストランや宗教上の理由でなかなかOKが出ない場合もあり、台所を見せてもらうまでのつて探しや交渉も見どころがある。台所での調理という営みは著者も書いているように実際それほど違いはないのだが、風俗、生活水準など調理を取り巻く環境はあまりにも違いが大きい。
地域の違い、宗教の違い、民 -
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室橋裕和さんの『カレー移民の謎 日本を制覇する「インネパ」』は日本におけるインネパを深掘りするもので面白かったが、本書は徹底的に現地の話が書かれていて興味深かった。
ある程度日本で食べ慣れるとインネパを軽視して本格的な現地料理を求めてしまいがちだが、そもそもインドという国自体がムガル帝国やイギリスの統治、隣国中国の影響を受けるフワッとした国家であり、郷土料理の核を捉えることが困難だと分かった。
つまり料理の魔改造こそがインドらしさというわけで、日本におけるナン巨大化といった独自進化も伝統的なインド料理と言える。
それにより近所のインネパを再評価できて、ついつい週に2度も行ってしまったりした。
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Posted by ブクログ
著者はインド食器屋という若干変わった肩書。
インド・ネパールの食器や調理器具を輸入販売している会社の代表だそうである。
本書は、北は夏でも朝晩は冷えるカシミールから、南は呼吸するだけでも汗が出るタミルの南部まで、インド各地を回って台所を見せてもらう、という、なかなかディープな1冊である。豪邸の台所から、つつましい庶民の台所まで、バラエティに富んでいる。
料理に地域性があるように、食器にも地域性がある。とはいえ、インド全体としての共通項もある、といった趣。
台所を見る、食器や調理器具を見るだけに留まらず、もちろん、料理も紹介される。
広いインドを著者と一緒に旅行しているような気分にもなる。
台 -
Posted by ブクログ
世界地図を広げるとロシアや中国の広大さに気を取られがちだが、インドもインドでしっかり広大だ。何せ、人口は日本の10倍以上・(何かで読んだデータによると)国内には3000以上もの方言が存在している。
そうなってくると、食文化も多種多様でないわけがない。いや、想像以上に多種多様だった。
バナナの葉をお皿代わりにしたり、牛肉を食す地域があったりと、同じインド国内とは到底思えなかった。ちなみにインド国内における牛肉は、主にイスラム教徒といった異教徒が食しているが、南インドのある地域ではヒンドゥー教徒も日頃食べているんだとか…!
「さらにインド人はこんなこともよくいう。『店の味はホンモノじゃない』。〔 -