猫沢エミのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ここにいるのは「ペットと飼い主」ではない。
ここにあるのは「猫との暮らし」ではない。
タイトルの通り「猫と生きる」のだ。
猫たちと死別のシーンにはもちろん号泣するけれど、この本はそれが終わりではない。
保護猫たちは元々身体が丈夫でない。しかし病に冒されても猫たちは気高く生きる。著者は全愛情を持ってその命をつなぎ、命の火が消えゆく時期には全霊でその生き様を見届け、彼らが旅立った後は、悲しみで全身をすり潰してしまうほどに悲嘆に暮れる。
そして血を吐くように少しずつ少しずつ、彼らのいない日常に慣れてゆく。
彼らの魂の在りように、言いようもなく心を鷲掴みにされる。本書は、命の尊厳を真正面から描き -
Posted by ブクログ
『彼らの存在は、人間の子どもに限りなく近いかもしれないが、それでもやはり別のもので、人間社会の疎ましさから離れた安らぎをくれる、代替えの利かない存在なのだ。言葉を介さない愛を一心に傾けてくれる彼らを亡くすことは、ほかのどの苦しみにもたとえようがない、特別な痛みがあるのだと私は思う。小さな体は、一緒に暮らした人間の愛で満たされている。』
ミュージシャン、文筆家の猫沢エミとパリに渡った一匹の猫の物語。新たな運命の猫との出逢い・別れの物語。
猫や動物が好きで、どんなニャンダフルライフを送っているのか覗かせてもらう軽い気持ちで手に取ったのだが、深く考えさせられてしまった。
一匹の猫との出会いから -
Posted by ブクログ
猫沢エミさんの存在を知らなかっだけれど、元はミュージシャンらしいです。そして、この本を読んで、彼女の虜になりました。これ程までに心をかき乱される本は初めてかもしれません。
ゴミ置き場に捨てられていた子猫ピキを拾った所から、彼女の猫人生は始まります。その猫を連れフランスへ渡ります。
そこで、言葉の通じない所から始まり、ピキを心の拠り所とし、彼女は成長していきます。日本とは違う、ペットとの関係性も肌で感じながら。
フランスで…
☆人はだれでも新しい世界を恐れるものだが、それは私も同じで、見合わない仕事が来ると、そのチャンスはピンチにしか思えなかった。何とか大きな仕事をやりこなすうちに分 -
Posted by ブクログ
ネタバレーー異文化を柔軟に取り入れる心のキャパシティを広げてゆくのと同時に「私は日本人であり、何よりもまず私である」という価値観をぶらさずーーー
著者のこの部分の言葉は、私には「あなたは猫であり、何よりもまず私と同じように生きている命である」とも聞こえる。
この本は巷に多い「猫って可愛い 面白い 楽しい オシャレだし 犬より飼うのが簡単」的な物とは大きく一線を画す。
私自身、愛猫の死を何度か経験し、著者と同じように、実母を病気で亡くすとほぼ同時にその頃飼っていた保護猫も亡くし、人生の様々な岐路や苦難の際にいつも傍には猫がいてくれた。真っ直ぐに美しい眼で私を見つめ、言葉ではないもので心を溶かし暖めてくれ -
Posted by ブクログ
猫と生きる
いつぶりかな
こんなに泣いたのは。
一昨年の11月に愛猫ルナを亡くした以来かな。
こんなにも猫を愛し、
気持ちが心に響く文を綴る
猫沢エミさん
私の猫への想いをたくさん表現してくださってるみたいで、
とても嬉しかった、っていうのかな?
共感できて安らげた、っていうのかな?
なんだかわからないけど、
胸が熱くなりました。
今この時を幸せに、
ニャンコ達を幸せにしてあげたい。
また読みたいなぁって思いました。
猫沢エミさん
ねぇピキ
ねぇイオ
幸せだったね
ねぇルナも
幸せだったよね
favorite sentence
ピキは、猫生の最後を飾る、贈り物のような素晴らしい人 -
Posted by ブクログ
ネタバレ自分には到底できそうにもないことを人が成し遂げると、「あの人は志からして自分とは違う」とつい、逃げ腰な思考になりがちだけれど、本当はただ、自分は始めておらず、その人はもうとっくの昔に始めていただけだったりする。だから「物事は始めなければ、始まらない」と、心にいつも留めている。
渡仏前は、これまでやってきた音楽の仕事にせよ、物を書く仕事にせよ、映画に関しての仕事にせよ、どこかが中途半端で、まだまだ”にせもの”でしかないといつも感じていた。
人生経験どんなときでも「あれもこれも」では通らない。ひとつ選べばひとつは捨てるしかない。
日本では、ひとつ外国語ができれば、まるで人格者にでもなったかの -
Posted by ブクログ
私自身猫好きなので思わず取ってみた本
軽い気持ちで読み始めたら予想に反して深く考えさせられるものだった…
ねこを看取った経験のある人が読むと辛い気持ちを思い出すかもしれない
"この愛しい小さな生き物たちが寿命の長さでは測れない、命の価値について教えてくれること"
"個々の種族に合わせた倫理観があることを認め、きちんと線引することが大切であること"
といった、著者がねことの共生、パリでの生活を経て実感したことを本を通して訴えかけている
宗教が強く根付いている海外と違って日本では死生観について誰かと議論を交わすことがほとんどない
種族を超えた死生観につい