会田大輔のレビュー一覧
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三国時代の後の魏晋から隋までの、いわゆる「五胡十六国時代」について書かれた本。昔から大人気の三国志の時代と、日本史で必ず習う遣隋使と煬帝のエピソードで皆が知ってる隋との間、楽毅・劉邦・劉秀・諸葛亮のような英雄も頭に浮かばない、地味でマイナーな時代。そんなややこしいばかりでネガティブなイメージの時代を扱う本書だが、無茶苦茶に面白かった。
五胡十六国と言われる位に多くの国が勃興した時代のため、各国を詳述すると却って分かりずらくなるが、南北を章ごとに分けて描き、北部については代〜北魏の鮮卑拓跋部をメインに書かれているため分かりやすい。かつて漢と争った匈奴の単于が劉氏を名乗って漢を建国するくだりはエ -
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複雑な時代が、コンパクトかつ分かりやすく纏まっていた。中国の南北朝時代は三国志〜晋の統一と隋・唐の間の荒れていた時代としてしか認識が無かったが、そのミッシングピースが埋まったという意味で知的好奇心も大いに刺激された。
全体として、最後に筆者がまとめているように、モンゴル高原(柔然、突厥)の純粋遊牧民と、北朝における遊牧民と漢人の融合体、南朝における漢人と土着勢力の結合という形で大きな勢力均衡が図られつつ、更に西のエフタルやソグド人、青海の吐谷渾、高句麗・百済・倭・林邑などの東アジア諸国とも複雑に結びついている。そうした中で、遊牧民的風習と中華制度が結びついて行った時代であったと理解。
また -
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2010年代後半の最新の学説を紹介し、南北朝時代をクリアに説明
■北魏
拓跋珪
最後の代王 拓跋ジュウヨクケンの孫
代復興の旗印として諸部大人(部族長?)により推戴
即位後程なくして「魏王」と改称
西晋に封じられた「代」を否定
「魏」については諸説あるが、三国魏を追尊していないこと、姓を「曹」にしていないこと、徳運に土徳を採用したことから
漢(火)→魏(土)
後漢から正統性を受け継いだという意識
■北魏 孝文帝の改革
5世紀末
北魏の中国化
言語、姓名、官制、服飾
もともと二字以上だった北族の姓を漢人風に1-2字にした
抜抜(ばつばつ)→長孫
歩陸孤→陸
丘穆陵→穆
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南朝については、近時復刊された『侯景の乱始末記』や文庫化された『梁の武帝』を読んできたので、比較的馴染みを感じていたところ、この時代の通史として、手に取りやすい新書で出された『南北朝時代』。
北魏の華北統一によって始まった南北朝時代。
北朝と南朝それぞれ取り上げられているが、北魏については中途から中国化したこととか、均田制を始めたことくらいの知識しかなかったので、大変勉強になった。
例えば、「子貫母死」制。皇帝の実母や外戚による権力掌握を防ぐため、後継者の決定後にその生母を殺すというもの。また、中国的中央官制(外朝)と北魏独自の制度である内朝官(皇帝に仕える侍臣)の併設。
そして