大井浩一のレビュー一覧

  • 村上春樹をめぐるメモらんだむ 2019-2021

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    新刊コーナーからなんとなく。

    村上春樹は昔から読んできた。関連本も数冊読んだけど、その中では割と読みやすかった。

    言葉にならない心をフィクションという形で比喩的に浮かび上がらせていく、読み手としてとても腑に落ちた。

    意識や論理だけではすくいきれないものを、しっかりゆっくりすくうことで、救済される人がいるんだろうな。
    でも、救済されるためには、しっかりゆっくり読む時間と能力が必要になってくる。
    これは、いろいろな人に広めたいことだな、と思った。

    0
    2022年01月30日
  • 村上春樹をめぐるメモらんだむ 2019-2021

    Posted by ブクログ

    村上春樹の小説やラジオ、朗読会などについて網羅的に書かれているので、村上ビギナーにとってありがたい一冊。2019〜2021年の時事も所々挟まれていて、「そういえば激動の年でしたなぁ」と、振り返る時間にもなった。

    0
    2022年01月20日
  • 村上春樹をめぐるメモらんだむ 2019-2021

    Posted by ブクログ

    毎日新聞サイトに連載された記事をまとめた、村上春樹を語る本。

    村上春樹便乗本はあまたあるので警戒したが、目次を見て、インタビューも掲載されているので買ってみた。

    タイトルにあるように、2019から2020の間の毎月の社会背景が、村上RADIOで発信された言葉の同時代性で際立つ。ラジオをやってくれていたからこその連載か、という気がする。

    最後の章で映画『ドライブ・マイ・カー』を観て書かれており、一番興味深く読んだ。

    最近村上春樹は、小説の存在意義についてよく語っている。今度早稲田にできる村上春樹ギャラリーのコピーは『物語を拓こう、心を語ろう』だと言う。また、ステートメントを嫌いだとも。

    0
    2021年09月19日
  • 大岡信 架橋する詩人

    Posted by ブクログ

    2017年に亡くなった大岡信(1931-2017)の評伝で、『毎日新聞』連載に加筆したもの。連載中から目を通していたが、こうして1冊になるのはうれしい。

    著者の大岡評は「中道リベラル」。大岡自身の言葉で言うと、周囲が加速しているときは「意識的に減速する」。学生運動で自己否定が流行したときは、「僕は現在の全てを肯定する」と静かに宣言する。私が好きな「わたしは月にはいかないだろう」も、アポロ11号の月面歩行の直後に生まれたことを知った。そして、このようにバランスを意識する思想が、「全体か個性か」の二者択一ではない表現形式として、連句・連詩やアンソロジー『折々のうた』につながっていく。

    大岡の思

    0
    2021年10月15日