会田大輔のレビュー一覧

  • 南北朝時代―五胡十六国から隋の統一まで

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    三国時代の後の魏晋から隋までの、いわゆる「五胡十六国時代」について書かれた本。昔から大人気の三国志の時代と、日本史で必ず習う遣隋使と煬帝のエピソードで皆が知ってる隋との間、楽毅・劉邦・劉秀・諸葛亮のような英雄も頭に浮かばない、地味でマイナーな時代。そんなややこしいばかりでネガティブなイメージの時代を扱う本書だが、無茶苦茶に面白かった。

    五胡十六国と言われる位に多くの国が勃興した時代のため、各国を詳述すると却って分かりずらくなるが、南北を章ごとに分けて描き、北部については代〜北魏の鮮卑拓跋部をメインに書かれているため分かりやすい。かつて漢と争った匈奴の単于が劉氏を名乗って漢を建国するくだりはエ

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    2025年02月26日
  • 南北朝時代―五胡十六国から隋の統一まで

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    中国南北朝時代を扱った概説書。周辺諸勢力を含めた南北諸王朝のせめぎ合いを通して、異なる制度や文化が融合・伝播していく過程が分かりやすく叙述されている。この時代を知るための入口として優れた内容だと感じた。

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    2022年11月10日
  • 南北朝時代―五胡十六国から隋の統一まで

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    複雑な時代が、コンパクトかつ分かりやすく纏まっていた。中国の南北朝時代は三国志〜晋の統一と隋・唐の間の荒れていた時代としてしか認識が無かったが、そのミッシングピースが埋まったという意味で知的好奇心も大いに刺激された。

    全体として、最後に筆者がまとめているように、モンゴル高原(柔然、突厥)の純粋遊牧民と、北朝における遊牧民と漢人の融合体、南朝における漢人と土着勢力の結合という形で大きな勢力均衡が図られつつ、更に西のエフタルやソグド人、青海の吐谷渾、高句麗・百済・倭・林邑などの東アジア諸国とも複雑に結びついている。そうした中で、遊牧民的風習と中華制度が結びついて行った時代であったと理解。

    また

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    2022年09月01日
  • 南北朝時代―五胡十六国から隋の統一まで

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    【読書】いやはや、凄い読み易かったし、面白かった。この時代、何かもうクーデターを起こしたり防いだりとか、もう激し過ぎてついてけない感じ。同時代で生きていると大変だろうし、あっという間に死んでしまいそうとは思うけど、こうして後の世から歴史として見てる分にはホント面白い。政治的にも、そんな中でも色々とやったことがちゃんと後の世に繋がっているんだなあとしみじみ。

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    2022年06月12日
  • 南北朝時代―五胡十六国から隋の統一まで

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    南北朝時代の流れと時代背景がつかめる本。最新の研究の成果を取り入れ、旧説との違いが整理されている。特に、北魏孝文帝の改革について、単なる漢化政策ではなかったことを明らかにしている。梁の武帝の仏教政策にしても、個人的な信仰心のみならず、政策としての視点から解釈されている。政治・社会・文化と背景に踏み込んだ記述なので時代が理解しやすい。複雑な時代・状況が整理して叙述されているので南北朝時代の入り口として最適。

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    2021年11月23日
  • 南北朝時代―五胡十六国から隋の統一まで

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    2010年代後半の最新の学説を紹介し、南北朝時代をクリアに説明


    ■北魏

    拓跋珪
    最後の代王 拓跋ジュウヨクケンの孫
    代復興の旗印として諸部大人(部族長?)により推戴

    即位後程なくして「魏王」と改称

    西晋に封じられた「代」を否定

    「魏」については諸説あるが、三国魏を追尊していないこと、姓を「曹」にしていないこと、徳運に土徳を採用したことから

    漢(火)→魏(土)

    後漢から正統性を受け継いだという意識


    ■北魏 孝文帝の改革

    5世紀末
    北魏の中国化
    言語、姓名、官制、服飾

    もともと二字以上だった北族の姓を漢人風に1-2字にした

    抜抜(ばつばつ)→長孫
    歩陸孤→陸
    丘穆陵→穆

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    2022年10月31日
  • 南北朝時代―五胡十六国から隋の統一まで

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    この時代は教科書でもさっとやって終わっただけのような気がして、この本のような通史があると理解が深まると思う。とはいえ目まぐるしく人物が出ては消えるので、なかなか覚えられない。
    北魏孝文帝の漢化政策はよく出てくるが、なんでそれを行う必要があったのかなど、背景が分かった。横の連帯が強い部族制から皇帝の中央集権体制に移るには、やはり漢民族の風習や制度は必要。儒教や礼などは体制維持の重要な道具であることを再認識できた。
    禅譲した皇帝が例外なく殺されるところは、恐ろしい。古代の尭舜のようにはいかない。

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    2022年01月10日
  • 南北朝時代―五胡十六国から隋の統一まで

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    本書を読んで一番印象に残ったのは、南北朝時代の皇帝がほほ例外なく若死に、または処刑・暗殺されている事。これは統一王朝時は勿論、春秋戦国や三国時代には見られなかった事。時代の苛烈さと遊牧民族の特異性なのか。

    昔川勝義雄の「魏晋南北朝」を読んだが、更に南北朝に絞っての通史に加え、近年の研究成果も随所に取り上げたバランスの取れた好書だと感じた。

    五代十国と並び、五胡十六国~南北朝は中国史の中でも最もマイナーな時代、高校生の時北魏から東西魏、北斉北周の北朝と宋斉梁陳の南朝を暗記した事を懐かしく思い出した。

    清風堂書店梅田店にて購入。

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    2021年11月22日
  • 南北朝時代―五胡十六国から隋の統一まで

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     南朝については、近時復刊された『侯景の乱始末記』や文庫化された『梁の武帝』を読んできたので、比較的馴染みを感じていたところ、この時代の通史として、手に取りやすい新書で出された『南北朝時代』。
     
     北魏の華北統一によって始まった南北朝時代。
     北朝と南朝それぞれ取り上げられているが、北魏については中途から中国化したこととか、均田制を始めたことくらいの知識しかなかったので、大変勉強になった。
     例えば、「子貫母死」制。皇帝の実母や外戚による権力掌握を防ぐため、後継者の決定後にその生母を殺すというもの。また、中国的中央官制(外朝)と北魏独自の制度である内朝官(皇帝に仕える侍臣)の併設。
     そして

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    2021年11月06日
  • 南北朝時代―五胡十六国から隋の統一まで

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    北方民族の北朝と漢人の南朝が王朝交代を繰り返した南北朝時代。世界史でもただの分裂の時代として扱われているが、異なる民族が化学反応を起こすダイナミズムな時代に思われた。
    本書はその動乱の時代を簡素かつ丁寧にまとめているが、登場人物も多くて王朝交代も目まぐるしく読み進めるのが少し大変だった。

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    2022年02月17日